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日本はなぜ発展したか 2

続編です・・・

<整える>
 前回書いたキレイとは、なにも清潔にすることだけではありませんよね。物を順番に並べる、揃える、整える、片付ける、元に戻す、という意識にもつながります。このような意識の高さも、国のパワーを支える一因になっているのではないでしょうか。
 
 昔は公共施設などで、「次の人のことを考えましょう」という貼り紙を見ました。当然のことながら、「次の人は美人かな、子供さんかな」と考えることではありません。次に使う人が気持ちよく使えるよう、「あなたがキレイに使いなさい」という意味ですよね。

 物をキレイに並べるのであれば、私たち人間がキレイに並ぶ、整列する、待つ、譲る、などの意識も重要ですよね。
 
 日本の学校では「朝礼」というものが行われ、児童・生徒たちは義務として並びます。今は知りませんが、昔は「気を付け!休め!直れ!」などと、軍隊式の号令が掛けられていました。順番に並ぶというより、多くの人々が一堂に会すこと、社会や団体の中で自分の立ち位置を知ることで、マナー意識の向上にも役立っているはずです。
 
 また、学校でなくても、大人になってからも私たちは常に「並ぶ」ことに慣れています。もちろん駅のホームでも、指示を受けなくてもこれまたキッレ~イに並びます。意外や意外、これは先進国でも多くの方々ができません。ある程度きちんとしている国もあるでしょうが、私は個人的に「え~~~?」とビックリしたことが過去に何度もあります。
 
 話は変わりますが、スーツケースって必ず「6面」がありますよね。つまり、ハンドルが付いた上面とキャスターが付いた下面、表面と裏面(=おなかと背中)、そして左右の狭い両面のことです。成田空港に到着するとターンテーブルにスーツケースが出てきますが、先日はこれ、ハンドルの上面がキレイに外側に向いていて、客がサッと取り出しやすくなっていました。しかも、必ず狭い「側面」が下を向いているから、スペース的にも効率良く大量のスーツケースを載せることができます。外国人を含む多くの乗客が感心していました。

 また別の話ですが、海外を旅行していると特に、ホテルやオフィスなどの部屋の中が、日本よりも随分暗いことに気付きます。私は「旅日記」を書くので、余計そう感じます。日本では、とにかく至るところが「明るい」のです。夜でも昼間とほぼ同じ環境を作ることで作業の効率が上がり、人々の集中力が増したりします。犯罪を防ぐ効果もあるでしょう。要するに、明るさこそが「力」を起こしている気がするのです。
 
 喫茶店のコーヒーに、親切にもクッキーが付いてきたとします。そのクッキーを食べるとき、小さなかけらがボロッとテーブルに落ちてしまいました。どうしますか?コーヒー皿にそのかけらを戻したくなりませんか?キレイに片づけておこうとする日本人は多いと思います。この意識・・・他の国ではほとんど目にしません。
 
 このように、日本人全体が無意識の内に、日常の様々な場面で「キレイにしよう」「きちんとやろう」としている訳です。これって本当にすごいことだと思います。文化や芸術が育ち、労働や研究の効率が増し、工業やサービス業を含むあらゆる産業が育ち、もったいない精神からコストも減ります。1)利益の追求と2)出費の削減は、企業にとって永遠の理念ですからね。
 
 このような日本人の極めて高い意識から、国のシステムが正確に、丁寧に、緻密に、迅速に、便利に機能するようになっていき、それによって物事が小さく、美しく、コンパクトに、使いやすく、身近にまとめられていくのです。私はただ単にこれだけでも、本当にスゴイ国だと思います。
 
 この話、まだまだ続編があります(悪しからず)。

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