いなむ | 獅子舞から地域をみる

獅子舞を研究して地域の魅力を再発見!✨日本全国300箇所以上で獅子舞に関する記事を執筆…

いなむ | 獅子舞から地域をみる

獅子舞を研究して地域の魅力を再発見!✨日本全国300箇所以上で獅子舞に関する記事を執筆🦁 ライター/ フォトグラファー/ 文化人類学/ 東京-石川500km徒歩2回

最近の記事

「君たちはどう生きるか」獅子舞研究者の視点から(ネタバレあり)

SNSでのネタバレ感想をぜひ観てみたい。そういう衝動に駆られて、予告編なしの宮崎駿監督の作品「君たちはどう生きるか」を観てきた。終わってみて抱いた感想を、簡単にここに記しておきたい。考えさせられる映画だった。僕の感想文も無論、ネタバレである。 見えない世界を親しみやすく描く見えない物たちが棲む世界。わかりにくい民俗学の世界をキャラクターとして描くことで、どこか愉快でポップで親しみやすさを作り出して、そして子どもたちをも惹きつけているように思える。そこがまず第一に、注目すべき

    • 「共同体獅子舞」が創る未来。繋がり信頼ある社会、巨大獅子舞がインクルーシブに渋谷を包む

      獅子舞といえば、正月に頭を噛んでくれるもの。日常に存在しており、特に気にとめることはないという人も多い。しかし、地域に息づく日本全国の獅子舞は、舞い方やデザインも個性的で、その共同体のつながりを深めるような存在でもある。獅子舞を見たらなんか頭を噛まれたくなる、というのは日本人の心理なのだろう。 さて、今回は渋谷にある100BANCHという施設で初めて、地域の文脈でない、コミュニティに息づく獅子というものを本格的に創作した。100BANCHはパナソニック創業100周年を記念し

      • 獅子舞と車

        やはり、獅子舞は生き物だ。機械のように動くことはできなくて、無駄ばかりを作り出す存在だ。この獅子舞を最短最速便利を実現するための車と比較した時に、何が見えてくるだろうか?考えたことをここにまとめておきたい。 アスファルトは無表情僕はアスファルトが気に入らない。なぜ、硬くてのっぺりとしたもので豊かな大地を覆わねばならないのかがわからない。いろんな土地を歩いていても、全部足元が同じような形状だからつまらない。足元だけ眺めていると、自分は今どこを歩いているのかよくわからない気持ち

        • 歩ける都市は獅子舞の保護区である

          人間が歩く道は、獅子の道でもある。人間が歩きたくない町には、獅子も存在しない。獅子舞の生息可能性を考える上で、まず人間が歩いて心地よい町であるか?という視点は大事だろう。世界を見渡せば、18世紀後半の産業革命以後、仕事場である都市と生活の場である郊外という風に職住分離が進んだ。この動きが獅子舞生息不可能な土地を世界中に生み出し続けた根本的な原因の1つではないかと考えている。郊外化と獅子舞生息可能性との関係を探る。 郊外化前に存在したのは徒歩都市ケネス・ジャクソンが『雑草のフ

        「君たちはどう生きるか」獅子舞研究者の視点から(ネタバレあり)

          まちづくりの歴史に、獅子舞の生息可能性を見出す

          獅子舞は昭和以降、石川県や富山県などの獅子舞大国において爆発的ブームとなった。それは寺社への奉納や自然に対する畏怖などから生まれたというよりは、国の政策の影響を大きく受け地域コミュニティのまとまりを作る存在としての獅子舞が強調された時代背景もある。とりわけ昭和以降の地域コミュニティと獅子舞との関わりを紐解きながら、時代錯誤の封建的支配に貢献するものではなく、新しいまちづくり文脈における獅子舞のあり方を考える。 軍事主義の遺産として獅子舞唐突ではあるが、戦前・戦中の日本におい

          まちづくりの歴史に、獅子舞の生息可能性を見出す

          獅子バンクがあるとしたら何に投資する?

          獅子舞に優しい町を作るには、獅子舞的な価値観を持った人が一同に会して、ああだこうだと議論を重ねながら、獅子舞に優しい事業をしている会社に対して投資をする。あるいは認証していくような仕組みが必要なのではないかと考えている。この構想の全貌を明らかにしたい。 獅子舞に優しくない町現代の街並みはとことん獅子舞に優しくない。高く高くそびえ立つビルや、草木を覆い隠すコンクリート。そして、他の家との境界を明確にするブロック塀やセキュリティーキー、監視カメラなどが広がる。個人に最適化した暮

          獅子バンクがあるとしたら何に投資する?

          所有から振る舞いへ!獅子舞の本質はどこにあるのか?

          人間は身の回りにあるモノによって支えられている。自分が生活の拠点とする家や仕事場の建物をはじめとして、服や皿、箸、机、椅子、布団など、衣食住に関わる全てはモノによって動かされていると言っても過言ではない。人間は自分の意志ではなく、もはやモノによって動かされているというわけだ。近年は臓器移植や献血などといった身体を交換する行為や、耳にピアスの穴を空けることも行われており、あたかも人の体が代替可能で記号化されたモノとなっている。また、アダルトコンテンツやAVは人の体が見世物となり

          所有から振る舞いへ!獅子舞の本質はどこにあるのか?

          獅子舞の大きさは富の総量に比例!?まちづくりの装置として獅子舞を再考する

          獅子舞にとって最も重要なのは、どのような振る舞いをするか?ということだと思う。近年、獅子頭や胴体の部分は地域外に発注する場合が多いし、モノというのは借り物であって使う土地から湧き出るように出現したものではない。むしろその道具を使って、その土地で舞い歩くという段階になって初めて、芸能としての真髄が引き出されると思う。獅子舞の原点を考えた上で、獅子舞の身体性と街との関係性を分析。新しいまちづくりの方向性を獅子舞の舞い方から考える。 土地性に翻弄される舞い獅子舞は元々、土地の自然

          獅子舞の大きさは富の総量に比例!?まちづくりの装置として獅子舞を再考する

          獅子舞のお金にまつわる話

          資本主義の原理では、お金が儲かるか否か?という意味で投資が行われ、ビジネスが成長していく。必要性と緊急性が高いものほど短期的にお金は儲かりやすいし、価値が見えやすい。それは人間の衣食住など生活に最も密接なことかもしれない。個人の欲求はとても見えやすいけれども、公の欲求は時として見えづらい。環境問題に配慮しようと言っても、地球の反対側にある島の海面上昇のことや気温が1度上がるくらいの変化に、自らが貢献できている実感は薄い。そのため、なかなか自分ごと化されないのだ。それでは、獅子

          獅子舞のお金にまつわる話

          文化伝播のきっかけとは?獅子舞の爆発的ヒットの背景に迫る<富山編>

          富山県は日本全国の中でも屈指の獅子舞の数を誇る。それゆえ、地域の人々は富山県のことを「獅子舞王国」と呼ぶ場合もある。なぜこれほどまで獅子舞が盛んなのだろうか?今までの取材で分かったことをここで概観しておこう。 獅子舞の数が多い富山県富山県は氷見市に限らず、県全体的にも獅子舞の伝承数が多い。1000以上の数が確認されている。なぜこれだけ多くの獅子舞が富山県には受け継がれているのだろうか?祭りを支える経済的な基盤や、工芸品を制作する文化的な土壌があり、祭り道具がどんどん華やかに

          文化伝播のきっかけとは?獅子舞の爆発的ヒットの背景に迫る<富山編>

          ジェンダーフリーの時代に、獅子舞の多様性とは何か?を考える

          近年、男と女の狭間を生きるセクシュアルマイノリティーの存在が社会の明るみに出てくるようになった。同性を愛せるレズやゲイだけでなく、両性に性愛感情が向くバイセクシャルや、他者に性愛感情を持たないアセクシュアルなどもある。世界的に見れば、同性愛者の人権が認められてきたのが18世紀後半のことだ。現代においても同性愛者を認める法律がなくて処罰の対象となる国は70ヶ国以上あるし、そのうち数カ国は同性愛者が死刑になる可能性すらあるという。マイノリティが生きやすくなる制度設計は急務である。

          ジェンダーフリーの時代に、獅子舞の多様性とは何か?を考える

          共有と総有、獅子舞が目指すべき「つながり」の形とは?

          日本では現在、シェアリングエコノミーの市場規模は拡大し、人との繋がりやお金ではない豊かさの創出が求められている。日本の歴史において、この動きをどう位置づけることができるのか、総有から共有への流れの振り返りをしておきたい。その上で、獅子舞が目指す都市の「分かち合い」のシステムとは何か?を概観する。 共有ではなく、総有が当たり前だった日本におけるシェアを考えるとき、村落共同体における入会地の歴史に触れることは必要不可欠だ。日本人は古来より、山林原野の木の伐採、カヤ採取、キノコ狩

          共有と総有、獅子舞が目指すべき「つながり」の形とは?

          「獅子舞メガネ」とは何か?都市の空白を探す方法

          あなたはメガネをお持ちだろうか?メガネといえば着脱が簡単にできる上に、視力の補助や目の保護など様々な役割がある。一旦、メガネをかけてしまうと、それを頼らずにはいられなくなる。時には見たくないものだってあるだろうが、人間は目の前の風景を解像度高く眺めたい生き物らしい。 今回、オススメしたいのは「獅子舞メガネ」である。このメガネをかけるには、少々訓練が必要だ。しかし、一度かければ、その面白さにどっぷりハマってしまって抜け出せなくなる。そういう底なし沼の魅力を持っている。さあ、獅

          「獅子舞メガネ」とは何か?都市の空白を探す方法

          なぜ獅子舞に変体したくなるのか?その起源と社会構造を読み解く

          獅子舞のシシとは身近な食用肉となる獣と考えて良いだろう。人間が獅子舞に変身するという行為は少なからず、「人間の野生還り」の意図を持って行われる。そこには、少なからず人間の都合の良い欲望が含まれている。 何かに変体するという行為これは演劇的に考えれば、自分でない何者かになり、その役柄を演じるという行為だ。あるいは、ウルトラマンやドラキュラのように、弱い自分が何かのスイッチに触れることで、強い正義の味方、あるいは強い悪者になるという行為でもある。変体するこということは、己を隠す

          なぜ獅子舞に変体したくなるのか?その起源と社会構造を読み解く

          獅子舞がすべての市区町村に存在するならば

          今日は、獅子舞がすべての市町村に存在すると仮定するならば、どのような未来が描けるのか?について述べていきたい。現在、獅子舞は日本全国に約7000ほど存在すると言われているが減少傾向だ。 ◎最大階数が2階になる ◎個人商店が復活する ◎庭を持つ人が増える ◎歩道の道幅が広くなる ◎お酒が売れるようになる ◎漆、織物、木彫りなどの産業が盛んになる ◎玄関に鍵をかけない人が増える ◎東京の人口が減り、地方の人口が増える ◎リモートワークが加速する ◎神社が増える ◎無人直売所が増

          獅子舞がすべての市区町村に存在するならば

          【第3回】台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」/ 3rd Taiwan Taoyuan-100km New Taipei "Japanese Search Trip"

          2019年11月21日~23日、台湾の桃園市から新北市烏來までの約100kmを3日間で歩いた。その道のりは昔、日本政府と台湾原住民の領土の境界線だった。日本政府は台湾原住民の首狩りの文化を恐れ、境界線が敷かれたのだ。そこには、今でも日本と台湾の文化が混在し、特異な生活文化がある。歩きながらそれを写真と文章で記録し、台湾在住の日本人にインタビューも実施。その成果を国立政治大学の授業で大学生と共有した。 From November 21st to 23rd, 2019, I w

          【第3回】台湾 桃園-新北 100km徒歩 「日本人探し旅」/ 3rd Taiwan Taoyuan-100km New Taipei "Japanese Search Trip"