似てない兄弟も悪くない。
僕は、2人兄弟の弟して生まれました。
兄弟が2人で同性だと、同じ部活に入れられて、比較されたり、プレッシャーを感じたりしやすく、あまり良いものではないと思っていました。
今でも、生まれ変わるなら、2人兄弟だけは避けたいです(笑)。
僕は兄と仲良しではなく、顔も性格も似てないですし、連絡も取り合うことはありません。冠婚葬祭の時以外に会うことはなく、その時に会っても腹を割って話しません。たった2人なので、他の兄弟がバランスをとってくれることもありません。
この現状だけ見たら、何も良かったことなんてなかったかのように思えますが、実は一つだけありました。
それは、他の兄弟より、比較しにくいことです。
たまに友達に兄弟や姉妹の話を聞くときに、最も頻繁に出る話題は、「兄弟間での比較が辛かった」ということです。
「お姉ちゃんは、案外器用にできるけど、自分は下手なままだった」、「自分は勉強できないけど、弟はすごいんだよ」など、若干傷ついている言い方で、自分を卑下したエピソードを聞きます。
もちろん、僕ら兄弟も比較されましたが、その差は大したことありませんでした。
同じサッカー部にいても、どちらも上手すぎず下手すぎず、勉強の成績も、良すぎず悪すぎず、周りの人からも、好かれすぎず嫌われすぎず…。
厳密に言えば、多少は差があったかもしれないのですが、その差は圧倒的ではありませんでした。
どちらかが努力すれば、すぐに追い抜けるようなものでした。
僕の兄貴は、弟の僕にマウントを取りたいので、「お前なんて大したことない!」と僕を酷評していましたが、僕もバカではないので、周りを見渡したら兄貴が大したことないことぐらい分かります。
考え方や性格が異なると、同じ物事に取り組んでても、やり方が違うので、どっちが上とかないのです。
例えば、同じサッカーをやってても、自分が目立ちたい兄貴はシュートばかり打つし、空気を読みたい僕はパスばっかり出します。
これは、他のことでも当てはまりました。
兄貴は、学校のテストで頭の良さをアピールしますが、僕は、検定試験と雑学で頭の良さをアピールします。
兄貴は、お笑い芸人の真似をしてみんなを笑わせますが、僕は、身近な人のモノマネをして笑わせます。
兄貴は、テスト勉強を一夜漬けでやりますが、僕は、毎日コツコツと勉強します。
それに気がついた僕は、ある時から「稲本家の兄弟って、あまりにも似てない兄弟だから、比較しようにもできないんだな」と理解しました。
それがのちに、唯一の救いになりました。
僕は、大人になってくにつれて、兄との比較をしないようになりました。
比較しようと思えば思うほど、比較しにくいので、考えても無駄なのです。
それから僕は、自由に生きられるようになっていきました。おそらく兄貴もそうだと思います。
もし、比較で苦しんでいる人が“違い”に着目したら、苦しさがス~ッと消えていくかもしれません。
兄弟だって、顔は違いますし、性格も違うので、異なることは多いんです。
他人なら、なおさら違う人間ばかりなので、比較を突きつめていった結果、「比較のしようがない」という結論にたどり着くでしょう。
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