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【家の購入やリフォームを考えている人へ】 騙されない失敗しない為に知っておくべき「住まい」に関する基礎知識

はじめに

下記は、一生のうちで最も高い買い物なのにリテラシーが低いと言われている「住宅」の基本的なことについてまとめた『住宅購入(発注)マニュアル』です。

これから「家を買いたい(建てたい)」と思っている人、「家のリフォームやリノベーション」を考えている人は勿論、「家」を必要とする私たち全員が知っておくべき基礎知識が記されています。

このレベルの基礎知識を知らないで、建売住宅を購入したり、注文住宅を建てたり、またはリフォームを依頼すると、損をする可能性が非常に高いです。

知識がないと損をしていることも判らないでの怖いです。

安く買えた、○○万円でしかかからなかった、と安いことを自慢する人が多いのも「住宅関連工事あるある」です。

自分は損をしていない、自分の判断は正しい、賢いと、正当化したいがための自己防衛本能が言わせているセリフです。

本当は何がどう得しているかなんて、わかっていません。無論、本当は損をしていることも、わかっていません。

確実に言えることは、不動産屋、住宅メーカー、工務店は、絶対に損をしない、ということです。

毎日過ごす「家」だから、当然"関心"はあるでしょう。

欲しいという"欲求"も強いでしょう。

それなのに"知識"がなければ売り手の思うツボ。

だから不動産屋、住宅メーカー、工務店など、それら業界筋の経営者の方々は「ギラギラしたお金持ち」が多いのです。

欲しい、買いたい、買う気満々で、モデルハウスや住宅販売会社のオフィスに出向きます。お客様であるあなたを迎えるために仕立てられた空間は、とても素敵で居心地良く仕立てられています。プロですからオテノモノ。そこはもう相手の土俵です。セールス(営業)や設計など、専門知識豊富な人と対峙することになります。

「家づくり」なんて専門的なことは分からない、というあなたは、専門家に勧められたものがベストと判断せざる終えません。基本的にすべてお任せ。そして、自分史上最高に高い買い物なのに、勢い、購入を決めてしまうのです。

一旦保留にしたとしても同じことです。次々と打ち出される専門家の提案が判断材料の全てですから、時間をおいて冷静になれたとしても、知識を持ち合わせていなければ検討したつもりになっただけ。結局は相手ペース、相手の思う壺です。

今、住宅ローンは空前の超超低金利です。今後、今以上に低くなることはあり得ない無いでしょう。そういう意味では、今、家の購入やリフォームを考えている人はラッキーです。

だからと言って、必要のないことにお金をかけすぎて、必要なことに使うお金がない、妥協すべきことを妥協せずに、妥協してはいけないことを妥協してしてしまう、そんなことが無いように、騙されない、失敗しないために、「家」に関する最低限の知識を身につけましょう。

「家」とは?

まずは、「家」「住宅」「住まい」という言葉の使いわけについて最初に整理しておきたいと思います。

一般的な定義は以下の通りです。

・「家」とは、人が住む建物
・「住宅」とは、人の住む建物と庭など敷地内にある全て
・「住まい」とは、人が暮らす家(建物)

購入した、または、造った「家」「住宅」に、"暮らし"が加わることで「住まい」になる、そんな風に解釈すれば良いかと思います。

以下のマニュアルで解説するのは、商品としての「家」「住宅」に関する知っておくべき基礎知識です。「家」と「住宅」は商品という意味では同じなので、厳密に使い分けするよりも、読みやすさ(わかりやすさ)優先で書かれていますので、あらかじめご了承のうえお読み取り頂ければと思います。

「家」の目的

「家」は人の暮らしの中心にいつも存在しているものです。

「家」は、家族の憩い、団欒、子育て、人間形成の場であり、だから「家」を一番必要とする世代は、子育てをする若年層といえます。

でも若年層は、まだ収入も少なく、預貯金も多くはありません。また、子育てにお金がかかるので、ご主人の収入だけでは暮らしていくのがやっと、というのが一般的です。

そんな若年層が「家」を取得すると、多額の住宅ローンの支払いのために、ご主人の収入だけではまかないきれず、奥さんも働きに出るということになります。子供とのふれあいの時間はおのずと減り、ゆとりのある子育てが出来ない環境になってしまいます。

このような状態は「家」本来の目的から逸脱しています。

「家」は買えない

人生の中心にいつも存在するのが「家」です。生活必需品です。お金に余裕がある世代やお金持ちだけが必要なものではありません。

しかし、現実的に「家」は、お金に余裕がある世代やお金持ちだけにしか買えません

「家」を最も必要とする子育て世代には手が届かないものなのです。

ローコスト住宅など、技術革新と創意工夫によって住宅の価格は低下傾向にはありますが、まだまだ高く、金利の低下、借り入れ期間の長期化など、以前よりも購入しやすくなったとはいえ、住宅ローンの負担は家計を大きく圧迫しているのが現状です。

どんなに酷い災害に見舞われても(たとえ「家」が無くなってしまっても)ローンは払い続けなければなりません。景気低迷などにより収入が減っても、または、失業してしまっても、ローンは残ります。

そのために自殺する人も少なくありません。借金苦によるものです。

住宅ローンの借金苦で自殺。一家心中。

その元凶は「家」です。

いつも家族の暮らしの中心にある「家」。家族の憩い、団欒、子育て、人間形成の場。生活必需品のはずの「家」がこのような事態を引き起こしていることも事実なのです。

「家」を所有することは”命がけ”なのです。生活必需品、衣食住の住に、命までかける、これでいいのでしょうか?

「家」は高すぎる

「家」はかくあるべき、「家づくり」をもっと安く出来ないものか、「家」を安くして若い世代でも持てるようにしたい、そんな思いで私は、勤めていた大手住宅メーカーを辞めて、心豊かに暮らせるまちづくりと住まいづくりによる社会貢献を目的としたNPOを設立しました。

設計施工の専門家の視点や、消費者の視点、子供、若年層、高齢者層、高額所得者、低所得者、ホームレスなどなど、とにかく様々な人間の様々な視点から多角的に「家」「住宅」「住まい」について研究してきました。豪邸が立ち並ぶ高級住宅街やリゾート地、そしてスラムまで、色々な街も観てきました。現在はNPOを解散〜リタイヤして田舎暮らしをしていますが、今でも時代とともに変化する「生き方」「暮らし方」、そして「家」「住宅」についての情報の受発信は続けています。

※参考:早期リタイア田舎暮らしガイド「悠々自適暮らしの手帖」

そんな私がどれだけ思考を重ねても、行き着く先は、とにかく「家」の価格が高い、高すぎる、ということ。そして、それはもうどうすることも出来ないことなんだ、ということです。

「家」の原価=建築費は以前よりも下がってきているのは確かです。でも「家」の価格は高止まりしています。所得収入も減っているので相対的な取得しにくさには、あまり変化がありません。

「家」の価格設定

「家」には建築費以外に、表には現れない費用がたくさんかかっています。

近年、「家」を販売する、受注するためには、"モデルハウス"を見てもらうのが当たり前になっています。そこにはモデルルーム用のおしゃれな(高価な)インテリア、住宅の見本の模型、様々な住宅設備のパンフレット、ほか、沢山の資料が準備されています。そしてそれを説明する専任のアテンダント(説明員)やセールススタッフ(営業員)がいます。当然ですがそれらは全て費用がかかっています。

また、消費者は必ず他社と比較して購入先(発注先)を決めるので、他社よりも優っている商品やサービスを用意する必要があります。性能表示とか、保証制度とか、他社がやっていれば全て応えなければいけません。購入後のアフターサービスも然り。

それが本当に必要なものかは関係なく、とにかく、他社に見劣りするようなことがないように、様々な商品・サービスを開発し販売促進を図ります。

加えて、「家」には適正な建物かどうかの役所の検査もあります。役所の指定業者で無ければ出来ない工事もあります。

「家」の原価=建築費は、機械や材料の進化と企業努力で安くなっています。しかしそれ以外の経費がどんどん積み上がっているのです。

ちなみに、「家」の粗利(率)は20~40%です。

例えば、3000万円の「家」の粗利は600万~1,200万位。

そんなに利益があるの?と思われるかもしれませんが、前述したとおり「家」には相当の経費がかかっています。そしてそれは年々拡大しているのです。30%くらいの粗利を確保出来ないと、継続して健全な企業運営は出来ません。

無論、ローコストが売り文句の企業でも粗利はシッカリ確保しています。

一方、薄利多売という経営方針で、売上棟数拡大を狙って格安で「家」を建てる(販売する)住宅メーカーもあります。

その手の会社は販売が順調なうちは良いのですが、景気などで販売棟数が落ち込むと会社を維持できなくなるので、そうなる前に畳んでしまう会社も少なくありません。

それを意図的に繰り返す悪徳業者も存在します。

大きな災害時に、家を失った人達の弱みにつけ込み、安いけど粗悪な「住宅」を販売しまくり、さっさと倒産してしまうような連中です。またいつかどこかで社名を変え救世主のごとく現れ、そしてまた消えるのです。

消費者は、当然粗悪な「家」は嫌だし、継続したフォローを望むので、会社基盤のしっかりした安心できるところを選びたくなります。

少しくらい高くても安心を」という考え方です。

住宅メーカーが安定して継続的に経営していくには、利益をきっちり確保して、購入者が納得する商品を送り届ける必要があるので、大きな会社ほど「住宅の価格を下げる」ということには熱心ではありません

実績、ノウハウ、安心を前面に出して「高くても売れる商品」を販売し、利益を十分確保して、購入者にしっかりとしたアフターサービスをしようという方針なのです。

「価格を下げる」には限界があります。でも、一方で、消費者は「安い」ことも望みます。

「○○で建てた」というのがステータスでもあるのですが、且つ、安いと納得しやすく、安く買えたと満足する、それが消費者心理です。

しかし、利益をある一定(20%~40%)以上にとらないと企業経営が出来ない、となると、どこをどう工夫しようとある数字以上は下げることが出来ません。

かくして住宅のメーカーは"消費者の目を誤魔化した価格表示"をするわけです。

価格表示のアンフェア

消費者の目を誤魔化した価格表示、それは「坪単価」を安く見せることです。

「坪30万」とか「坪20万」という表示です。

今、坪単価が建物の価格表示の定番ですが、この価格の内訳はとてもあいまいなのです。

消費税が入っていないとか、住宅設備はオプションだとか、外回りの水道工事は入っていないとか、各社で内訳が異なります。

大抵の消費者はそれを知らずに、または良く確認せずに、この「坪単価」で安い・高いを判断します。

坪単価を安く表現すれば、消費者は"このメーカーは安い"と勘違いするのです。

内容を知らずに飛びつくのですから、売り手側にとっては便利な基準です。

どこまでを坪単価に入れるかは、特別何にも規定(規制)されてはいません。各社自由に坪単価表示ができるのです。

この坪単価を判断できる目を養わないと、高い買い物につながります。

要は、騙されているのです。

坪単価を激安に設定した"オトリ商品"のCMやチラシをよく見かけます。オトリを使って見込み客を集客する、なんてことは常套手段。単純な騙しの手法ですが、そのオトリにひっかかってくる人が後をたたないのです。

家を買う(家を注文する)施主の心得

「家」を購入する人、建てる人、「家の改装(リフォーム・リノベーション)」を依頼する人を、"施主"と言います。

「家」を購入する、「家」の工事を発注する施主が、「家づくり」に関して無知・無理解だと様々なトラブルが発生します。

坪単価しかり、意図的ではないにせよ(意図的に他なりませんが)様々な"トラップ"があるのです。

トラブルで損するのは施主自身に他なりません。

家は高い、高すぎるのですが、施主のあなたに基本的な知識があり、発注先となる住宅メーカーや工務店としっかりと対峙・対応できれば、損しない、失敗しない、買い物が出来ます。

「家」はとても大事な買い物です。一番大きな買い物ですから、知っているつもりになって安易に、勢いで買い物するのは止めましょう。

家を買う、オーダーする、リフォームする、その前に知っておくべきことは多岐にわたりますが、以下の全てを、一通りお読みいただき、今一度あなたが買おうとしている、注文しようとしている「家」について、あらためて考えてください。知らなかったこと・勘違いしたいたこと・見直すべきことが必ずあるはずです。

尚、すべてお金で解決できる人には不要な情報もあるかもしれません、が、知っておいて損はありません(知っておいた方が得です)。

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