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プロモデラーの師匠と情けない俺の話    第五話~弟子たち~

俺が知る限りでは師匠には弟子たちが2人いた。今思えば弟子としていたのかアルバイトとしていたのかわからない。俺が行くと必ずと言っていいほどいた一番弟子、俺が時々しか行かなくなってから見かけるようになった二番弟子、この二人は本職ではなかったと思うがすでに仕事としてきちんと成立していたように見えていた。わかりやすく例えると一番弟子と二番弟子は漫画家のアシスタントのような存在でそれぞれ役割があった。漫画でいうと背景を書く人、トーンを張る人、そんな感じだろう。自分で例えていて例えがあっているか少し不安であるがまあそんな感じである。

一番弟子は塗装の為の下地処理が主な役割だった。塗装しやすいように後はめ加工と繋ぎ目を消す為にパテのように後から削ることが出来る接着剤を駆使してガンプラを組み上げていき、組みあがった後はデザインナイフと紙やすりで面出し作業をする。この作業が塗装前の一番大事な作業である。下手な改造なんかしなくてもバシッと面出しされてすべての面が綺麗な平らに仕上がった上でプロが塗装するとシンプルでも美しいものである。俺が行き始めてから二年たつ頃に師匠が俺と二人だけの時に一番弟子について話してくれたことがある。
師匠「一番弟子の下地処理は、俺より上手くなったよ!だから一番弟子はガンプラの下地処理については日本一だな(笑)」

師匠は当時ガンプラについて自称日本一と言っていたが素直に実力をつけた弟子を認めるあたり素敵だ。本人に言ったことがあるかは不明であるが。

失礼な話だが二番弟子のことは正直あまり覚えていない。自分が師匠のところに通うことに慣れてきてあきれ始めて他の遊びが楽しくなって来てしまった時期に見かけるようになった人だからだ。それも一番弟子のように行けばいつも居るというわけではなく、居ても奥の部屋でパーツの複製やら雑務をやっていたっぽい。
ラジオが流れる中で師匠と一番弟子と三人で作業をしながら時々くだらない冗談を言い合っていたことが一番楽しくて記憶に残っている寂しくもある思い出である。

師匠が材料調達の為に時々通っていたおもちゃ屋が二軒あった。俺に師匠を紹介してくれたおもちゃ屋Iと地元の老舗Yだ。おもちゃ屋Iのおじさんと師匠は師匠の方が年下で仲のいい先輩後輩のように見えた。老舗Yは師匠のことをプロと知っていたがあくまでも常連客といった感じだった。
師匠が音信不通になってしまったことをおもちゃ屋Yで初めて聞いたときに弟子たちのことも聞いた。解散当初までは弟子たちもおもちゃ屋に顔を出していてそれぞれが模型関係の仕事を続けると言っていたらしいがそれっきり弟子たちもおもちゃ屋YにもIにも来てないのでその後はわからないそうだ。俺も連絡先は一切聞いていなかったので弟子たちとも会えそうにない。

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