脱走する動物

｢早くここから出たいなあ｣よく分からない漢字だらけの病気にかかってしまい入院してから三週間ほど経った。

｢退屈…｣

学校に通ってた時は今日は学校に行きたくないな、と思う日もあったけれど今は学校に行って友だちと話したり、昼休みにドッジボールで遊んだりしたい。

病院で出来ることといえば絵を描いたりテレビを見たり学校の勉強をする位、あとは病院の中を散歩すること、コロナがあるから外には出れない。

幸いなことに一ヶ月ほどすれば退院は出来るらしい。でもやっぱり早く出たいなぁ。点滴を引きずりながら病院の中を散歩していると色んな人に会う。｢こんにちは｣と声をかけてくれる患者さん、｢そのうさぎの洋服かわいいね｣と看護師さんとちょっとだけおしゃべりしたりもする。そんな時間が一番楽しい。

友だちもお母さんもお見舞いに来てくれた。私のことを大事にしてる人が居るんだということに気が付いた。普段は当たり前だから気が付かなかった。

入院していると動物園の中に居るような気分になる。三食ご飯を与えられて、お医者さんが診て治療されて体重を計られる。私は動物なのには違いないけど人間だから、動物園の中にいる動物は幸せなのか、と考えたりする。考えてもよく分からなかったけれど私のような気持ちなのかな。

病院の窓から見えるイチョウの木がキレイ。私は心地のいいお日様の光に当たりながらうとうとした。一ヶ月程経てばここから出られる。身体も元気になる。ただただ待ち遠しい。