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おいしい草があるんだ

ぴょんぴょんと野原をかけ周り、おいしい草を探してむしゃむしゃと食べていました。

「おい、こっちにも美味しい草があるぞ」と仲間のうさぎが教えてくれました。うさぎは一目散に向かいました。
「これはおれが見つけた草だ。お前はあっちへ行け」「じゃあなんで教えてくれたんだい」と問うと無視されました。

仲間のうさぎは夢中で美味しい草を食べています。

腹が立ったうさぎはうさぎ蹴りを放ちました。

「君はもう仲間なんかじゃないやい」

仲間じゃないうさぎは蹴り返しました。

「美味しい草があると言っただけなのに酷いじゃないか。なんで俺が蹴られなきゃいけないんだ」はた、とうさぎは我に返りました。

確かに美味しい草がある、とは言われたけれど「一緒に食べよう」とは言われていない。

「つまり君は美味しい草があると自慢したかっただけなのか?」「そんなつもりは無い。ただそこに美味しい草があると言っただけさ」とイジワルそうな顔で言われました。

うさぎはきまりが悪くなって遠くの草場に駆け出しました。何だか謝る気分にもなれなかったのです。むしゃむしゃむしゃむしゃとふつうの草を食べました。美味しい草はどうなったかというと2匹が口げんかしている間に子うさぎがぜんぶ食べてしまいましたとさ

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