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当然のことは「つまらなく、批判的に」聞こえる。意識したいWebデザインの進め方。

デザインについての一般感覚は誤謬

ソシアメディア取締役・上野学さんのツイートから。

一般に考えられている良いデザインと、デザインの専門家が考える良いデザイン。要するに、デザインについての一般感覚はデフォルトで誤謬だということ。デザイナーは専門家として、クライアントを教育していかなければならない。

https://twitter.com/manabuueno/status/1155490184282030081?t=SDtpZgTnimUczBNS3zDHUA&s=19


デザインについてとても参考になる指標でした。

Webサイトをリニューアルする際に顧客からの意見が一番よく出るのがデザインです。たぶん語るべき内容が具体的で、好みや方向性を言いやすいからですね。


A社様とのWebMTG

BtoC製品のサイトをリニューアルするA社様と昨日行ったオンラインMTGを思い出しました。

こちらでワイヤーフレーム(デザイン前の情報設計図)を作って、その最初のレビュー。
顧客に意見を促すと、方向性は概ねOKとした上で、感想を色々頂けました。

「メイン画像はインパクトがあって美しくしたい」
「色や雰囲気で変わった!という感じにしたい」
「キーカラーやフォントも変えたい」

ぼくはうんうんと頷いてメモを取っていきます。顧客の発言が一通り終わった後で、ぼくはいつもの台詞を言わなくてはなりません。

「ご意見ありがとうございます。沢山もらえて嬉しいです。これから言うことはいつもぼくがお客様に伝えていることなのですが、大切なことなのでお聞きください」

「インパクトや美しいこと、変わったという雰囲気、どれも大切ですが、それらは全てサイトに訪れてくれたユーザーに向けて、『AをBしてもらうために』という目的において為されなければなりません。インパクトも美しさも目的に達するための手段なので、制作中は手段を目的化しないように気をつけたいと思っています」

「例えば今回の製品の販促趣旨は『国内唯一な◯◯』が柱なので、まずそれを伝える最適解を考えるという順番になります。その手法でインパクトや美しさが必要になることはあるかもしれません。でも、先にインパクトを目的にしません。ここまではOKでしょうか?」

皆さん、頷いてくれます。よかった。

「他にも、『変わった!』感を出したいというお気持ちはとてもよく分かるのですが、事前の課題整理と目標設定であったように、現サイトの課題のひとつは集客力不足でした。その点で言えば、「サイトが変わった」と思う人はほぼいません。現サイトを既に見ている人が圧倒的に少ないからです」

「つまり、『変わった』感を出したいという気持ちはどこに向いているかというと、これはユーザーではなく、社内に向いていることになります。社員さんや経営者に『変わった』『新しくなった』と思ってもらいたいという気持ちが源泉です。それは全然悪いことではないし、お気持ちはよく分かります」

「もちろん、結果として社員さんや経営者に「変わった&新しくなった」と思ってもらうことは大切ですし、きちんと目指したいと思いますが、やっぱり最初は『初見のユーザーにどう思ってほしいのか』『サイト訪問者に何をしてほしいのか』の立脚点を意識する必要があります。初期にけっこう陥りやすい罠なので」

「今回のサイトリニューアルにおける目的設定は、『国内唯一の特徴をもつ製品の市場ニーズがどれだけあるのか』をWeb活用で測ることでした。なので、今回のリニューアルサイトで初見ユーザーにまずしてほしいことは、『国内唯一の○○』という認知です。それが最優先事項で、デザインの役割はそれを実現することになります」

「いま申し上げたことが大体ぼくたちのデザインの作り方になるのですが、どうでしょう。ご不明点やご質問は」

ここまでお伝えして、

「考え方がだんだん分かってきました」
「社内目線と言われてドキッとしました…」

と顧客メンバーに言っていただき、より細かい詰めに入ることができました。


デザインの注意点について顧客と話し合う

細かい詰めに入ってからは、「初見ユーザーの知識の量と幅」「そんな方へ伝えたいこと、その順番」「興味を持ってくれた方にしっかり理解いただきたいこと」といったユーザー目線での発言が出てきます。

それがとてもありがたいことで、「その情報区分は大切だから、デザイン制作時に気をつけるようにします」「ここ、情報量が多くなりますが、デザインで処理できるかやってみましょう」といった話が生まれます。

デザインとは見た目や演出のことではなく、課題解決のための重要な機能であり、その役割を担っています。そういった視点で顧客とデザインの話し合いができることがとても重要。と個人的に思っています。

人によって考え方が様々かもしれませんが、ぼくはそうです。


当然のことは「つまらなく、批判的に」聞こえる

大体ここまでが、サイト制作でデザインに入る前に顧客にお伝えすることです。何回も言っているので自分の中ではセリフ化してしまいました。
事前に1ヶ月ほどかけてヒアリングや課題整理・目的設定を重ねていて、顧客とはほぼチームになり始めているので、こんな内容でも耳を傾けてくれます。

制作会社にとっては「何を当然のことを…」という内容ですが、当然のことは総じて「つまらなく、批判的に」聞こえます。

大切なのは、「つまらなく、批判的に聞こえる当然のこと」に耳を傾けてもらえる関係構築が顧客とできているかです。関係性ができていないのに、正論を言っても成果は乏しく。

特にデザインは感覚で発言できるので、初期に曖昧にしているとボトルネックになりがちです。
だからこそ、「デザインはこういうルールで進めます」と最初に顧客と共有することが大切だし、受け入れてもらえる関係が必要で。

「デザインのルールを最初に伝える」
「正論をいうなら、その前に関係性を作る」

個人的に大切にしている鉄則です。


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ぼくが所属している株式会社JBNでは「BtoB企業への成果貢献」を目的とした戦略策定・Webサイト制作・Web運用支援・Webマーケティング支援を一気通貫で行なっています。

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稲田英資について

株式会社JBNで戦略策定とWebマーケティング支援を担当しています。
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