ユーザーの視点でページ設計を考えること。K君とのLPレビュー
住宅のLPを作っていた後輩ディレクターK君からレビューの依頼。彼は理解が早く、学習能力も高い。転職してもうすぐ2年。ランディングページ(LP)もこなれている。さすが。
そろそろ次のステップへの背中を押す時期だなあ…とLPを見る。資料ダウンロードのCTA(ユーザーに押してほしいボタン)に「無料プレゼント!」と見出しが入っているので、K君に聞いてみる。
K君とのレビュー再現
ぼく「これ、無料で資料がもらえるのがユーザーへの動機付けになると思って書いたの?」
K君「あ、そういうわけでは…」
ぼく「CTAのラベリングは人の行動喚起を想定して考えた方がいいんだよ」
K君「はい」
ぼく「これ、前にどこかでやっているのを参考にしたでしょ」
K君「正直にいえば…はい。笑」
ぼく「参考にするのはいいけど、『どんな人に/何をしてほしいか』を自分で想像してから、ぴったりな奴を見つけてこないと意味がないよ」
K君「そうですね」
ぼく「これはそういうのを飛ばして、手癖で書いている匂いがする。笑」
K君「そ、そういうわけでは。笑」
ぼく「いや、あやしい」
K君(苦笑)
ぼく「正解なんて誰にも分からないから気にしなくていいけど、『どんな人に/何をしてほしいか』を考えながら情報設計するのは身に付けた方がいいよ」
K君「はい」
ぼく「たとえば…この住宅LPを見ているのは◯◯市で家を建てようかなあと考えている妻か夫の可能性が高いじゃない」
K君「そうですね」
ぼく「そしたら…資料DLの見出しは『無料でプレゼント』より、『ご家族でご覧ください』の方がピンとくるかもしれないよ」
K君「ああ!そうかも」
ぼく「それだって正解かどうかなんて分からないけど、Webの長所は試行錯誤できるところだから」
K君「そうですね」
ぼく「だから、どの仕事でも『こうしたら、どうなるだろう』って意図をもってやれば、結果は出るわけだから。いい結果も悪い結果も、K君の知見として溜まるし、それが成長に繋がるわけで」
K君「そうですね」
ぼく「そうそう。だから、手癖でやると意図がないからもったいない」
K君「手癖では…笑」
ぼく「よくペルソナが大事っていうけど、あれはWebサイトの制作段階でもすごく役に立つと思うんだよ」
K君「?」
ぼく「ペルソナは『こうしたら、どうなるだろう』を考えるときのイメージモデルだから。視点の設定だよね」
K君「ああ、そうですね」
ぼく「そうそう。だから、K君はこのラフを作るときに◯◯市で家を建てたいと思っている妻か夫を想像するのが一番よくて。夫婦揃ってじゃなくて、妻か夫どちらかが一人で情報収集しているかもしれないっていうシーンも考えてさ」
K君「はい」
ぼく「そしたら、次にやってほしいことは、『ねえ、これ見て』って夫婦間で共有してほしいことじゃんね」
K君「たしかに」
ぼく「その人に向けて、何を・どういえば・どんな気持ちになってくれるだろうって考えるのが大切で。それがペルソナの活用じゃんね」
K君「はい」
ぼく「だからペルソナはWebサイトを設計するディレクターにとっても役に立つんだけど、意外と制作時は振り返らなかったりするじゃん」
K君「はい…」
ぼく「きれいなペルソナシートを作って終わりだと役に立たないし、もったいなくて。その視点を使ってサイト設計や情報設計をするから色々考えられるし、ディレクターの役にも立つんだよ」
K君「たしかに」
ぼく「逆に言えば、その視点がいつも頭に入っていれば、きれいなペルソナシートなんて全然いらないんだけどね」
K君「はい」
ぼく「このLPラフはよくできているけど、K君が脳内設定したペルソナがおれになっている気がする。笑」
K君「そ、そんなことは。笑」
ぼく「あやしい。笑」
K君(苦笑)
ぼく「でも、視点の問題だけだから、慣れればすぐだと思います。あとは良いと思いましたー」
K君「わかりました」
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レビュー再現は以上です。
K君はこれからどんなWebディレクターになるのかしら。楽しみです。
その一週間後
上記打ち合わせの顧客と明日は2回目のMTG。
明日のアジェンダと修正版ワイヤーがK君から先方にメールで送られる。メールを見ると、「明日確認したいこと/その資料/そのポイント」が端的にまとめられていて実に素晴らしい。地味だけど、こういうことを丁寧にできる人はえらい。
「伝わる」ためには、「伝えよう」とするこちら側の姿勢がまず大切で。それが先回りの準備や資料につながって、スムーズな打ち合わせ、スムーズな制作につながる。とぼくは思っています。
K君はそういうところの学習能力が高くて素晴らしいなあ…と思いました。勘所を知っている。これからが楽しみです。
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