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20代のときに出会った電通の『鬼十則』

下記のツイートを見て、25年前の上司を思い出しました。

ある証券会社が独自調査で、 "出世する人・しない人" でどんな差があるのかを調査した。 結果はとても興味深いものだった。 個人としての資質はほとんど差がなく、 影響が大きかったのは、 「その人がどんな上司に出会ったのか」だったそう。

(A)優秀な上司に仕事や対人関係のベースを教わり、それを実践していく人。
(B)間違った仕事の進め方を教わり、周囲の期待と行動がズレてしまう人。
AとBとで差が生まれるのは当然だなぁと納得感が深かった。

「⚫︎⚫︎ガチャ」 って言葉があるけれど、 会社上司についてはこれ、本当にそうかもしれません。 上司になる人は 「自分が関わる方の人生をこれまでよりももっと良いものにしていく決意を持つこと」 これがすごく大事ですね。


新卒で入社した渋谷の小さな広告代理店。人生初の上司が電通の『鬼十則』を机に貼っている営業部長だった。

電通『鬼十則』
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる

https://gigazine.net/news/20070316_dentsu10/


上司の机に大切そうに張られた電通の『鬼十則』を見て、「悪い人ではないけれど絶対ぼくは向いていないから、自分なりの方法論で結果を出さないとマズいな。上司の兵隊だとこの会社ではヤバい」と思ってそのまま実践しました。今思うと結構人生の岐路だった気がする。

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その会社や上司がほぼ関わっていないジャンルを開拓するのが自分の実績づくりとして一番早いと思ったので、勝手に自社の強みと商品メニュー(広告枠)の資料を作り、2000年代にイケイケだったゲーム業界に勝手にアプローチした。その結果、当時勢いのあった新興ゲームメーカーの雑誌広告をほぼ一手に引き受けることに成功した。

その結果に上層部は戸惑っていたし、若造のしたことに諸手を上げて賞賛するという感じではなかったけれど、会社として新しい柱になるくらいの売上規模だったので、認めざるを得ないという感じだった。社長賞も渡された。たぶん入社2年目のこと。3年目にはその会社を辞めて、長野にUターンしてしまうのだけど。

新興ゲームメーカーの雑誌広告の年間予算を形にできたので、所属は営業部だったけれど実際はそのクライアントの専任的な立場になれた。なので、毎月の売上確保に追われることはほぼなく、リリースされるゲームのタイアップ広告やパブリシティの企画や内容について顧客担当と時間を費やすことができた。その経験はとても勉強になった。今でも役に立っている。何より、上司の兵隊にならないで済むポジションを社内で確立できた。

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当時を振り返ると、電通『鬼十則』の下記3点は結果的に実践していたことになる。

  • 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない

  • 仕事とは先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない

  • 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする

だから、電通『鬼十則』が何の役にも立たない老害十則だとも思わない。(フレーズやフォントとかは当時も今も大嫌いですが)

大切なのは「何かの思想や思考を聖典みたいに掲げるだけで満足し、何も実践しないのは意味がない」ということで。それをしているのが上司ならなおさら意味がない。それを20代で間近に見れたのは大いに勉強になった。

有名なクリエイターや電通やコトラーやドラッガーの言葉を聖典みたいに掲げていれば「何者かになれた気分」やその業界への所属意識は味わえるかもしれないけれど、それで満足して「実は何もやっていない」の罠がある。それを20代で知れたのは自分の財産として大きい。

もう40代後半で後輩もいる立場なので、そうならないように気をつけています。いくつになっても実践は大事。

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