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誰かの死を受け入れられない

今日出勤中に学童から電話があり、急いで折り返した。このご時世、以前よりも子供の体調不良で呼び出されることが増えたので、(またか〜)と思いながら電話した。

すると、職員さんの話し方が何というか、的を射ない話し方で、(いや、こちらは急いでるんだが…)とイライラ。

どうやら息子の体調不良でもなさそうだし、会社に着いてから折り返すと告げて電話を切った。

もう一度電話すると、まったく予想だにしていないところからの話すぎて、驚きで今日1日全然仕事が手につかなかった。

会長さんの死

学校や保育園の役員はたくさんある。人それぞれ関わり方のスタンスは違うだろうけれど、私は「誰もやる人がいないならやる」タイプ。

実際お世話になってるし、今まで誰かが役員をやってくれているおかげで、子供や私が平和に暮らせているのは事実だし。

「うちは夫が政治家なので、絶対にやります!」とかいう積極的な人もいれば、「何が何でも絶対にやりたくない」という消極的な人もいるけれど、とかく学童関連の役員は消極的な人が多い。

みんな仕事で忙しいし、PTAみたいに「一度役員やったら2年はやらなくていい」みたいなお得な点もないもんね。

そんなわけで、私は昨年学童の保護者会の会長をしていた。

そして新年度になってもこんなご時世で全然引き継ぎができず、また次年度の保護者はたくさんいるのに、誰も立候補者がいないという難易度が高い学年で、やっと6月初旬に新しい会長さんを見つけて引き継ぎができたという状況だった。

長い会長としての日々、結構大変だったなーと思いつつ、「この係は要らないよね」とか「お弁当大変すぎ。外注入れたいよね」とか、色んな提案ができて積極的に関われた経験は貴重だったなーとも思っていた(すべての提案が実現したわけじゃないのが残念だけれど)。

引き継いだ新しい会長さんは、通学班も同じAさん。通学班の見守り係も、保護者会も、下の子の保育園の送りも、全部パパがやっている家庭で、会長を引き継いでくれたのもパパだった。

共働きが多い時代、こういう家庭は珍しくない。でもAさん家はママがまったく出てこないので、それもそれで珍しいタイプのご家庭だなーという印象だった。

Aさんパパは人当たりの良い人で、私と町で偶然会うと「こんにちはー!」と大声で手を振りながら駆け寄ってきてくれる、かわいらしい人だ。

息子のことも「本当に良い子!」と褒めてくれた。

今回の役員の引き継ぎは、立候補者がいないし声かけると逃げるしで、本当に大変な状況だった。そんな時に「誰もやる人がいないなら、僕がやりますよ」と声をかけてくれたのがAさんパパで、本当に良い人という印象が強い人だった。

学童からの電話は、そんなAさんパパが亡くなった、という知らせだった。

毎日誰かが亡くなる世界

30代にもなると、出産の当事者になるし、近しい人を亡くす経験をすることもある。

毎日誰かが生まれて、誰かが亡くなる世界だもの。昨日まで会っていた人が、突然いなくなってしまうことも、経験したくないけれど、あることは事実。

私自身も近しい人の訃報に触れてきているし、今年に入って3人目の子を流産する経験もしていた。全く乗り越えられてはいないけれど、どうにか毎日を送っている状況でのAさんパパの訃報だった。

すごく仲が良い人でもないけれど、直近で接していて、連絡先も知っていて、Aさんパパの子供たちも知っている。

衝撃的な学童からの電話を受けて、とりあえず会長職は私が巻き取ることになった。いや、そんなことはどうでも良いんだよね。

Aさんパパははつらつな人で若かったので、突然の訃報は受け入れ難いものだった。Aさんママとは会ったことがないので、私にできることは何もないけれど、それでもAさんママの苦しみ、Aさんの子供たちの悲しみを想像すると胸が締め付けられる思いだ。

「あんなに良い人がなぜ」多くの人が思うことだと思う。そして訃報に触れるたびに、人の命の儚さを思い知らされる。自分だってそうだし、自分の家族だって、友人だってみんなそう。いつかは亡くなるんだよね。そんなことは分かっているが、どうにもやるせなく、受け入れられない。

平気な顔なんてしてない

親を亡くした人、子供を亡くした人、夫・妻を亡くした人、友人を亡くした人。たくさんの別れがこの世界にはあるし、みんな経験していること。

「だから大丈夫。あなたも受け入れられる時が来るよ」という人もいるけれど、私はそんなふうには思えなくて、平気な顔して生活することなんてできないとも思ってしまう。

でもみんなもそうなんじゃないかとも思う。私が勝手に「平気な顔」と思っているだけで、本人はちっとも平気な顔なんてしていないんじゃないか。

Aさんパパがまた「こんにちはー!」って笑顔で駆け寄ってきてくれる気がする。LINEで「学童の会長職の件なんですけど…」って相談してきそうな気がする。またAさんパパの笑顔に会いたいな…どうして会えないのだろうか。また明日がやってきてしまうし、そうなると忙しく生活しなきゃならない。

みんなどうやって乗り越えているのだろうか。この忙しなく悲しみの多い世界で。みんな本当にすごいな。


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