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夢追い人のタイムリミット

大学の4年間は自分の将来を顧みずに、ガムシャラに夢を追える最後の時間だと思う。

今回はそんな"タイムリミットを持った夢追い人"の話をさせてください。


今年、新社会人になった私が引っ越してきた場所は、某大学のスポーツ場から徒歩3分の場所。

大学の奥に位置するスーパーが最寄りであることをいいことに、スーパーに行く途中グラウンドでサッカー部試合をしていたらふらっとそれらを観戦するのがここ半年の楽しみになっています。


この大学(私の家から徒歩3分のところにある)は日本代表のトップ選手を近々で輩出している名門。
おまけに全学部が高偏差値で編成された名門国公立。
部活と勉強を両立させながら、学力で入学するのはかなり難しい。

だからこそ、高校時代にお声がかかるほど活躍をしていた学生でないと、この部活に入ることも、この大学に入ることもできない。

そんな学生達で編成されているチームだもの、実力も心構えも他の部活とは違う。


そして先日、久しぶりにこの大学のグランドで大きな招待試合があったため、ふらっと観戦した。

サッカー部の試合を見たのは7月ぶりだった。
相変わらず迫力がある。面白い。

でも同時に
"この中の何人が将来の道を既に決めているのだろう"
と思った。それは7月の試合観戦時には全く思わなかったこと。

そんなことを思ったのは多分、この2ヶ月間、チームのインスタやTwitterよりも、noteを頻繁に拝読していたから。


大学スポーツはnoteを利用しているチームが多く、うちの近所の大学のサッカー部もnoteを上手に活用している。
毎日更新されるnoteは日替わりで書き手が変わる。


そして、その中でも特に私の目を引くのは、引退間近の四年生が書いたものでした。

卒業したら実業団に所属する人、サッカーを趣味で続けていく人、きっとプロに挑戦するんだろうなという人。


あと、"サッカーをきっぱり辞める人。"

赤の他人だけど、彼の話がしたくて、今日はこんな記事を書き始めました。前置き長過ぎですね

彼の文章には初めから、他の"これからもサッカーに関わり続けるであろう人"とは違う、違和感があった。

彼の文章には頻繁に親や友人への思いが書かれている。
もちろん、他の人の文章にだって、親への感謝や友情は登場する。
でも、彼の文章はあまりにもそれが多い。
そしてそれらは大概"申し訳ない"という内容のもの。

そこから彼がどんな思いで大学サッカーに向き合ってきたのかがなんとなくだけど読み取れた気がするんです。
(最高におこがましい!!!!)

親の支配下から出ていかなければいけないとき、
人は自分の生活力や人間力といった"生きていく力"と、やりたいことにおいての自分の実力と伸び代を見比べる。

そのタイミングは大抵2回、高3と大4。
そして、彼にとってそのタイミングは大4だったんだと思う。

高校3年生はまだ未成年だから、進路決定には親の意思も少なからず介入される。

でも、大学4年生はもう立派な成人。
自分の道は自分で決めなければいけない、人のせいにはできない。
誰も力づくで"No"と言って止めてくれない代わりに、失敗は全て自分に降りかかる。
大学まで夢を諦められなかった人間が、自分の意志でそれを諦めなければいけない。

大学4年での決断は高校3年の決断より遥かに重い。

それに薄々勘付いているから、大学ではサークルだとか新しい部活に入るとかして、夢だったものを趣味に昇華していく人が多い。

その選択肢さえも振り切って、それでも夢を追う人たちの4年間だもの、重い決まってる。


大学スポーツは"高卒でプロになる道を選ばなかった人"
の集まりだ。
"選ばなかったのか"、"選べなかったのか"では大きく意味合いは違うけど、どちらにしてもここに属する人は"夢追い人"ではある。

そして、"選べなかった"側の人にとっては、その4年間は"夢追い人としての最後の時間"になるかもしれないし、その可能性の方が高い。

そんな、"これがラストチャンスかもしれない"
というような思いを持って4年間を過ごしている学生が実際、どの程度いるのかはわからないけど、親や友人のことばかりを書く彼の文章からは、そんな気持ちが痛いほど伝わってきた。


"これがラストチャンスかもしれない"って、
"信じてくれる親や友人そして自分自身のために"って、
歯を食いしばって生きている彼は俗っぽいモラトリアム大学生とは対照的なところにいる。
4年間を力の限り動いていた。



4年間のうちに数回しかないであろうnoteを書く機会に"自分自身の気持ち"よりも"周囲の人達への気持ち"を中心に書く彼は、

"夢を追うということは自分1人の問題ではない"って考えているんじゃないかなと。

だからこそ、大学4年間で結果が出せなかったらきっぱり諦める覚悟を、初めから持っていたんじゃないかなと。

この"4年間というタイムリミット"を彼は、私には到底持てないような意志を持って、本気でサッカーと向き合っていたんだろうなと。

彼に会ったことも、彼がどんな人かもわからない赤の他人の私は、彼の文章からそんな彼の人物像を描いて、
勝手に納得して、勝手に感動してしまいました。



そして、強豪校であればあるほど、彼のような人は多いんじゃないかなとも思うんです。

そんなことを考えながらサッカー観戦をすると、
ちょっとした練習試合なんかでも、テレビで見る甲子園とかオリンピックとかと同じくらい感動できるんですよね。

だから大学スポーツ、あついんです。

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