梅雨の間、雨が降るたびに「雨」にまつわる言葉を題材にした約3000字の小説を書き続けます☔️
とある港町、小径の先の小さな本屋。
知り合いが始めた書店に立ち寄った際
「雨のことば辞典」という本を手にとった。
日本語の美しさを語る際に、よく雨を表す言葉の数が持ち出される。春雨、夏雨、秋雨、冬雨と四季に応じて名前が変わるだけでなく、同じ時期の時雨を石川県地方では「あがりにしき」福島県会津地方では「あぎあめ」と呼び名も異なる。
日本語を扱う物書きとして、また苗字柄、雨ことばを正しく、繊細に使い分けられるようになりたいと思っていた自分には、うってつけの本だった。
ペラペラと立ち読みしたあと、940円でそれを買った。
帰り道、手のひらを空にかざせばわかる程度の、微量の雨が降っていたと思う。
それがなんという雨なのか分からなかった。
知っていたいなと思った。
そしてぼんやりと、この辞典に載っている雨にまつわる雨ことば、1つ1つを題材に小説を書いてみようと思った。
豊穣に欠かせぬ命の恵みとして、時に川を氾濫させ、山を崩す自然の脅威として、古来より無数にアドオンされてきた雨ことば。
その多面性というか、1つの現象に内在するいくつもの物語が言葉という雨粒に化けて現代まで落ちている様は、なにかとても美しいことに思えた。
そしてそれは、不可知な世界のマルチレイヤーを物語とフェスティバルで体験できるように現す、自分の体験作品づくりのコンテクストと共鳴した。
というわけで、以下のようなルールで、梅雨明けするまで、小説を書き続けます。
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その1.
梅雨の間、雨が降るたびに「雨」にまつわる言葉を題材にした小説をその日のうちに書き上げます。
その2.
文量は約三千字とします。
その3.
雨にまつわる言葉は『雨のことば辞典』を参照に、五十音順に1つずつ題材にしていきます。
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ジャンルはボーダレスに、今まで書いたことのないあらゆるジャンル、テーマに挑戦しながら、物書きとしての地力を鍛えていきます。
夏、秋フェスの準備が大忙しの中、かなり無茶で、そして誰からも要求されていない自分勝手な企画だけど、小説家としての力を上げていくことが自分にとってかなり重要なウェイトを占めるので、挑戦します。
以前、
雨宮姓の起源を探る旅に出ていた際
神道の起源の1つとも言われる神社へ行くと
雨の神が祀られていた。
境内に入ると突然豪雨となり
本殿へ雨宿りさせていただくと
90歳は超えるであろう仙人のような宮司さんが現れて
せっかくだからと雨にまつわる話を聞かせていただいたことがあった。
その神社には雨の神とは別に、天の神、水の神、火の神、土の神などが祀られていた。雨は天や水とは違うのですか?と問うと、明確に異なると言った。
雨は命を巡らす循環の力そのもののことであると云う。
海が蒸発し水蒸気となり雲となり雨粒となり落ちて、山を下って川となり、木々や淡水魚、あらゆる植物やそれを食べる動物、すべての生命に命を巡らせ、海に還る。
この流れの力が「雨」なのだと云う。
この幽玄に、言葉をもってどこまで近づけるであろうか。
完走目指して頑張る。
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関東甲信の梅雨入りが気象庁より発表され次第
1作目を執筆→公開していきます。
最初は「あ」の雨ことばから。
「こんな未来あったらどう?」という問いをフェスティバルを使ってつくってます。サポートいただけるとまた1つ未知の体験を、未踏の体感を、つくれる時間が生まれます。あとシンプルに嬉しいです。