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Apple Watch で心筋梗塞予防

デジタルヘルス関連ニュース 9月第1週目

Fitbit, Apple Watch などのウェアラブルデバイスを利用した治験、研究が活況です。ジョンズ・ホプキンス大学やスタンフォード大学がApple Watch を利用した心筋梗塞予防の研究に参加すると発表しています。大手ウェアラブルを利用せず、独自に進めているのがGPx社です。
スタートアップの資金調達では、引き続き「自宅でXXX」系のサービスが調達に成功しています。

ニュース

Apple Watch、心筋梗塞を予防して血液希釈剤を制限できるか検証開始

米国立衛生研究所の一部門である国立心肺血液研究所は、心房細動による心筋梗塞を防ぐために使用される高価な血液凝固阻止剤の使用を削減する戦略の一環として、Apple Watchを使用できるか検証する研究者に3700万ドルの助成金を提供すると発表。この研究には、米国心臓協会、ジョンズ・ホプキンス大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校もパートナーとして参加している。

心房細動は成人の心臓の鼓動障害の中で最も多く、250万人から500万人の米国人が罹患している。2030年までに1,210万人に増加すると推定されており、2013年の調査によると、2010年の心房細動患者数は全世界で3,350万人と推定されている。

来春開始予定の7年間の試験では、5,400名の患者さんを募集し、血液希釈剤による標準的な心房細動治療またはApple Watchによる治療を比較検証する予定としている。

https://www.fiercehealthcare.com/digital-health/nih-funded-study-test-if-apple-watch-can-prevent-strokes-limit-blood-thinners

米国の平均寿命、2021年に急降下、約1年減少

アメリカ政府の報告書によると、アメリカ人の平均寿命は2021年に2年連続で低下し、2020年から1年近くも減少した。2019年は78歳10ヶ月、2020年は77歳で、昨年(2021年)は約76歳1ヶ月に落ち込んだ。米国の女性の平均寿命は、2020年の80歳弱から2021年には約10ヶ月低下して79歳に。男性の平均寿命は約74歳から73歳に丸1年縮まっている。

COVID-19による死亡が主な原因と言われている。2番目に多いのは不慮の事故による死亡で、主に薬物の過剰摂取が原因と言われている。薬物過剰摂取による死亡件数は、2021年、記録的な10万7千人まで増加した。

自殺者に関しては、2000年代初頭から2018年まで増加したが、2019年に少し減り、パンデミック初年度の2020年には再び増えている。CDCが公開しているデータによると、米国の自殺者数は昨年2021年は、約2, 000人増え、4万8,000人となった。米国の自殺率も10万人当たり13.5人から14.1人へと上昇し、2018年の水準程度まで上昇している。

Yes Health、糖尿病予防プログラムをカナダで試行

カナダ、アルバータ州の国民保健サービスは、2型糖尿病の発症と費用の削減を目的としたプログラムを試行するため、米国のデジタルヘルス企業Yes Healthと提携した。2014年に設立されたYes Healthは、糖尿病予防、減量、コンシェルジュによるヘルスコーチングを全てアプリで提供している。同社は、より良い栄養、運動、健康サポートを通じて、慢性疾患の予防と管理、総合的な健康ライフスタイルの促進を目的としたテクノロジーツールとパーソナライズされたコーチングを提供している。Yes Healthのサービスには画像解析技術も含まれており、利用者は食事の写真を撮ると、AIを利用したヘルスコーチの指導を受け、より健康になるための方法を学ぶことができるという。

糖尿病管理は、デジタル技術を駆使して参画する会社が増えている。有名企業では、Omada Health、Verily の OnduoNoom がそれぞれ独自のプログラムを提供しており、プライマリーケアのCarbon Healthも昨年プログラムを立ち上げたばかり。

Rock Healthの調査によると、糖尿病ケアのスタートアップは、わずか2年前の6億ドルに対し、昨年は18億ドルの資金調達に成功したという。

https://www.fiercehealthcare.com/digital-health/alberta-health-services-major-payer-tap-yes-health-pilot-ai-powered-virtual-diabetes

パンデミックで読解力と数学の点数が低下

教育省は、パンデミック発生以来初めてテストの得点傾向を調べた結果、4年生の数学と読解の得点が、ここ数十年で最悪の落ち込みを見せていることを明らかにした。このテストはアメリカの9歳の生徒を対象に実施されていて、全国学力調査として長期的な傾向を図る目的で実施されている。

2022年の読解の平均スコアは500点満点中215点となり、2020年から5ポイント低下した。数学のスコアは7ポイント低下し、234となった。読解のスコアは1990年以降で最も低下し、1973年に数学のテストが始まって以来、数学では初めて統計的に有意に低下した。数学と読解のスコアは、1990年代以降で最も低い水準にあるという。

数学の成績では、黒人と白人の生徒の間の格差が拡大していることも判明している。一方、アジア系の生徒のスコアは、読解で1ポイント向上し、唯一のポジティブな結果であった。地域別では、中西部と北東部で最もスコアが低下し、読解と数学の累積スコアはそれぞれ16ポイントと15ポイント低下している。

テストの点数は、将来、何年にもわたって経済・国力に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。研究者は、より強く・たくましい大人になる子供がいる一方で、この年齢で学業に遅れをとった多くの子供たちは、その後も遅れをとり、生涯にわたって苦難が増えるリスクを抱えることになる可能性もあるという。

Walmartが臨床試験事業を立ち上げの商標特許を申請

8月11日のWalmart Healthcare Research InstituteとMy Health Journeyの商標書類によると、小売最大手のWalmartは医療科学におけるデータをまとめ、研究と臨床試験におけるプロジェクト管理を提供するとしている。ウォルマートは、何年も前から薬局を展開しており、今回の臨床試験への進出は、さらなるヘルスケア領域への進化・深化と考えることができる。

また、5月にウォルマートはオンライン糖尿病プログラムを展開し始めている。2021年5月には遠隔医療プロバイダーのMeMDを買収し、Walmart Health Virtual Careと改名。自社のクリニックとオンラインケアサービスの統合を進めている。さらに、ウォルマートは医療施設が不足している地方にもWalmartクリニックを展開する意向を示している。

他の小売事業社も同様に、ドラッグストア大手のWalgreens が6月に臨床試験事業を立ち上げ、CVSも医薬品開発企業や医薬品開発業務受託機関(CRO)にサービス提供する臨床試験事業を発表している。CVSのサービスは米国におけるCOVID-19の臨床試験を前進させるのに大きな役割を果たしたと言われている。


スタートアップ資金調達

Neurofenix

  • 8/29/2022、シリーズA; $7M

  • VC - AlbionVC、HTH、InHealth Ventures

  • 自宅で可能なリハビリテーションのデバイス

  • ニューロボールと呼ばれるデバイスは、ユーザーが簡単に装着でき、肩から指先までの上肢のあらゆる動きをモニタリング出来る仕組みになっている

  • 患者さんのニーズやリハビリ具合を反映した形で、自宅で運動や動作をより頻繁に行えるようにする事が可能

  • 使いやすさ、ゲーミフィケーション、アルゴリズムによる調整で、効果的な運動を促進し、効果的にリハビリが可能になる

Theranica

https://theranica.com/

  • 8/31/2022、シリーズC; $45M

  • VC - New Rhein Healthcare Investors、aMoon、Lightspeed Venture Partners、LionBird、Takoa Invest、Corundum Open Innovation

  • 薬物を使わない片頭痛の治療デバイス。片頭痛が始まった時に上腕に装着するアームバンド。

  • 12歳以上の利用に対してFDA認証を取得済み

  • 末梢神経を経由して、電気信号を脳の痛みを調節する部位に届けることで、痛みの信号を遮断する

  • スマートフォンのアプリで、神経刺激治療の開始、一時停止、停止、45分間のセッションの強さのコントロール、症状の追跡が可能。かつ、データはすべて医療従事者と共有することができる

  • 2,3000人を対象にした検証では、慢性的な偏頭痛を持つ患者の20%で痛みが完全に消失し、全体の3分の2が2時間以上痛みが緩和された

98point6

  • 9/1/2022、レイターラウンド; $20M

  • VC - L Catterton、Activant Capital

  • ショートメッセージを駆使したプライマリーケア

  • ワシントン州最大の医療ネットワークであるMultiCare Health Systemとの契約において、同社のオンラインサービスのライセンスを提供すると発表。98point6 がライセンス提供を行うのはこれが初となる。

  • ライセンス購入する MultiCare Health Systemは、自社の一部門で、軽症やケガの緊急ケアを扱うIndigo Healthに利用する予定。Indigoは2015年に設立され、ワシントン州内に35の緊急ケアクリニックを持っている

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