見出し画像

「Snow White and the Seven Dwarfs」 「第3話」

「貴方に刻んでほしい遺体があるんです」

真っ赤に染まった口紅が、まるで血のように見えた。

その綺麗に整った彼女の唇から、息をするかの様に。

“What’s the different between murderer and surgeon?”

僕の欲望という感情がカッと沸いた。

この人を得るためなら僕は自分の両親すら切り刻む…。

この人を抱けるのなら、我が腕に。

自分の中の欲望がこんなにどす黒く、醜く、残酷なものだとは知らなかった。

…奈落に落ちていくのなら喜んで落ちていこう。

どんな形の愛情であれ、愛だというのなら、僕は今生まれたこの感情を愛だと認識したい。

…彼女を手に入れれるのなら、僕は…。

「はい、貴方の望み通り切り刻みます。」

「ただ…」

「僕のものになってくれますか。」

…自分自身でもこんな支配欲丸出しの言葉が自然に出てきた事に驚愕をしたが…それほど欲していた。

この目の前にいる、白雪姫の様に白い、美しい人を。

どんなに残酷で、無慈悲な…あのグリム童話の“白雪姫”の様に…

目の前で、石炭の火の上に、鉄で出来たまっ赤に焼けた靴をそれを火ばしで、女王さまの前に置き、そして、無理矢理女王さまに、そのまっ赤に焼けた靴を履かせて、倒れて死ぬまで踊らせた…白雪姫…自分の結婚式に…。

まるで悪魔の様なマリア様…

彼女は、綺麗に整った唇を動かし

「はい、貴方のものになります」

ふんわりと笑って言った。

あぁ…僕だけのマリア様…

その夜僕は犯す様に彼女を抱いた。

自分の欲望のままに。

月夜に光る彼女の肌が余りにも甘美で…。

果てることのない沸いてくる欲望のままに。

僕だけのマリア様を…。
彼女の中毒性のある独特の雰囲気に溺れた…。

7人の小人もいらない、僕が全てを…彼女の望む全てを叶えるから、他は死んでもらう、王子も然りだ。

…残酷なまでの悪魔の様なマリア様…

僕が初めて自分で求めた、最も残酷で甘美な人。
後悔はない…ただ嬉々として彼女に仕える事の喜びしかなかった。

奈落に落ちていくのはわかっているが、それでもいい。
彼女が僕のモノになるのなら。


↓「Snow White and the Seven Dwarfs」 「Epilogue 1」


#創作大賞2023
#小説
#オリジナル小説

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?