見出し画像

「I’m A Japanese Murderer 」 第5話

ガシャーーーン

お皿を飛ばされ、踏みつけられた

「…お前は食う資格もないんだよ!ジャプが!」

無言のまま立ち、飛ばされたお皿を手に取りトレーに戻し、何処にいくかと思えば、厨房に向かい

「折角作っていただいたのに召しあがる事ができず申し訳ございません。今後このようなことは二度と起こさせませんので、ご理解下さい」

…そのトレーを戻した後、お皿を飛ばしたやつの目の前に立ち、“やつ”は言った

「食べ物を粗末にしないで頂きたい。貴方の暴行は許されるものではないので、理解していただきます。」

そう言った瞬間、

ドンっ!!
食堂内に響いた音に皆振り返った。

男が声をだし、床を舐めていた。

そして、「呼吸が…いてぇ!!何したんだテメェ!!
こ…呼吸が…!!!で…き…」

過呼吸になっていた。
呼吸が…で…きないと振り絞る声で言った。

「2度としないというのなら、呼吸を戻します」

身長差を20も超える大男が呼吸できず、涙を流して詫びを入れていた。
とりあえずその場は、なんとか看守も来て収まったが、皆たまたま当たりどころが悪くてそうなっただけだろうと”やつ“のことを軽く見ていた。

…しかし恐れていたことが起きた。



病院送りになったのだ。…”やつ“を犯そうとした奴が。

シャワーを浴びていた時にそれは起きた。

我慢ならなくなった巨漢が彼のシャワー中に背後から襲ったのだが、瞬時のことで看守も気付けなかったが次の瞬間、男の悲鳴が響いた、シャワー室に。

看守が駆けつけると、巨漢が大量の血を流し、へたれこんで泣き叫んでいた。

やつは裸で何も武器など勿論持っていなかったが、巨漢は致命傷を負って病院送りとなった。

…戦慄が走った。Ninjyaがいると。暗殺されると。

恐れられた。

”やつ“は相変わらずの冷静さで、常に平常で、いつも綺麗にしていた。
マットレスを取られても怒ることなく普通に床に寝て置き、全く恐れる事なく、ただ淡々と刑務所内を綺麗に掃除していた。
シャワー室やら、剰えトイレですら。
最初は皆気持ち悪がっていたが、誰しも綺麗な方がいいのだろう…”やつ“が掃除した後に使うようになり…
それが徐々に他のものにも影響し、自発的に掃除する者もでてきた。

週を空けて会う度に、「日本」らしくなっていっていた。
…なんだか、これは何かを始まりを示しているようで違和感を感じずにはいられなかった…。


↓第6話

#創作大賞2023
#小説

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?