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【4/26開催レポート】“未来の逆転” がここから始まる!? 「2040コミュニティ」ワークショップ

未来を明るく&面白く変えたい! そんな想いから立ち上がった「2040コミュニティ」( 2040独立自尊プロジェクトコミュニティ)。
そのきっかけは「2040年問題」。こんがらがったスパゲティのように、人によって見え方が違う。関係が複雑に入り組んで、これまでのやり方が通用しない——。
そんなときこそ逆転の発想。職種や肩書きは関係なし。学生、研究者、企業、その他……みんなでピンチをチャンスに逆転する、前代未聞のコミュニティを目指します。

その本格始動を前にして、まずは「どんな場にしたいか?」を考えるワークショップが開催。「あの日がすべての始まりだった……!」そう語られる未来に向けて、ここにレポートをまとめます。

▶ 「IMPACTISM」の概要 & 宣言文


イベント名
「KGRI 2040独立自尊プロジェクト」コミュニティ・ワークショップ
実施日/実施方法
2022年4月26日 CIC Tokyoにて実施

記事制作スタッフ
写真:沖江佳子(慶應義塾大学 2040独立自尊プロジェクトコミュニティ担当)
文:深沢慶太(編集者/IMPACTISM記事編集ディレクター)



【2040コミュニティとは?】 専門家も学生も!
肩書き無用の “未来逆転コミュニティ”


まず最初に自己紹介を。私はフリーランスの編集者として、雑誌の記事や企業の仕事などに携わっています。そのなかでここ数年、こんな言葉を耳にするようになりました。
「社会の変化が激しくて、時代の先行きが読めなくなった」。大企業の幹部から、AIや創薬関連の起業家、大学や研究所などの専門家、ジャーナリストやアーティストに至るまで。ありとあらゆる領域で、それまでのやり方が通用しなくなっている。
でも逆に、わかっていることもあります。その一つが「2040年問題」。日本の高齢者人口が2040年には4000万人に達し、経済の急激な減退や社会のインフラの崩壊など、国家レベルの危機に陥るというのです。ではどうすればいいのか?「先が見えない」からこそ、何とかする方法を自分たちで考え、切り開いていかなければなりません。

そのために立ち上がったのが、慶應義塾大学KGRIによる「2040独立自尊プロジェクト」。そして、この「2040コミュニティ」です。
2040年問題は職業や肩書きに関係なく、すべての人に関わること。個別の領域では手に負えない問題だからこそ、あらゆる知見や視点を結集し、常識をひっくり返していかなければならない。つまり、専門家も学生も素人も関係ない。これまでの壁を乗り越えて、誰もが率直に意見やアイデアを共有できる場=コミュニティが必要だ、というわけです。

4月26日に行われたのは、その発足に向けたワークショップ。まずは、いろいろな人をまぜこぜにしてみる。そして、どんな場にしたいかを考える。いわばウォーミングアップです。
会場は、東京・虎ノ門ヒルズに位置する「CIC Tokyo」。世界中の起業家や投資家、企業や公的機関の関係者が連携し、イノベーションの輪を広げていくための集積拠点。そこに、慶應義塾やその他の大学から医学や工学、システムデザイン、法律などの研究者や学生、都市開発や精密機器、化粧品などの企業関係者、さらに自分のようなフリーランスまで、多様な顔ぶれが集まりました。


【参加してみた】  マジメだけど面白い!
「2040年どうする?」ワークショップ


この日の参加者は30人余り。5〜6名ごとのグループに分かれて、最初に一人ずつ自己紹介をします。ワークショップにはルールがあり、まず「先生」という呼び名は禁止。お互いの違いを尊重し、楽しく話を膨らませるために、ニックネームで呼び合うのが基本です。
メニューは大きく2つ。まずは「どのような2040年を実現したいか?」。暗いフラグを回避して、どんな未来を生きたいか。漠然と「先が見えない」と悲観するよりも、イメージをより明確にすることで、新しい可能性を見つけようというのです。

私が参加したグループ2でも、さまざまな意見が交わされました。例えば、KGRI特任准教授の河嶋春菜さんが望むのは「AIの発展で法律問題がほとんどなくなった社会」。法律の研究者から飛び出した、予想外の発想です。理工学部機械工学科の松浦航さんは「人が互いに足を引っ張り合わず、誰もがやりたいことを実現する社会」。東京エレクトロン株式会社サステナビリティ統括部長の荻野裕史さんは「技術が発展しても、人間らしい心を保っている世の中」をイメージ。テクノロジーに関わる人が技術とともに人間のことを考えている。これも意外な発見でした。話題はSNSから教育機会、ジェンダーや環境問題まで。異なる視点が掛け合わされ、イメージがどんどん膨らんでいきます。
そして、グループごとにディスカッション結果を報告。グループ2からは理工学研究科開放環境科学専攻の菖蒲健太さんが「多様性を認め合い、あらゆる壁のない社会を実現したい」と発表しました。

次のお題は「理想の2040年を実現するため、このコミュニティに何ができるのか?」。先ほど考えた未来像に向けて、長期的・短期的なアプローチを考えていきます。
以下はグループ2の討論から。「人々を分断するのではなく、多様性を認め合うツールとして技術のあり方を考えたい」と、理工学部機械工学科准教授の石上玄也さん。理工学部電気情報工学科の三友陽向さんは「自分にできることは何かという、当事者意識を育むことが大事」。無関心こそが最大の課題だという視点を提起しました。私からは「この場で得た集合知を発信しつつ、一人ひとりの共感力を高めていきたい」。

これらの議論を集約して、河嶋春菜さんから「2040コミュニティの多様性を活かして、異質なものに寛容性のある2040年を実現する。そのために今年はコミュニティの土台を固める」と結論を発表。
他のグループからも多様性という言葉が多く挙がる一方、実現の足がかりとして「心理的安全性が重要」「自分の行動の影響を可視化したい」「まずは飲み会をやるべき!」など、いろいろなキーワードが飛び出しました。


【まとめ&感想】 期待度大!
未来のインパクトがここから始まる!?


こうして2時間のワークショップが終了。「2040コミュニティ」の本格始動に向けたウォーミングアップ……ということでしたが、学生からは「先生方と同じテーブルで話すことができて、視野が大きく広がった」、研究者や企業の参加者からも「いまの学生たちのリアルな感覚に、目が覚めるような思いがした」と、ポジティブな声が頻出しました。
参加者個人のレベルでは、今日の気づきが新たな興味や発想につながる。それがコミュニティのレベルでは、課題の可視化やアイデアの創発など相乗効果をもたらして、未来を変える気運を育んでいく。このサイクルを回していけば、暗い未来予測をひっくり返し、明るい前途をみんなでカタチにしていけるかもしれません。

そもそも、これはまだ序の口の話。この手応えを皮切りに、これから何が繰り広げられていくのか? まだ見ぬ人たち同士が出会い、知らなかった世界と世界が融合して、思いも寄らぬ技術やメソッド、エコシステムが立ち上がっていく——。「2040コミュニティ」がもたらすインパクトに、大きな期待が膨らむワークショップでした。