その悩みを世界とつなげればいい

今回は、ベルリン国際映画祭で入選されたショートフィルムをみんなで観る酒場でした。

少年兵の問題をとらえた、日本の「平和」とコンゴの「戦争」との対比が、とらえやすく配置されたフィルムでした。
http://www.bravofilm.jp/archives/project/ninja-soldier

自分の母を殺して、兵隊に入るしかなかったコンゴのニト、8歳。人を殺しています。対して、忍者ごっこをして「敵を倒す真似事」をしている日本のケン、8歳。夕方になれば母が迎えに来てくれます。

「こんな世界があるのか」

以前、観た時にも感じたのは、日常を生きているだけでは、向き合えない景色でした。

そんな世界のために、何ができるだろうか?自然と、自問自答が始まります。

そんな中、酒場の来店者の一人が、ヒトデを拾う人の話をしてくれました。ある海で、ヒトデが大量に打ち上げられている。それを哀れに思った人が一匹一匹拾って、海に投げ返していました。そこに、サラリーマンが通りかかり「そんな無駄なことやめなよ。すべては救いきれないよ」と投げ返している人に言ったそうです。

そこで、投げ返していた人は「でも、私が投げ返したことで1匹は救われたと思う」と言ったそうです。そこで、サラリーマンは「それもそうか」と思い、浜に下りて投げ返すのを手伝い始めた。

「すべては救えないかもしれないけど、目の前のことは」というメッセージだったと思います。

個人的な話ですが、今日は仕事で中学3年生に向き合っていました。ある女の子です。彼女は勉強に身が入らず、苦手なのもあるでしょうが、いやいやと問題に向き合っていました。一緒に考えながら、話を聞いていると「高校に行きたくない」ということをまだ抱えているようでした。勉強が嫌いだし、わからないし、生きるのには困らないだろう、と。

私は、かける言葉に困っていました。現代日本で高校に行かないことは、将来、不利になる可能性が高くなります。そんな「未来」のことを考えずとも、そもそも私は「考えるのが好き」な人間なので、その楽しさを知ってほしいとも思っています。それでも、関心がない、いやだと思っていることに強制することは、どこか心が揺れ動いていました。

少年兵の問題は、レアメタルをめぐっての採掘権が大本になっているそうです。レアメタルは、私たちが生活で使っている電子機器に使われています。すなわち、「地続き」のお話です。

そんなお話や、来店者の思いや感じたことをお伺いしていると、ふと、「悩みも地続きととらえればいいのかもしれない」と思いました。

「高校に行くのが嫌だ」という悩みと、「人を殺したくない」という悩みは、レベルは全く異なる層にあったとしても、同じように扱うべき問題なのだろう、と。

人は、人の心や関心を「大事」にできなくなったときに「境界線」を引き、排除し、見下し、さげすむようになると思います。

ならば、目の前にいる彼女の悩みにきちんと向き合うことは、コンゴの少年兵の問題にきちんと向き合うことと、どこかでつながるように思ったのです。

知ることが大事。思いをはせることが大事。考えることが大事。行動することが大事。このすべても「つながって」います。

日常のなかでの悩みを、世界とつなげる。それが「グローバル」に生きるということかもしれません。

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