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電気を点ける人ですか?

大学時代のことだ。お昼休みを挟んだ講義だったはずだ。私は生協でごはんを食べたあとに、近くの教室に向かった。休み時間残り10分ほどのときに着いたと思う。

部屋は、暗かった。

中に誰もいないかと思ったが、入ってみると10名ほどの学生がすでに部屋にいた。窓からはたしかに日差しがすこし入ってきているが、それでも暗い。一人の学生は、そのなかでも本を読んでいた。

入り口からすぐのところに、電灯のスイッチがあった。点けてみると問題なく部屋は明るくなった。

なぜだろう?

節電の精神にあふれている人たちだったのだろうか。ならばよい。

しかし、そうは考えられなかった。では、暗さが気にならなかったのか?いや、たしか本を読んでいた人は読みづらそうに日差しに本を傾けていた気がする。

考えられる理由はただひとつ。

面倒くさい、だ。

大した問題ではない。たかだか電灯ひとつだ。

しかし、点ければみんなが明るさを享受できるものだ。戦時中の管制下ではあるまいし、点けてはならない理由もなかった。

不思議だった。

これと同じことが社会全体で起きてないだろうか?見て見ぬふりをしてないだろうか?

そんなことを考えたときに自分自身も、すこしうすらさむくなった。

彼らは、もしかして気づかなかったのだろうか。それならば、なおさら怖い。

私は、誰かのために明かりを点けられているだろうか?

以前、この話を短く甲野先生のメルマガに書いたが、最近またとみに思い出している。

以下オマケ

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