うつ状態での家事つらい。言葉のプロが考える「家族に言う方法」
前回のあらすじ「やらないほうがいいことはやらなくていい！テレビ見ない＆ガマンしない＆家事しない！」
脳内読者の声「家事も仕事もちゃんとやらないと同居家族に殺される！」
日野「だよねー。」
というわけで今日は、2021年ゴールデンウィークを手抜きしまくってうつ回避するために、家庭内の調整の方法についてでございまする。
株式会社イメジン、ブランディング担当ライターの日野成美です。
前回の記事はこちら💁♂️
私事で恐縮ですが、私はつい最近まで一人暮らしだったのですが、こないだ二人暮らしがはじまりまして。
うつヌケハックの考え方っというか、書き方が90度くらい変わりまして。
いや負担大きいね二人暮らし！？シャンプーの銘柄1つとっても確認が必要だし、タオルがぶんながってる（これ方言？考えないで感じて！）からって洗濯していいわけじゃないし、生まれてから約32年間で過去サイコーに楽しいけど、もう勝手に朝マック行かないしポテチも買うかどうかまず相談しなきゃってなっちゃう！まぁ自由に買っていいっていわれたけど！
同居人がいるということは、共同体での生活です。
平和なうつヌケのためには、共同体構成員＝家族との認識の一致が不可欠。
そしてうつ病の人と多く関わってきて、私は感じていました。
かつての私をふくめ、伝えることをあきらめている人が多すぎる、と。
たしかにこの世には、救いようのないレベルのモラハラ人間もいます。
このクラスになると私もさすがにどうしたらいいかわかんない。
話が通じない人間っているんだね……（ガクブル）
しかし世の中のかなりの割合を占めるのが、
「わかるように言ってくれないから、相手の負担度合いがわからない」パターン。
今日は家庭内に少しでも情愛やいたわりがあるならやる価値がある、「言う」というアクションについて。
うつ病がつらくて家事をやめたいと願っている方はぜひお読みくださいね。
「家事は女性の仕事」というようなジェンダーロールで生じるロスについては今回、取り上げないことにしました。
家事の負担に苦しむうつ当事者は男性・女性を問わずいると判断したからです。
「得意じゃないけど家事をやってる人」「家事をほんとはやりたくない人」「家事が今、めっちゃ苦しい人」
すべてに捧げる記事です。
「ことばの力」を信じなかった私の人生最大のポカミス
私たちはそもそも、伝え方を教わりません。
「ことばで言っても正確なところはわからない」
「ことばはちゃんと伝わらない、行動で示すのがよい」
という世界観、空気を読み行間から真意を読むハイコンテクストなやりとりこそ美徳と、少なくとも私の世代（平成一桁生まれアラサー）くらいまでは考えられていたからです。
私も「ことばに力はない」という価値観に洗脳されて幼少期を過ごしました。
ここで私がやらかした人生最大のポカについてお話します！
生まれてから3個くらいしかない「あの時ああしていれば」の後悔です！！ほんっとあの時ああしてればよかったわ！！！
私は4歳のときから登校拒否児。
というのもいちご大福のようにかわいかった幼稚園年少のあの頃から10年間ずっと、自殺教唆レベルの暴言を同級生から受けてきていました。
毎日死ね死ねいわれ、体に影響があらわれ、横になると起き上がれないから椅子で寝るという伝説級の不調を経て、ドクターストップのおかげでめでたく不登校になったものの、
体も心もズタボロになっていた私が具合悪いということに、なんと両親ともに気づかない！
いじめについて学校から連絡が行っていると思っていた私は「学校行きたくない」と毎日泣いて行き渋りをしていました。でも行かせる両親。
それもそのはず！！
私は「学校行きたくない」とだけ言ってて、「毎日死ねっていわれてつらいから学校行きたくない」とは言わなかったのです。
なんときちんと状況を報告・連絡・相談したのは20歳の時！
その時の親「え、そんなひどいこと言われてたの！！？許せない！！」
ぜ、全身動かなくなるレベルでサイン出してたのに、気づかなかったんかー！！！
いや、そうだよね、
私くわしい事情、ことばで説明してなかったよね！？
体のサイン、無意味すぎ。
にんげんって、いわないと、わからないんだ！！！
……と気づいてからさらに10年、表現と伝達スキルを磨きまくって今となっては「言葉の魔術師、日野」の異名をとるまでになりました。
万葉集からカント（ドイツ近代哲学の人ね）まで、ありとあらゆる言葉と文章にふれた私がわかったこと、それは
・ことばにしないことは、認識されない。
・自分以外の人間は、自分に見えているものが見えていない（ことが多い）。
・言葉は、強い。
という事実です。
言わないことは、「ない」のと同じ
「なんでわかってくれないの！具合悪い中つらいけどやってるって、見ればわかるでしょ！」
いや、わかんない！
他人ががんばって何かをやってると「よし応援してる！（傍観スイッチON）」ってなって手を出さないのが礼儀だと思ってしまうものです。
てか他人も自分と同じかそれ以上にいそがしい！！
そもそも見てない！
ちなみに私の幼少期は父も母もウルトラ忙しくて、会社不沈の瀬戸際のスリリングな時代で3人も子ども育てて、状況ちゃんと伝えてなくて逆にすまんかった！察してちゃんだった私も私だわ！まぁ親も親なところはあるけど、私もだけどうちみんなベスト尽くしたわ！
よく、言葉にならないサインに周囲が気づけなかったのか云々という話になりますが、
気づけない！そういうもの！
ことばは正確なところを把握することができないって説も聞きますが、
ことばにしないと、把握するという発想すら出ない！！
言わないより言ったほうがいい！！！
初めにことばあり。
ことばにしてはじめて「そこに、それがある」と認識できるのです。
いわないより、いう方が、強い。
人間は察することができない。
そう考えたほうが、人生がラクです。
家族のあいだに少しでも愛情があるなら「料理したくない」「掃除したくない」は言ってよし
ところであなたはいま一緒にくらしている人のこと、好きですか？
「うんめっちゃ愛してる！」から「嫌いではないけど好きとは言いがたい」まで幅広い反応があることを踏まえて、完全に無関心ベースになっていない限りは「愛情がある」という認識でこのあとは突っ走ろうと思います。
同居人や家族とのあいだにほんのわずかでも愛情（関心）があるなら、イヤなことはいやんと言ってみる価値はあります。
そう、いわなきゃはじまらないのです。かつての私のように。
どうやって？
「料理したくない」
「掃除つらい」
「ゴミ出しきつい」
ただこれだけでいい。
理由とか言わなくても、いい。
「連休中だけ、家事休みたい。もういやだ。疲れた」
これだけでも、いいんです。
私は言葉のプロフェッショナルとして、「長く言わないほうがいいことば」というものがあることを知っています。
好きなら「大好き」だけでいい。
嫌なら「やだ」でいい。
シンプルにすることで、強力に伝わるものがあるんです。
便箋12枚のラブレターより「大好きです！」の一言のほうが告白はOKされやすいもんです。
渾身の想いをこめて、
「家事、休みたい。ゴールデンウィークは家事、やりたくない。」
って言ってみませんか。
ちょっとでも愛情がある家なら、だいたいすぐびっくりした反応でこんな感じに返ってくるはず。
「え、あっそうだったんだ！？いいよ今日セブンのお惣菜で。おれ買ってくるよ」
「ごめん！お片付けあしたやっとく！」
「うん、休んで。食器洗いとかやらなくてよくない？」
……まぁメイン家事担当が休むとなっても、代わりを申し出る人っていない可能性があると思うんですけど、
誰も家事をしない休日というのも、尊くありませんか？
みんな頑張ってます。
皿は洗わなくてすむように、紙皿に盛って割り箸でたべてピクニックごはんでいい。
掃除機をロボットに頼む選択肢を検討するのもアリかもしれません。
どんな風景が生まれたとしても、あなたが自分の負担を軽くしようとしたことが非常に尊い。
「やりたくない理由を言ってくれ」と言われた場合
「家事したくない」と言って、すんなり受け入れてくれた場合は一件楽着。めでたしめでたしです。
しかし結構な割合でこれが返ってくるでしょう。
「なんで？理由言って？」
……いや、理由っていります？
戦争や不倫にNOを叫ぶのに理由がいるのと同じくらい、いります？家事休むのに理由とか必要？
でもいざ私がうちの人から「料理したくない」って言われたら「えっなんで！？」ってなるね！心配だし困るしね！
家事を休む理由は一応用意しておいたほうがいいかもしれません。
よし、その理由はね、
「体がつらいから」
これ以上の理由はない！
「具合悪い、つらい、きついから家事したくない」
こう言われて「つらくても家事はするものだよ、だって君の仕事でしょ？」と実際に相手から返されたら、いますぐこの記事の次の章に飛んでください。
なぜこれ、今回いちいちこんな回を作って「やりたくないことは言おう！」とプッシュしているか。
相手の期待に反することをしたら、
「絶対怒られる」「出てけっていわれる」「生きてちゃダメって思われる」…
【今までそれ、実際に言われたことはありましたか？】
（※過去に実際にあった場合はこの章を飛ばしてください。スクロールして次の章へ進んでいただけると幸いです）
そう、意外と、「ちゃんとしないなら出てけ」とも「具合悪くてもやれ」とも言われないんですよ。
現実には誰からも自分のことを否定されないのに、「怒られたらどうしよう」と脳内でもう1つの現実を作ってしまっている場合もあるのです。
私はかつて、そのパターンでした。
だから今回、試してみてください。
もし少しでも愛情やいたわりが、あなたの家庭にあるとするなら、希望はあります。
無邪気にイヤって、言っていい。
言わないより100億倍くらい、いい。
状況をわかってもらうためには、言ったほうがいいんですから。
愛情がない家庭で家事をサボる方法
……まぁここまで愛情があることを前提にしてきましたよね。
愛情がサッパリ冷めた相手と仕方なく暮らしてる場合も世の中たくさんあるんですよね。
野原広子さん大ファンです。日本のモラハラ夫を描かせたら世界一だと思う。今のところマイベスト野原さんは「ママ友が消えた」です。
で、世の中離婚したくてもできなかったり、別居したくてもできなかったり。
家族と離れられない、まさに呪いのようになっている人がたくさんいる。
実際に、人格否定のことばが日常的に返ってくるような場合。
この場合は、同居家族に「ゴールデンウィークは家事の手抜き週間します！」と言う必要、一切ありません。
もう何もいわなくていい。
黙ってごはんをデリバリーにし、なんなら家事代行も頼んでもよいでしょう。
それで何か言ってこられたら「具合が悪いから」と断ればよいのではないでしょうか。
「愛の反対は無関心」です。
憎悪や嫌悪を通りすぎると、どうでもよくなります。
ことばが機能しないシーンというものもあることを、私も知っています。
それは相手に対する徹底した無関心のもとで、相互の秩序が保たれている場合。
ことばは、強いツールです。
攻撃、防御、魅力度、おそらく世界最強でしょう。
だからうまく使いたい。そう願っています。
うまくことばを使うとは、ちょうどいい長さであることです。
「家事やりたくない。」
あなたの中に同居家族に対して愛情があるなら、言ってみてください。
「言おうかなぁ、家族は愛してくれているんだろうか」とあらためて考える必要はありません。
マジで愛しあっていない場合は言おうかどうかを悩みません。「言う」選択肢すら発生しないからです。
過去の傷で、なにかを断ることが恐怖になっているあなたへ。
断ることで、イヤと無邪気に言えることで、あたらしい笑顔が生まれることだってあるんです。
「具合悪いから、家事、休みたい」
言う価値のあることばです。
応援しています。
次回「GW特集③連休中にやるうつヌケアクションを一挙ご提案！」
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