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休眠預金事業の通常枠における組織基盤強化の難しさについて考えてみた

先日、休眠預金の資金分配団体のPO(プログラムオフィサー)研修に参加してきました。

この研修は、3年間の複数年助成をしている資金分配団体で3年目を迎える組織を対象に指定活用団体であるJANPIA主催のものでした。

休眠預金制度や指定活用団体や資金分配団体などを知りたい方は以下をごらんください。


休眠預金は社会的インパクト評価をする必要があります。1年目に事前評価、2年目に中間評価、3年目に事後評価、4年目に追跡調査という流れになることが多く、研修では事後評価に関する内容が中心でした。

その研修の中で伴走支援について議論する時間がありました。6つ程のテーマを分けた分科会形式で、ファンドレイジングに関する会に私は参加しました。

休眠預金事業では、資金分配団体が助成プログラムを組成し、各地で事業を行う実行団体を公募します。そして、選考をへて複数の採択団体と協働していくことになります。

資金分配団体は資金的と非資金的の2つを実行団体に支援します。資金的支援は毎年500万円-700万円くらいの助成金を3年間渡すことです。そして、非資金的支援は社会的インパクトを増大させるための研修実施や伴走支援等の各種対応となります。

この非資金的支援は多岐に渡ります。

主にされるのが、事業の社会的インパクト増大につながる伴走支援です。資金分配団体がそれを行うことが多いですが、個別に専門知識のある伴走支援者を助成金を使ってつけることもあります。

また、事業に関する伴走支援は評価との関連性が強いので評価関連費用としてつけやすいです。

一方、組織基盤強化やファンドレイジングなどの助成金終了後の持続可能性を高る活動は、事業で社会的インパクトがでるのかどうかわからないかもしれない事業開始段階で取り組むのは難しいです。

また、団体によって寄付を集めているとか人材育成に力を入れているかなどはバラバラですので、そこへの研修や情報提供は難しくどうしても表面的になりがちです。

例えば、貧困の子どもに対する活動の助成プログラムだった場合、事業に関わるこどものアドボカシーに関することには実行団体のモチベーションは高まりますが、自団体のクラウドファンディングについては、既にやっている団体は知ってることですし、委託で100%やってる団体にとっては意味不明だし聞く意味もないことです。なので、助成終了後の持続可能性を高めるために様々な財源を意識した出口戦略を考えておいてくださいねくらいの表面的なことしか言えません。

そしてもう一つの視点は、複数の実行団体と共通していることと、団体固有のことがあることです。共通していることについては研修などになりますし、団体固有のことについては時間をかけて伴走支援をする必要があります。

これについても事業に関することは、資金分配団体は中間支援組織として伴走支援力があることや、専門家との人脈を持っていることが多いです。

一方、組織基盤強化やファンドレイジングなどは、資金分配団体自体が取り組めておらず伴走支援力がないことが多く、専門家とのつながりも少ないです。

また、組織基盤強化は社会的インパクト評価に含まれにくいので評価費用をつかって専門家を依頼するのも難しです。

状況をまとめたのが下図となります。

こうした状況で何が起きるかというと、事業最終年の3年目になり、事業で社会的インパクトがでそうな見込みがわかってきた段階でお金どうしよう!人繰りができない!となり焦るが、どこに相談しても答えが出ず、もがいている間に時間切れになるという事態です。

それでも事業の社会的インパクトは出ていれば意味があったとなりますが、出ていなかった場合は社会的インパクトも出ず、団体の活動も継続できず、いったいなんだったの?となってしまいます。

もし、組織基盤強化ができていたら、『3年間で目立つ社会的インパクトにはつながらなかったが、進めるための地域のネットワークや理解を進めることができたし、寄付や委託などにより継続していく目処がたっています』と評価をすることができます。

社会的インパクトのある事業推進と組織基盤強化は両輪なので、評価の中に組織基盤をいれることと、事業初期から専門家による伴走支援ができるようにしておく(予算枠、専門家のネットワーク等)と、こうした組織基盤強化の難しさが緩和されると思います。

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