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ファンドレイジングがうまくいっている団体が回している2つの評価のループ

某団体さんの伴走支援で、団体さんが助成金を獲得して実施することになった、団体の対人支援ノウハウを他団体にお伝えする連続講座の研修資料に対してフィードバックをするというお仕事をしています。

今回対象となる研修では、「対人支援活動に対する評価をどのようにすればよいのか?」というテーマでした。研修内容を検討するお話の前にこのような問いかけがありました。

今給黎さん、受講生の他団体の方とお話してわかったのですが、皆さん日々活動の改善をしている人たちばかりです。そういう人たちに今さら評価が必要とか言って響くでしょうか?評価ってなぜしないといけないのでしょう?

とても本質的な問いかけだなと思い、うーんとしばらく考えてからお答えしたのですが、その時に頭に浮かんだ2つの絵について説明していきます。

なんで評価するんだろう。そんな気持ちになったことがある方は是非読んでみてください。

個人的な活動の場合は評価は暗黙的にされる

NPOの活動は、困っている人をほっとけずに個人が行動をすることからはじまることが多いです。そうした個人的な活動の場合、対象となる人に対してはたらきかけをして、その反応がよければその行動を強化し繰り返し、反応が悪ければ改善していきます。

そうした改善や強化をした行動を続けていくことで、対象とする人の状況がよい状態に変化したなら、自分ができる範囲で活動を継続したり、その人以外の人にも向き合うことを判断していきます。

活動がうまくいっているかどうかや、続けるかどうかは個人的な思いで判断されるので、評価することを意識することはあまりありません。

個人的な活動の場合

多くの人を巻き込むためには受益者の反応と変化を言語化し評価していくことが大事になる

こうした個人的な活動から進んで、活動を一緒にしてくれる仲間が増えてくると(下図右側のループ参照)、自分以外も対象とする人にはたらきかけをするので、反応を言語化して仲間に伝え合い、それをもとに議論や対話をしながら、フィードバックをしあうことになります。多様な仲間の経験やスキルが組織知となって、いち個人で活動するよりもよりよいフィードバックとなります。それをもとに改善や強化の判断ができるようになると活動の質を加速度的によくすることができます。この一連の流れが、活動の有効性や効率性の評価となります。

多くの人を巻き込んだ活動の場合

次に上図の左側のループですが、活動を続けていくことで、対象とする人がよい状態になっていく「受益者の変化」を言語化し広く発信することで、同じ困難を抱える当事者や家族や友人などの関係者、関心のある人や団体が共感をして、寄付や助成金といった資金提供やボランティアやプロボノといった使役の提供や、企業からの機会提供などにつながります。そうした社会からのフィードバックがあることで、活動の社会的な意義があることがわかります。

社会的意義は自画自賛ではなく、社会的なフィードバックによってわかるものです。また、社会的意義が感じられることは、様々な人の寄付する理由となりますので、それを基に活動を継続したり、拡大させていくことができるようになります。

特に、困難を抱えている人があまりにも多くて、自分や仲間だけの活動や資産だけではそうした人が支援しきれない場合は、この活動の社会的意義の評価をすることを通じて資源を獲得していくことが重要となります。

事業がうまくいかない、ファンドレイジングがうまくいかないのはループのどこかが目詰まりしているから

逆に、受益者の反応を言語化せず、仲間に伝えないとなると、同じ団体に所属しているにもかかわらず人によって支援の内容や質が異なってしまいますし、組織知につながれないので手間だけ増えて行動の質は個人以下みたいなことにつながります。

また、受益者の変化を言語化しないでいると、社会的意義が高まらず、寄付や助成金、ボランティアや職員などが集まらないので、現行の活動規模のままでいつまでたってもビジョンの実現には近づかないことになります。

NPOで事業がうまくいっていないや、ファンドレイジングがうまくいっていない団体さんは、このループのどこかが目詰まりしていることが多いです。

うまくいっている団体は、受益者の反応や変化を多くの人と共有して議論し、組織知や共感につなげて、それをもとに評価しながら進めています。

こうしたループの目詰まりはなかなか自団体だけではわかりにくいものです。第三者の伴走支援者に見てもらうことで、課題点が明確になり対策しやすくなります。この記事を読んで目詰まりしているのは我が団体のことだ・・・と思われた方は伴走支援をご検討ください。

公式LINEやホームページからご連絡をお待ちしています。


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今給黎 辰郎(いまきゅうれい たつお)
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