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伴走支援で大事なのは、課題を可視化して変化を迫るよりも、何かが始まりそうな可能性を感じてもらって行動を促すこと~『実感の循環学校』の第3回空き家活用の会に参加して思ったこと~

千葉県君津市清和地区で開催された『実感の循環学校』の第3回空き家活用の会に参加してきました。

写真をクリックすると実感の循環学校のWebサイトにいきます

千葉県君津市清和地区の場所

位置的には千葉県の南に位置する君津市の南東の地区にあたります。千葉の南の海沿いに鴨川シーワールドという有名な水族館があるのですが、東京からそこに車で行くときは、東京湾アクアラインで東京湾を渡って木更津に入り、そこから館山道で君津ICでおりて下道で鴨川に向かうルートになります。その、君津ICから鴨川の間に通るのが清和地区です。低い山と田園風景が特徴の町で約2,500人が暮らしています。

https://seiwa-town.com/kurashitoshigoto/から抜粋

実感の循環学校とは

清和にある使われていない資源が、ポテンシャルあふれる地域の人や訪れる人との出会いによって、「こんなことできる」というアイディアとして生まれ変わり、みんなで清和の暮らしやシゴトなどのカタチ(実感)にしていく循環の学校です。ローカルやソーシャル分野で活躍する方々をゲストに迎え、全6回の内容で実施します。トーク、フィールドワーク、地域の方との交流を交えながら、参加者同士で感じた実感やアイデアが、実践の土台へと循環していく営みをサポートします。

https://seiwa-town.com/kurashitoshigoto/
から抜粋

第3回のテーマは空き家活用

私が参加した第3回に実践者としてお話をしてくださったのは、千葉県市原市養老渓谷で移住促進や空き家活用をする開宅舎かいたくしゃを運営されている高橋洋介さん。

高橋さんはNPO法人加茂地区活性化推進機構のメンバーと協力して加茂地区の空き家数を調査した結果、150軒の空き家があることがわかりました。このまま何もしなければ十年後には倍以上になる事実を住民に伝え、対応策を話し合いましょうと呼びかけたそうですが、当時それに反応する住民はいなかったそうです。

人がどんどん減っていく地方では、課題を放置すると将来こうなりますよと言っても住民は諦めていて動けないことがあります。

高橋さんは、そこで気づいたそうです。いくら課題を可視化してもダメで『解決しないといけない課題ではなく、何かが始まりそうな可能性にする』ことが大事だと。

それに気づいてから事業の方向性が定まったそうです。空き家紹介だけでなく、地域も紹介したり、移住された方を紹介する月刊開宅を地域住民向けに発行したりと、移住者と共にいい街にしていく考え方で行動されています。

山頂のキャンプ場に25人以上が集まって語り合う

会場は、車一台がやっと通れる急勾配の荒れ道を四駆でがたがた送迎してもらった先にあるキャンプ場で雰囲気満点でした。

実感の循環学校受講生と清和地区の住民、市役所の様々な担当課の方々など25名以上が集まりました。いつもは静かな場所だと思うのですが、今日は賑やかな場となりました。

当日の様子

何かが始まりそうな可能性

実感の循環学校の受講生は全6回の講座を通じて具体的なアクションを清和地区で行います。3回目の今回は、「自分の好きなこと」「自分の得意なこと」「清和地区の資源」「やれそうなこと」といったことをひとりひとり発表していきました。

最初に驚いたのは自分の好きなこと・得意なことをたくさん挙げる方ばかりだということです。楽器・スポーツ・アウトドア・旅行・DIY・読書などなどを複数楽しむ方が多く、アクティブな人たちでした。

お話を伺っていると、「もっと清和地区のことが知りたい!」というメッセージを発する方が多くて、知的欲求と何か具体的に何かをしたいエネルギーに充ちています。

地元の方からは、「そんなのはなんぼでもあるよ」「それはうちの農地でやったらいいよ」「それは○○さんのところでやれそう」などの地域資源が述べられます。

みなさん、自分がやりたいことを「私の妄想なんですけどね」とか「私が好きなだけなんですけど」と照れくさそうに言っているのですが、とても楽しそうに話しているのが印象的でした。

開宅舎の高橋さんが言っていた、何かが始まりそうな可能性というのはこういうことか、とわかりました。

自分の伴走支援のスタイルを問い直す

最近、自分のNPOへの伴走支援のスタイルに疑問を感じています。

事業面や組織面、財務面のできていないところを、お話を通じて共通認識を持って、そこから、行動策や目標設定をしてもらって、その取り組みに伴走する、こんなことをしてきました。

今まであまりやってこなかったことに着手するわけなので、効果や成果は出ますが、皆がハッピーではない感じがします。

頑なに変化を拒んだり、表面上は言われたことをするけれど実は不満がとてもあったり、無視をしたり怒りだしたりと、様々な人がでてくるからです。

こんなことがあるからといって私の伴走支援が全く価値がないかというとそうでもないなと思います。

クライアントのNPOさんは、これまでそれぞれが好きなようにやってきたけれど、より多くの人を支援するためには組織化を進めたり、資金獲得をする必要があって、そこに舵をなかなかきれない代表さんの役にはたっているような気もします。

変化には痛みが伴い、その痛みを強いる代表さんに多くの負荷がかかります。誰もやりたくない痛みを強いる作業を一緒に担うことは、誰でもできるわけではありません。

それでも、より多くの人が変化を前向きにとらえてもらえることはできるはずです。

伴走支援で大事なのは、課題を可視化して変化を迫るよりも、何かが始まりそうな可能性を感じてもらって行動を促すことなんだろうなと思います。

今回、実感の循環学校に参加して、これからの自分に大切な方向性を得られた気がします。自分の中で何かが始まりそうな可能性を感じました。


私はNPOの伴走支援をしています。このnoteを読んで伴走支援に関心を持った方は公式LINEやホームページからご連絡ください。

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