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畑には「間引菜」という秘密の収穫物がある

都内の小さな畑で野菜はじめて、「収穫はまだまだ先だな」と思っていたら、そんなことはなかった。

種から育てる場合、1か所に4粒くらい撒いて、育つにしたがって徐々に間引き、最後は1粒分まで減らしていく。最初から1粒しか撒かないと、それが発芽しなかったり、ちゃんと育たないともうアウトなので、そのリスクを避けるための方法でもある。

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大根ゾーン。まだ間引き中。

そして、この間引菜だけでも結構な量になる。全部間引いても消費しけれないので控えめに間引いていると(でも間引くタイミングが遅すぎると、最後に残したいものの生育を妨げてしまう可能性がある)、同じく大根の間引きをしていた畑のアドバイザーからも「間引菜」をいただく。合わせて、どっさり。

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間引菜は、栽培の過程で採れるもので、市場には出回らない。そういう意味では、自分で作っていないと手に入らないレアものと言えるかもしれない。大根の葉っぱ、と言ってしまえばそれまでだけど、この時期ならではの柔らかさがあって、いわゆる「大根の葉っぱ」とは違う。

でも、その間引菜の先には、しっかりと大根の面影を持つ根っこがついている。これから大根になろうという、その意思を途中で絶ってしまったようで、なんだか可哀そうなことをした気持ちにもなる。

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左:大根の間引菜。右:ラディッシュ(こちらは完成形)。

「最終的にちゃんとした大根がとれるように」という人間の工夫が、間引菜を生んでいる。そう考えると、何だか人間のエゴがつくりだした命にも思えてくる。

いや、間引菜は、大根の出来損ないなんかではなくて、間引菜という独立した価値をもつ存在なんだ。そう思って、間引菜に最大限の経緯を払いながら、毎日おいしく頂いている。

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