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なぜ有機野菜をつくると、免疫力が上がるのか ~畑と腸のおいしい関係

1年前から、貸農園で有機・無農薬の野菜をつくっている。それが身体に良いことは、想像もしていたし、実感もしている。でも、なぜなのか。そこには「安心・安全の野菜を食べている」という以上のものがあると身体では感じるのだけど、すべての理屈がわかっているわけではない。その一つを今日、知ることができた。野菜をつくることは、免疫力を上げるのに最強の方法ともいえる、という話。

以下は、野菜づくりと並行して参加しているヨガの特別講座で、自然ごはん&食養料理インストラクター/調理師の中村祥子さんから聞いた「免疫力が上がる食事」についてのお話から。日々の食事には、免疫力向上のポイントがたくさん詰まっていることを学び、身の回りに散らばっていた宝物にはたと気づいたような気分だったが、中でも、なぜ「自分で有機野菜を作る」ことが免疫力向上に繋がるのか、については腑にずしんと落ちた。


「免疫力が高い」とは

そもそも、免疫力が高い状態とは、「病原菌が増えることのできない健康体」だと、中村さんは定義されている。

そもそも人間は、無数の菌と共生をしながら命を営んでいる。無数の菌のお陰で、健康なお米や野菜が作られ、そのお陰で、人間も命を繋いでいる。コロナ禍で、殺菌・除菌に拍車がかかっているけれど、本来は無数の腸内細菌菌と共にあるのが、人間にとって自然で健康な状態。

だから、免疫力を高く保つには、「有用菌だらけの自分でいる」ことが大事なのだと。有用菌の多い人はその状態を保ち、有用菌の少ない人は新しく取り入れて、育てていくこと。


有用菌を増やすには

「有用菌だらけの自分でいる」ための食事法はたくさん紹介されて(例えば以下)、どれも大切なのだけれど

・よく噛むこと(感じること、味わうこと)
・口の中に物が入っている時は液体を入れないこと(胃液が薄まるため)
・空腹時間を増やすこと(だらだらと食べないこと)
・旬の野菜を食べること
・一物全体に近づけること(精米や漂白している食材を見直すこと)
・安いお菓子を控えること
・肉、魚介類の食事(特に肉食)を減らすこと
・不自然なものを避けること
などなど

中でも、新しい有用菌を取り入れて、腸内で育むためには「自分で無農薬・有機栽培の野菜をつくる」のは最強の方法とのことだった。


なぜ「自分で作る」のがよいのか

新しい有用菌は、腸内に入っても、すぐに住み着くことができない。最初のうちは、もともと住んでいる古株の菌が新参者として外に出してしまうのだそうだ。新しい菌が定住するまでには、およそ5-6ヵ月かかるらしい。

だから、新しい菌を育むためには、その間、同じ土壌で育てられた作物を食べ続けることが有効。すると、やがて新しい菌も古株に認められ、無事に腸内に住みつけるようになる。

もちろん、5-6ヵ月、無農薬・有機で作っている同じ農家さんから野菜を分けてもらう、という方法はあるのだけれど、自分で作っていれば最強。同じ有用菌をずっと取り入れ続けることができるのだから。

もちろん「旬の野菜を食べる」ことも免疫力を上げるために大事なことで、それもしっかりリストに入っていた。自家菜園では、旬の野菜しか作れない。

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この1年、自分の体内で、新しい菌と古い菌との攻防が起こっていることなど全く知らなかったけれど、その間にも、新しい菌は古い菌と肩を並べて、今ごろは仲良く共生してくれているのだろう。そして、何も知らない家主の免疫力は、ワンランクアップしていた。

人間の身体は一人ひとり違うので、誰にとってもこの方法が良い、というものはないのだと思う。その意味では、免疫力を上げる食事法にも、みんなに共通の正解があるわけではないのだろう。けれど、人間が自然の一部であることだけは誰にでも共通で、その感覚を持ち続けることは、生きていくのにとても大事なんだろうなと、鍬で土を耕しながら思う。

そして、有機野菜をつくることが人の身体にもたらす影響は、単に「食べる」という関係性を超えた、まだ知られていない(あるいは単に私が知らない)未知の領域が大きく広がっているように感じる。もっと、耕していきたい。

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