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人生で大事なことは、すべて小さな畑が教えてくれた

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リモートワークの傍ら、自宅近くに小さな畑を借りて、無農薬・有機栽培の野菜づくりを始めた。その学びの記録です。
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なぜ有機野菜をつくると、免疫力が上がるのか ~畑と腸のおいしい関係

1年前から、貸農園で有機・無農薬の野菜をつくっている。それが身体に良いことは、想像もしていたし、実感もしている。でも、なぜなのか。そこには「安心・安全の野菜を食べている」という以上のものがあると身体では感じるのだけど、すべての理屈がわかっているわけではない。その一つを今日、知ることができた。野菜をつくることは、免疫力を上げるのに最強の方法ともいえる、という話。 以下は、野菜づくりと並行して参加しているヨガの特別講座で、自然ごはん&食養料理インストラクター/調理師の中村祥子さ

農園から学んだ、ワンオペのこと

自宅近くの農園の一角を借りて、有機・無農薬で野菜を育て始めてから、ちょうど1年が経った。とても小さな区画だけれど、それでも1人では消費できない量が採れるから、1年目は友人と3人でシェアすることにした。 農園は、私の自宅近くだったので、管理人的に足しげく通った。普通の仕事なら、数週間後でも数ヵ月後でも、予定を入れて、きっちり時間通りに事を進めることができるけれど、畑仕事は違う。 初めてのことで、いつ何がどう展開するのかわからないことに加えて、天候にも左右されるし、何より相手

畑で育てた野菜を料理したら、人を生かすことを学んだ

はじめての夏野菜の収穫期を迎えた。 秋冬野菜のじっくりと育っていく感じとは打って変わって、数日見ないうちに様変わりするほどの成長スピードに驚かされている。そして、色の鮮やかに元気をもらっている。 種や苗の頃から成長を見つづけた野菜には愛着が湧くので、採れたものはできるだけ美味しくいただこう、と思う。それが自分にできるせめてものことだと。 そんなことを考えていると、料理の考え方も少し変わってきた。 「素材を生かそう」と思うと、まずは「あまり手を加えない」ことを思い浮かべ

野菜づくりのハイライトは、収穫して食べることではなかった

畑をはじめて4ヵ月と少しが経った。季節は、土も苗も干からびそうだった残暑から、天高い秋を過ぎ、霜が降りそうな冬へと移行した。 収穫まっさかりの頃の大根畑 いまは収穫のピークを過ぎて、すっかりペースダウンした野菜たちの成長を見守りながら、細々と手入れ程度の収穫をしている。つまり、はじめて「収穫期」を経たことになるのだけど、そこで気づいたのは、私にとって野菜作りのハイライトは、収穫して食べることではなかった、ということだった。 最初は、あえて考えないほどごく当たり前に、畑を

畑の時間、人の時間

3ヵ月ほど前から、自宅近くで小さな畑を借りて、無農薬の野菜づくりをしている。 「来週の土曜日、畑に行ったら何が採れる?」そう聞かれて、はたと答えに窮した。畑ビギナーなこともあるけれど、正直、1週間後の野菜の成長具合なんて予測がつかない。毎回、行ってみて「へー」という感じである。あまりの成長の早さに驚くこともあれば、枯れかかっていることに心配したり不安になったり、虫に食べられてしまったことに同情したり落胆したり。同じ日に撒いた種も、違う日に芽を出す。とにかく、そこに行って初め

畑には「間引菜」という秘密の収穫物がある

都内の小さな畑で野菜はじめて、「収穫はまだまだ先だな」と思っていたら、そんなことはなかった。 種から育てる場合、1か所に4粒くらい撒いて、育つにしたがって徐々に間引き、最後は1粒分まで減らしていく。最初から1粒しか撒かないと、それが発芽しなかったり、ちゃんと育たないともうアウトなので、そのリスクを避けるための方法でもある。 大根ゾーン。まだ間引き中。 そして、この間引菜だけでも結構な量になる。全部間引いても消費しけれないので控えめに間引いていると(でも間引くタイミングが

小さな命の生きようとする力を信じる~今にも消えそうな苗が、見違えるほどの成長を見せるまでの1ヵ月

都内の小さな畑で無農薬・有機の野菜づくりを始めて、最初に植えたのは、キャベツと茎ブロッコリーだった。どちらも日照りの中で苗を植えた。 植えてから、なぜか苗はどんどん元気をなくして、今にも消えてしまいそうな、弱弱しい姿になっていった。約1週間が経ち、本当なら成長しているはずのそれは、最初の時より小さくなってしまった。 (左:キャベツ、右:茎ブロッコリー) でも、できることと言えば、多少の水をあげることと、励ますことくらい。ほとんど何もできないに等しいことに無力感を覚えた。

無農薬・有機栽培だからって、自然に優しいだけではないかもしれない

都内の自宅から、歩いて10分少しのところに小さな畑を借りて野菜づくりを始めた。無農薬・有機栽培ということで「自然と共生している」気分でいたけれど、必ずしもそうではないのかもしれないと、始まってすぐに思うことがあった。 畑を始めたのは8月終わりで、そこから土を作って、秋冬野菜のキャベツやブロッコリー、大根、ハクサイ、ナバナなどを植え付けた。植え付けが終わるとすぐに、防虫ネットを張らなければならない。 なぜかというと、これらアブラナ科の植物は、アオムシなどの虫の餌になるから。

リモートワークしながら、都内の畑で野菜づくりを始めた

今年の夏、都内から都内へ引越しをした。仕事は、完全リモートに移行して数ヵ月が経っていた。 コロナ禍で在宅勤務メインの働き方になったことは、利点も多いけれど、欠点もある。その一つが「外出が減ること」。外に出なくなると、季節の移ろいを感じにくくなる。風の重さや光の質感、雲の厚さや速さ、草花の色や香り、虫の声や街の音。そうしたものが日々の生活から遠のいて、やがて五感を鈍化させていく。人間らしさを失っていく。そんなことを感じ始めていた。 そんな感覚を持ったままの引越から数日後、ポ