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畑の時間、人の時間

3ヵ月ほど前から、自宅近くで小さな畑を借りて、無農薬の野菜づくりをしている。

「来週の土曜日、畑に行ったら何が採れる?」そう聞かれて、はたと答えに窮した。畑ビギナーなこともあるけれど、正直、1週間後の野菜の成長具合なんて予測がつかない。毎回、行ってみて「へー」という感じである。あまりの成長の早さに驚くこともあれば、枯れかかっていることに心配したり不安になったり、虫に食べられてしまったことに同情したり落胆したり。同じ日に撒いた種も、違う日に芽を出す。とにかく、そこに行って初めて「今」の状態を知ることになるので、「来週のご予定は?」と聞かれると困ってしまう。

でも、聞く方の気持ちもわかる。「来週の土曜日のご予定は?」なんて、私たちは普段当たり前のように聞き、聞かれればグーグルカレンダーを開いて、当たり前のように予定を確認する。そして多くの場合、その日は、そのカレンダーどおりに過ぎていく。

もしかすると私たちは、自分で予定を決められる、ということに慣れ過ぎているのかもしれない。あたかも、時間を自分がコントロールしているかのような、そしてそれが正しい時間との付き合い方のような。そんな錯覚をしてしまっているのかもしれない。

でも、自分がコントロールできる時間なんて、自然から見れば、宇宙からみれば、砂粒のようなものに過ぎない。その周りには、もっと大きな時間、到底自分ではコントロールなどできない時間が流れている。そんなことを、小さな畑は気づかせてくれる。

今日も畑で「へー」と驚嘆の声を上げた。

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