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うつ病だからって引きこもって休まなきゃいけないんですか?

元でんぱ組.incの最上もがさんが、グループを脱退した理由がうつ病にあったと告白しました。

私はというと彼女のことは名前は存じていましたくらいの認識でしたが、これを機にそのことを告白したというYouTubeライブのアーカイブを見させていただきました。

うつを告白する芸能人や文化人は他にもいるのにこの人のことが無性に気になったのは、このニュースに対するコメントのいくつかが少し引っかかったからです。

ヤフーニュースや、5ちゃんねる系のコメントは少し治安がよろしくないような気がするのだけど、そういう場所のコメント欄を見ていると「ずいぶん元気なうつ病だな」とか「自分からうつ病っていう奴はうつ病じゃない」とか「グラビアなんかの仕事が出来るのはおかしいからうつ病じゃないだろ」とかいったものが目につきました。

これらのコメントを見て、「YouTube見てみよう」って思ったんです。
なぜかって、私もうつ病だけど働いているから。働いていることに、後ろめたさを感じていたから。うつ病はうつ病らしく、家で寝ているのがいいと言われているような、被害妄想に囚われることがあるから。

もしかしたら彼女も同じような気持ちと戦っているのかもしれないなと思って、配信を見始めました。

で、一見した感想は、「え、かわいい。え、え、え、え30代?!え、え、え?!」でした。知らない人のトークを1時間半も見れるかなと心配していましたが、最初から最後まで飛ばさずに見ること決定。かわいいってずるい。

というわけなのですが、当該の話題に触れている中で気になった部分をいくつか挙げてみました。メモをするつもりなどなく気軽に見始めたのですが、ふと耳を惹く発言があったので、紹介したいと思います。

明るくしゃべりたかった。カジュアルなうつもいるよ。と伝えたかった。

これが一番最初に気になって、引き込まれた言葉でした。

うつ病のことを打ち明ける中で泣いてしまったもがさんが、一生懸命涙を拭いながら言った言葉。
この「カジュアルなうつ」というのは、聞く人が聞いたら頭にくる発言なのかもしれないけれど、私はとても腑に落ちた。私も多分「カジュアルなうつ」なんだろうな。一緒に暮らしている家族にも精神疾患を内緒にしているし。バレてないのかはわからないけど。
で、もがさんのことを、自分を俯瞰するように見て、この人は、そして私は、「カジュアルなうつ」を演じているのかもしれない。と思いました。
人に心配をかけたくない。そう思うと明るく振舞うしかない。あとから紹介する言葉にも端々に見受けられるのだけど、自分よりも他人のために生きている人だから、自分のうつを大げさにしたくないと思う気持ちはすごくわかります。

うつ病はただの脳の病気。治る可能性がある。

これは本当に、皆さんに知ってほしい。
「うつは甘え」という人がいるけれど、甘えではなくて誰でも突然罹る可能性がある病気です。そして正しく治療すれば治る可能性も十分にある。
だから「甘え」だとかいう考えを持っている人はそんな考え今すぐ捨ててください。うつ病の人のためにもなるけれど、何よりも自分が突然うつ病になってしまったときにそういう考えを持っていると必要以上に辛くなってしまうから。私がそうでした。もがさんの話を聞いていても、直接は言っていなかったけれど同じように考えていたのではないかと思います。

暇ができたりするとどんどん落ち込む。何かやっていないと落ち込む。

これは昨今の情勢を受けての発言だったと思いますが、私自身も、ウイルスの影響で仕事が休業になってからどんどん病状が悪化しています。
それで、タイトルにも書いた私がすごく言いたいことなのだけど、「うつ病になったら仕事を休むのが当たり前」という考え方は少し違うのではないかなと思うんです。
私は主治医と相談したうえで仕事を時短で続けています。それは、仕事以外の場所にうつ病の原因があり、仕事は好きだったからというのもありますが。もちろん、仕事が原因でうつ病になってしまった人は休んでください。でも、仕事がうつ病患者全員にとって悪なのだとは、どうか言わないでください。
もがさんの場合は、仕事が原因と言いながらも、次のようにも言っています。

うつ病を治すためには1か月休むとかではどうにもならない。僕の場合は休み方がわからなかった。休むっていうのは『今日は仕事しないですよ』という意味の『休む』とはちょっと違って、休憩する、心を穏やかに過ごすということ。そういう時間がなかった。仕事がなくてもいろいろなことを考えてしまって、自己肯定感がどんどんなくなっていく。

でんぱ組.incで活動してた時期も、何度も仕事を休んでしまったことがあると話されていました(ファンの方はご存じでしょうね)。
仕事がきついことに加えて、休み方がわからなかったということが体調を崩した原因ととらえているのだと思われます。
だから暇になるとどんどん沼にはまってしまう。すごく気持ちがわかります。

そして、次のようにも言っていました。

他人のためなら頑張れるけど、自分のために生きるって難しい。それを他人に言われても「わかりました!がんばります!」って言えないのがうつ病かな。多分普通の人にはわからない感覚かもしれない。だから何かあったときに「気にすんな」って言われるのがすごくしんどかった。

そしてもがさんは「今は自分のために生きることを頑張ってるところ」と、自分のために筋トレを続けていることを教えてくれました。
個人的には、すごく勇気づけられました。私にとって仕事は「他人に奉仕すること」で、それが頑張れるエネルギーだったのに、今の社会情勢に奪われてしまった。だけど、もがさんは自分のために生きようと頑張っているんだな。私も頑張ろう、と、思えました。
もがさんは同時にHSPであることも告白しています。繊細に物事を捉える気質がある人のことです。
「気にすんな」という言葉に、傷つく気持ちもとても分かります。その言葉の裏を考えてしまうんです。「気にすんな」と声をかけるということは、自分のことを「ヘマをした奴」だと思っているということですから……。

で、冒頭に書いた心無いコメントのことですが。

うつ病が元気で悪いか!うつ病が仕事して悪いか!!くそくらえ!!!

本当に、私は今の今まで「働けているなんて他のうつ病の人に申し訳ない」と、「働けているのだから、私のは実はうつ病なんかじゃなくてただの甘えなんだ」と、思っていました。
だけど、もがさんに教えられました。
どう生きようが関係ない。自分の人生だ。自分のために生きること、それを精一杯突き詰めればいいじゃないか。
本当に、『過去』を語るもがさんは自分を見ているようで、でも『今』を語るもがさんは、自分のお手本になる存在でした。

自分のために。とても難しいことだけど、頑張ります。頑張りすぎずにね。

こんな形で前を向いている人もいるんだよ、と、うつ病の人にも、そうでない人にも、知ってほしいです。
もちろん、辛くて動けない人や、仕事で辛い思いをして病気になった人もいる。それぞれの事情を抱えているんです。

どのような形であれ、日々を生きてる人はみんな、前を向いています。そうですよね。

※最後に。紹介した発言はなんとなーく意訳して書いてます。もしご本人の意図しない意味で私が捉えていたら申し訳ありません。それから、もがさんのことをよく知りもしなかった私がこんな偉そうに書いて申し訳ありませんでした。でも、出会えてよかった!知れてよかった!と心から思っています。


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