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Norenn Epについて

こんにちわ

アルバムのライナーノーツってやつ、
一回やってみたかったんですよ。
でもいきなり好きなバンドのやったり、知り合いのバンドのやるの怖かったんですよね。
いやだって、ガチファン来たら怖くないですか?
そんなん怖がってんなら一生文字書くなって話なんですけど、怖いもんは怖いんです。

だから最初は、自分がサポートやってるNorenn(以下ノレン)の最近出したEPを題材に書いてこうと思います。
まあだって自分演奏してるし?っていうチキリ丸出しライナーノーツになってしまうのですが、ご了承下さい。

ですが、
この曲よくない???
このフレーズ聴いてよ!いいよね?
みたいな自惚れたライナーノーツはつまらないので、
いつもサポートメンバーとして、ノレンというバンドを第三者の立場から、客観的に見てる自分だからこそ書けるものを目指していきます。

正直メンバーの2人に対してはごめん。
今日だけは君達の味方ではなく、中立の立場をとっていくよ。
もしも自分が初めてノレンを聴いたら、このバンドをやっていなかったら、どう思うのか。
そういう視点も踏まえながら、このアルバムを覗いていけたらと思います。


それではいってみよう


1. ずっと日曜日


ノレンといえば、ゆるい雰囲気を想起させる事が多いと思います。それはジャケからだったり、曲名からだったり、普段の彼らの言動からだったり。
そんなノレンの1stの1曲目ですが、大分シビアな歌詞から始まるんですよね。
いや実際、シビアな歌詞だと思ってるのは自分だけなのかもしれないですが。
(なぜなら俺とソラの共作だからな)

でも歌詞もサウンドも、これはノレンぽくないんすよね。なぜならこれって、新しいサウンドを作り出そうとノレンなりに考えて作った曲だから。
このバンドって普段
「andymori好きですよね?」と言われる事があまりにも多すぎて、andymoriから脱却していきたい、せめて洋楽っぽさを出してみたいってことで生まれた曲なんすよ。だからノレンではなかなか聴けない、Eメジャーのキーだったり、ファズの効いたギターだったり、ソロ含むリードギターだったりが出てきたりするんですね。
そして「俺らこっち寄りでいきたいんすわ」という決意表明かのように、名刺がわりとして1曲目に置いてるんだと思います。

まあそんな唐突にガラリとジャンルを変えた訳ではないのですが、初心は忘れないようにしたいという意思も、曲の始めの部分に出てるんじゃないですかね。

あと最初のドラムリフ、
slow pulpのIdahoの冒頭部分のオマージュ。
このアルバムの面白い所は、メンバーが普段どのような音楽に触れているのか、それがあまりにも分かりやすく出ているところ。
あなたはいくつ気づけるかな?と言われているくらい色んな所に隠されているんですよ。

ただ、この曲はあくまで進化途中という印象が強いんですよね。
セックスを知らない両思いの男女が気持ちだけ先走って、でもゴールには辿り着けない的な。
ただそういう初々しさも許せてしまうのは、インディーズのファーストの良さでもありますよね。


2. Holiday


ずっと日曜日からのHoliday。休日を謳歌してますよね、このアルバムは。

この曲、3ピース?ってくらい色んな音が飛び込んでくるんですよ。この時点で、彼らが3ピースの音にこだわる事よりも、個性も詰めれるだけアルバムに詰めようとしてるのが伝わってきます。
あと、曲の出だしは完全にthe lemon twigsのI wanna prove to you。ノレンが師匠と称してリスペクトしてるバンドですね。
パクリだと罵られてもおかしくないくらいに、おんなじなんですよ。

ただこれはこれで、一周回ってアリかなあと思ったりしちゃってます。
ここ以外はlemon twigsじゃないので。
この曲を聴いて、
「えーこれlemon twigsのパクリやん、草」
という人はOasisのDon't look back〜を聴いて、
「えーこれジョンレノンのパクリやん、草」
とか言うのと同じなんですよ。
まあにしても、lemon twigsを匂わせるのならば、もう少し色々できただろうなあと思ったりもします。

あとこの曲ドラムがうるせえですね。特にハイハット、不愉快極まりないです。まじでどんな奴がドラム叩いてんのか、その面構えを見てみてえですし、親の顔もついでに見ておきたいといった所でしょうか。
(本当に反省しています、これはまじで)
ただ鉄琴フレーズは割とナイス。ドラマー辞めて鉄琴の人にでもなればいいのではないでしょうか。

ただ自分はこの曲が1番好みですかねえ。
やっぱ3ピースが3ピース通りの曲を音源化してるのはあんまり好きじゃないんですよね。音源ってのは案外やり過ぎくらいが丁度いいんですよ。ライブとのギャップはあればあるほどカッコいいですから。


3. 眩しい僕ら


ここにきて打直球3ピース楽曲。もしかしたらリスナーさんの中には「待ってました」となった方もいるかもしれないですね。
ファズギターが気持ちいいテンポで掻き鳴らされているこの曲は、おそらくノレン結成前から歌われている曲。

そしてこの曲が1番聴かれているらしい。ということはつまり、今のリスナーがノレンに求めていたものって事なんでしょうね。 
ありきたりな3ピースサウンドではありますが、それにこういうゆったりしたメロディをのせるバンドって、周りには案外少ないんですよ。
アレンジ次第ではフォークソングにも歌謡曲にもなっちゃいます。

ただ、これは個人的な考えなんですけど、ノレンって少しずつこういうジャンルから脱却していこうとしてる気がするんですよ。自分もそっちの方が案外良いと思ってる気がして。
その曲が1番聴かれてるのって、少し皮肉っぽいですよね。
もちろんリスナーが求めていたサウンドをアルバムに入れるって簡単な事じゃないので、それを当たり前のようにできちゃうの、とてもすごいと思うんですけど。

ただそれと同時に、大きな課題が目の前に現れてしまったのは、メンバーの2人が1番強く感じているだろうなあと思います。

バンドって難しいですよね。時々辞めたくなる時とか来るんですよ、スランプとか、無駄にさえ思えてしまう時もあります。

ただ何年後とかにそういうのを思い返してみると、
あの時代は良かったなあ、あの時の僕ら眩しかったなあ
なんて思うものです。


4. 遠い葵い光 (feat.カモシタサラ)


てっきり自分はこれがリード曲になるんかなと思ってましたよ。
3ピース王道バラードソングって感じですね。それも90年代とか2000年代初期のバンドっぽい印象があって、そういう曲がウォークマンやMDからではなく、スマホから流れてくるのはすごい新鮮だなと思います。

1人のシンガーのドキュメンタリー映画をそのまま曲にしたような感じ。なかなかこういう歌詞でバラード歌うバンドはいない、というか最近は少なくなった気がしていたので、最初聴いた時はええやんええやんと思いましたね。

あと意外にもノレンのバラード曲ってこれだけなんですよね。もっとありそうなのに。
この曲もノレン結成前からあったはずなので、結成して時間が経った今、メンバー全員でバラードを作るってなったら、どんな曲になるのだろうってとても気になったりしています。

あとこの曲、なんといってもカモシタサラですよね。
正直言ってせこいじゃないですか?自分も最初featカモシタサラって聞いた時は驚きましたし、全部持ってかれないか少し不安だったんですけど、丸く収まった感じがしますね。
やっぱりこういう曲に女性ボーカルって合いますし、インナージャーニーとはちょっと違うのもまた良い所ですよね。

表現方法や聴かせ方ってのはたくさんありますけど、結局戻ってきたりとか、たまに聴きたくなるのって、シンプルなサウンドに良いメロディーですよね。
ってのを気づかせてくれる曲だなと思います。
そういう曲はコードすらも歌ってるように感じるんです。

ただこの曲を聴いて、カモシタサラ頼みやんって思う人もいるかと思うんですよね。
そういう人は、一度ライブに足を運んでみるといいです。
シンガーってのはやっぱ生で聴いてあげないとね。


5. 大統領とスーパーマン


名前が一個だけやばいんですよ。
ノレンの遊び心ってのが詰め込まれた一曲ですね。
ライブは大体この曲で終わるのですが、やはりアルバムもこの曲で幕を閉じるそうです。

この曲の出だしは大体の人が気づいてるだろうから触れませんが、まじでこういう曲をやれるバンドって限られてきますよね。

別に政治的な何かを訴えてる訳ではないし、ヒーローをけなしている訳でもないし、なんなら大統領にもスーパーマンにもそこまで大きな興味を抱いている訳ではないし、正直どうだっていい。
それは、ごく普通の日常や、普通の人間を提示している彼らだからこそ歌えるものだと思います。世の中の大半の人はそう思ってますからね。

ただ、大統領もスーパーマンもカッコよくて雲の上の存在だけど、実際俺らの方が毎日楽しいんだぜっていうメッセージを自分は感じます。
し、ノレンっぽいですよね。

でも永遠に楽しい訳じゃないし、実際そんなノーテンキな事ばっか言ってたら馬鹿にされてしまうし、そりゃあずっと日曜日だったらいいけどそんなのは無理なんですよ。
当たり前すぎますが、幸せなこともあってその分辛いこともあるんですよね。みんなそうなんです。
だからこそ休日は最高だし、大切なものはレンズに収める訳だし、そういう日々を眩しく感じる訳だし、少しくらいの痛みには慣れながら生きていけるんです。

ただそんな人生を数十年生きてきた人々って、やっぱ多少は強くて、心のどっかに大きな存在がいるはずなんですよ。
そういう存在は頼ってもいいんです、いつだって、辛いときは。
遠慮する必要はないと思います。

ラララ大統領 ラララスーパーマン
胸の中でそう唱えれば、きっと彼らはやってきてくれますから。


また会う日まで


え、どう、このライナーノーツ。
大丈夫でした?
丸く収まりました?
中立の立場って難しいですね。坂本龍馬ってやっぱスゲーですわ。

ただこのライナーノーツを読んでくれた方が、アルバムを聴いてみようと思ってくれたり、またアルバムを聴きなおして新たな発見をしたり、このバンドを見つけてくれたりなど、新しい何かに触れてくれたら嬉しく思います。

このライナーノーツを自画自讃してみると、半分メンバーだけど半分リスナーっていうポジションの自分だから書けたやつじゃないかなあと思います。そういう立場の人が書く事ってあんまりないじゃないですか。だからバンドと丁度いい距離感というか、そういう視点で書けたんじゃないかなあと思ったりするんですよね。

それと、このアルバムを作れたのはノレンだけの力ではなく、レコーディング兼プロデューサーみたいな立場で見守ってくれていたKensei Ogataさんや、そのアシスタントとして来てくれたもりぞー、またジャケ写を撮影した、るなこさかいの力のおかげでもあります。

彼らがいなかったら絶対違う作品になっていたでしょう。そのくらいの影響力が、彼らには絶対あると思います。作品ってのは、常に複数人のセンスが集まってようやく完成されるものだと思います。

あとこのアルバムをざっとまとめた自分の意見なんですけど、正直不安な点が目立っちゃうんですよね。
ファーストとしてすごいいいアルバムなんですけど、
ずっとこのノリでやる訳じゃないよね?
このままでいいのかノレン
って思ってしまったりしちゃうんです。本当に余計なお世話なんですけど。
まあこの事をもしメンバーに言ったら、返ってくるだろうなあという言葉は何となく分かります。

「次はもっとすごいの出るから楽しみに待ってて」
っていつもの調子で言われるんです。
そういうバンドです、ノレンは。


Norenn-EP Norenn
著 : トミー健心

gt.vo.小山空良 Ba.鈴木カイト sup.dr.トミー健心 rec&mix&mst. Kensei Ogata     rec assistant.もりぞー photo.るなこさかい


https://open.spotify.com/album/3v8CL2FRJ6WOzWNTASrCvp?si=rUDJ0JUyQE-XZMpBxyt_pg&dl_branch=1



追記

色んなバンドのライナーノーツをしてみたい(特にインディーズ)ので、興味あるバンドさんは連絡ください。
一緒に最高のアルバムにしましょう。

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