六段の調べ 急 六段 一、喜悦の波と花と
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序・初段一話へ
近所の学校にある音楽室を利用して、市民吹奏楽団「アモローソ」の練習は行われていた。指揮を振る父の向こうには窓が広がり、ビルの並ぶ光景を映している。部屋全体に楽器を奏でる老若男女が集い、シャシャテンの結婚式に向けて合奏している。伴奏の一員として北が前方でピアノを弾き、美央と八重崎が各々の楽器を構えて音を出す。そして清隆も、楽団に混じっていた。久しぶりの演奏に不慣れな点はありながら、一通りは演奏について行くことが出来た。
合奏が終わると、窓際から