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実らない努力もある【ペイザナ米の場合】

2020年から始めた、「ドメーヌ・オヤマダ」の小山田幸紀さんと、「ドメーヌ・ポンコツ」の松岡数人さん率いる山梨県の「ペイザナ農事組合法人」が栽培したお米を使って、岩手県遠野市にある「とおの屋要」の佐々木要太郎さんにどぶろくを造ってもらおうという試み。

※なぜ山梨で栽培したお米をわざわざ岩手でどぶろくにするのかという理由はこちらをご覧ください。
https://note.com/imadeya/n/na420ca04f2be

2年目となる2021年のお米も先月無事遠野に納品し、今度のどぶろくはどんな風になるかな?とウキウキしていたのですが、すっかり1年目のお米がどんなお酒になったのかをお伝えするのを忘れていました…。
という訳で、今更ではありますが記念すべき山梨のペイザナ米のどぶろく第一号のことをお伝えいたします。

地獄の稲刈り

思い返せば、初年度(2020年)の稲刈りは体験したことのない大変な稲刈りでした。
それまで経験したことがあったのは、水を抜いて地面の乾いた田んぼに機械で入って稲を刈り、機械の入れない端の方だけ手で刈る、というものでしたが、ここでは山から水が入ってくると言うこともあり、稲刈りの時期も地面はドロドロ。

と言っても田んぼに入る前はそれを見ても長靴持ってきて良かった、くらいにしか思っていなかったのすが、一歩足を踏み入れた瞬間、片足がズブズブと泥の中に沈んでいきます。思ったよりもそれは深く、膝近くまで足が沈んでしまいました。

それでも田んぼの中に入らなければいけないので、もう片方の足も田んぼに入れて歩こうとすると、今度は泥にはまってしまった足が抜けない!
動けなくなってしまった私達は、無理やり足を上げようとして長靴が脱げてしまったり、バランスを崩して田んぼの中で転んで全身泥だらけになったりして、もはや稲刈りどころではありません。
小山田さんや松岡さん達ペイザナメンバーは、この状況に慣れているのか普通に歩いていて、四苦八苦しているこちらからすると少しイラッとしました。笑

この日はずっとこんな感じで、稲を刈る時間よりもはまった足を泥から抜こうとしている時間の方が多く何をしに来たのか分からない状態に…。でも疲れだけはいつも以上で、夜はよく眠れました。

せっかくなら自分達で遠野にお米を運びたい!

苦労すればするほど出来上がったものがかわいく見えるもので、最初の年と言う高揚感もあり、私たちはせっかく作ったお米を自分達で車で遠野に運ぼう!と盛り上がりました。

遠野に運ぶ予定の日は12月下旬。盛り上がっている時というのは恐ろしいもので、遠野という北国に行くにも関わらず、誰も雪が降るという可能性を全く考えていませんでした。
1週間前になり、天気予報を見ているとあれ?遠野だけでなく、東北地方全般大雪が降ってる…?とようやく気付き、お米を運ぶことよりも自分達の命が大事だと結局宅配便で発送し、私達は結局ただオーベルジュでもある「とおの屋要」に泊まりに行くだけになってしまったのです。
当初の目的が果たせなくなってしまい、このままではいけない!と焦った私は、どぶろく造りと宿の運営やお料理に忙しい佐々木さんを捕まえて小山田さんと対談をしてもらいました。

その時の様子はこちら
https://note.com/imadeya/m/m4233e5e89d4a

結果的にはお二人の対談を聞けて宿の美味しいお料理とどぶろくも堪能し、思いっきり楽しんでしまったのですが、そもそも山梨から遠野まで車でお米を運ぼうとしていた悪ノリを反省したのでした。

とおの屋要の美味しい発酵料理。こちらは自家製納豆を使った一皿

お米が足りない!

色々と大変なことや不手際はありましたが、何とかお米を遠野に納品し、あとは佐々木さんにどぶろくを仕込んでもらうだけだなあと楽しみにしていたある日、突然佐々木さんから電話が。
普段メールでやり取りしていたので何があったのかと驚いて電話に出てみると、「半分近く米が入っていない」とのこと…。
稲刈りしたお米を、脱穀して籾殻に入った状態で遠野に納品したのですが、私達はてっきり籾殻の中には全てお米があるものだと思っていました。
ところが、佐々木さんがどぶろくを造ろうと精米したところ、中身のない籾殻だけのものが半分ほどだったとのこと。

大きな原因は、6~7月にかけての田んぼの草取りがしっかりできていなかったこと。稲以外の植物、特に稗(ひえ)をしっかり取らないと、土の栄養分が他の草の方にいってしまい稲がきちんと育たないそう。

確かに言われてみれば、稲刈りの時にも一粒が小さめという話をしていましたが、まさか全く中身が入っていないなんてことがあるとは、思いもしませんでした。
今更後悔してもどうにもならないので、どぶろくの仕込みの量に足りない分は佐々木さんのところにあった遠野産のお米「遠野1号」を足してもらうことにしました。(ペイザナで作ったお米は酒米である「五百万石」)

早速小山田さんにも報告すると、いつも余裕のある小山田さんもさすがに驚いて苦笑いしていました。笑

やっと完成!(半分)ペイザナ米のどぶろく

本当に紆余曲折を経て、ようやくどぶろくが完成しました!

完成して喜ぶドメーヌ・オヤマダの小山田さん


とは言えこれがベストではありません。
佐々木さんには原料となるお米の栽培方法について沢山アドバイスをいただき、2回目となる2021年は初年度よりも良いお米ができました。
それより何より、まずは100%ペイザナ米でどぶろくを仕込めるようになるのが目下の目標ですが、初年度のどぶろくも佐々木さんがしっかり仕込んでくれたので、味は自信を持ってお勧めできます!
通常のとおののどぶろくと比べると少しほろ苦さがあり、タイトな印象。(ほろ苦いのは私の気持ちのせいかもしれません。笑)

私達のてんやわんやのお米作りも含め、ぜひお楽しみいただけると嬉しいです。

ラベルは小山田さんが愛してやまない鶏です

こちらのどぶろくは、「いまでや清澄白河店」で販売していますので、ぜひお試しください!
https://instagram.com/imadeya_kiyosumi?utm_medium=copy_link

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