関係人口拡大に向けた取り組み(ふくしま未来創造アカデミー)
皆さんは「関係人口」(※)という言葉を聞いたことはありますか?「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、特定の地域と多様な形で関わる人々を指す言葉です。大都市圏への一極集中と少子高齢化が進むとともに、地方部では若年層の人口流出が加速化し、それに伴い地域の活力が失われつつある中で、近年、地域づくりの担い手として関係人口に注目が集まっています。
福島12市町村では、復興に向けて新しいまちづくりが急ピッチで進められていますが、魅力あるまちづくりにおいては、地域の歴史や伝統を継承しながら、地域内の意見だけではなく新たな視点や価値観を交錯させつつ、新しいまちを創り上げていくことが重要です。その点で、関係人口と呼ばれる地域外の人材は、魅力あるまちづくりにおいて大きな可能性を秘めています。
官民合同チームでは、市町村に対するまちづくり支援と関係人口拡大への取組みを一体的に実施することで、魅力あるまちが関係人口を呼び込み、関係人口が更にまちの魅力を高めるという好循環の創出を目指しています。
本投稿では、関係人口拡大に向けた取組みの1つである「ふくしま未来創造アカデミー」について紹介します。
※関係人口について(総務省HP抜粋)
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、変化を生み出す人材が地域に入り始めている例も多くあり、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの担い手となることが期待されています。
1.ふくしま未来創造アカデミーについて
株式会社ソトコト・シェフズラボ(雑誌「ソトコト」を発刊する株式会社ソトコト・ネットワークの関連会社)と連携し、2022年度から、首都圏に在住しながら12市町村との関わり方を考える連続講座「ふくしま未来創造アカデミー」を実施しています。この講座では、受講生がメイン講師の指出一正氏(ソトコト編集長)やメンターの西山里佳氏(marutt株式会社代表取締役)、更には地域のキーパーソンとの対話を通じながら、これまでの12市町村の歩みや復興に向けた今の姿を学びつつ、自分の好きなことやできることと対峙・内省しながら、今後の12市町村との関わり方を見つけ出すことを狙っています。
メイン講師:指出一正氏 <『ソトコト』編集長>
1969年群馬県生まれ。雑誌『Outdoor』編集部、『Rod and Reel』編集長を経て、現職。観光以上・定住未満の新しい地域との関わり方である「関係人口」の第一人者として、ライフワークと取材を通じて訪れた数多くの地域のローカルプレイヤーの活動、SDGs、ウェルビーイングに関する知見を活かし、地方自治体の関係人口創出講座の総合監修やメイン講師、官公庁の委員などを務める。島根県「しまコトアカデミー」メイン講師、静岡県「『地域のお店』デザイン表彰」審査委員長、山形県小国町「白い森サスティナブルデザインスクール」メイン講師、やまがたアルカディア観光局「ライク・ア・バードokitama」総合監修。経済産業省「2025年大阪・関西万博日本館」クリエイター。福島県郡山市「こおりやま街の学校」学校長。趣味はフライフィッシング。
講座メンター:西山里佳氏 <marutt株式会社 代表取締役>
福島県双葉郡富岡町出身。高校卒業後、上京しグラフィックでデザイナーとして、 音楽、アパレル、出版などのデザイン業務に携わる。2017年にフリーランスの 活動をはじめ、2018年にコーディネーターとして起業型地域おこし協力隊 「Next Commons Lab 南相馬」に参画。2020年2月に法人化しmarutt(マルット)株式会社を設立し、アトリエギャラリー、コワーキング、イベントスペースとしての運営に加え、地域に開かれたデザイン事務所「粒粒(つぶつぶ)」を 開設。福島県の浜通りエリアを中心に活動中。
2.講座内容
2022年度から2カ年間実施し、2024年度も実施する予定の講座ですが、本投稿では、ふくしま未来創造アカデミーの第2期となる2023年度の活動実績をご紹介いたします。
【第1回講座(東京)】
まずは、西山氏や事務局から12市町村についての地域情報を得るとともに、指出氏や西山氏との対話を通じて12市町村との「関わりしろ」について考える時間を持ちました。受講生同士のグループワークも実施し、12市町村との関わり方のアイディアについて各々がイメージを膨らませました。
【第2回講座(現地フィールドワーク)】
夏には12市町村内を2泊3日で訪れ、まち歩きや地域のキーパーソンとの対話を通じ、まちの“今”を肌感覚で感じるフィールドワークを実施しました。地元の食材を楽しみながらみんなで語らったり、地域の方々と顔の見える関係を築きながら、他の受講生や地元の方々からの多様な視点も取り入れつつ、自分らしい12市町村との関わり方のアイディアを更に膨らませる機会になりました。
【第3回講座~第4回講座(プラン発表会)】
第3回講座(東京)では、関係人口の「先輩」でもある第1期生をお招きして活動状況や経験談などのお話を伺いつつ、指出氏や西山氏との対話、フィールドワークで出会った地域のキーパーソンの方々からのお話なども念頭におきながら、更に自分の好きなことやできることを見つめ直しました。
そして、第4回講座では、各受講生が、12市町村と自身との共通項を模索しながら考案した「12市町村でやってみたいこと」を「プラン」として発表しました。
プラン発表会の様子は官民合同チームのYouTubeで公開しておりますので是非ご覧ください。
https://youtu.be/i5bL3XRACrI?si=d1vAV47xbxeK3Hsh
【第5回講座(東京でイベントを開催!)】
これまでの講座を通じて、12市町村と自分との関りしろを見つけた受講生の皆さん。第5回講座では、自分達の得意分野やアイデアを活かしながら、「小さな実践」をテーマに、受講生が自ら企画し、みんなで運営するイベントを都内で開催しました。
フィールドワークで訪問した田村市のホップジャパン製のビールの販売やホップジャパンの本間さんとウェブで繋いだワークショップ、12市町村にまつわるクイズコーナー、12市町村の写真展、歩行者天国でのモルック体験会の実施など、盛りだくさんの企画となりました。講座を通じて培った仲間との友情やキーパーソンとの繋がりをベースに、受講生が主体的に動くことで、受講生間の絆も強くなり、リーダー的存在も現れました。
今回のイベントは受講生にとっても自信となり、次の企画の実施や今後も12市町村と関わっていくにあたり、大きな一歩になりました。
3.講座を終えて
「地域」に関わるにあたり、同じ想いを持った仲間に出会うことで、「関係人口」としての最初の1歩が踏み出しやすくなると思います。本講座を2カ年実施し、まさに本講座は、「同じ想いをもった仲間に出会える」、そういう機会を提供できる取組みであると感じました。事実、1期生と2期生が一体となった「関係人口コミュニティ」が生まれ、受講生間の繋がりに加え、受講生と地域の方々との繋がりも強くなってきています。
また、受講生は、講座終了後も自らが発表したプランを軸としながら、各自のペースとスタイルで引き続き12市町村に関わり続けています。受講生が連携しながら、更に発展した取組みを展開しているケースもあり、1期生が中心となり「東京相双化計画」というコミュニティも立ち上がりました。名前の通り「相双地域の雰囲気の良さを東京に伝え、東京を相双化しよう!」という壮大な計画です。相双地域と「つながる」「ふかめる」「ひろめる」の3ステップを軸に活動しており、活動の様子は以下のWEBでも発信されています。是非ご覧ください。
【東京相双化計画WEBサイト】
https://tokyo-soso.com/
4.今後の展望
2カ年間の「ふくしま未来創造アカデミー」の実施により生まれた関係人口コミュニティを、更に強化・拡大させるとともに、地域コミュニティとの関係性の深化に努めていきたいと考えています。
また、新たなまちづくりによる12市町村の復興を成し遂げるには、地域住民や関係人口など様々な視点をまちづくりに反映させていくことが重要との考えの下、官民合同チームは、市町村に対するまちづくり支援と併せ、地域に根差した関係人口コミュニティの確立・拡大を通じ、12市町村の新しいまちづくりを引き続きご支援してまいります。
以上
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