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技術系の記事を30年くらい書いてきました。思いつきを、思いつくまま残します。

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技術系の記事を30年くらい書いてきました。思いつきを、思いつくまま残します。

最近の記事

途切れたLINE

そう言えば、最近どうしているのか。しばらく投稿を見ないことに気づいて検索してみた。ところが、どう探しても見つからない。どうもアカウント自体なくなっているらしい。 気に掛かってLINEを立ち上げた。案の定、友だちリストに名前がない。やり取りの履歴も綺麗さっぱり消えている。 電話番号やメールアドレスはまだある。ただしどちらも10年以上前の記録で、恐らくもうつながらない。 あるのが当然と思っていた連絡手段が、唐突に失われる。あんまりない経験で、少し動揺した。 つてを辿ればき

    • Apple Intelligenceの先にある、人と機械の新世界

      スティーブ・ジョブズだったらだいぶ違ったはずだ。「Knowledge Navigator」なんて過去の亡霊、しかも宿敵スカリーのアイデアを軽やかに乗り越えて、寝ぼけ眼をひん剥くようなビジョンを見せてくれたんじゃないか。 そう、Apple Intelligenceのことである。既に旧聞に属していそうだが、色々あってようやく出た原稿をきっかけに、四方山話を気の向くままに残してみたい。 個人的には、時代を画する発表だったと感じている。それこそiPhoneの時のように。あの時もA

      • 百年の孤独の所有欲

        『百年の孤独』がベストセラーになっている。文庫本になったかららしい。自分も大ファンである。確か3冊目のはずと思いつつ買おうとして愕然とした。Kindle版がないのである。 一体これはどうしたことか。Amazonのレビューで星一つの人が書いていた。「出版社に言いたい!電子書籍が欲しい」。まさに我が意を得たりである。 レビューの人はどうやら手でページを捲ったりしにくい境遇にあるようだ。自分はそうではないが、それでも紙の本は基本買わないようにしている。なぜならば所有欲を満たした

        • 映画興行というコミュニケーション手段の根本的な齟齬について

          大仰なタイトルですが、言いたいことはシンプルです。ざっくり書けば、映画の作り手側の意図と、現在の興行方式の間には、大きなミスマッチがあるのではないか。以下、作品のネタバレを含みそうなので、気をつけてお読みください。 『関心空間』を見ました。話題になっていることは承知していましたし、残酷な内容だとは何となくわかっていました。ただし、描かれる時代がいつで、事件が何で、主人公が誰なのかはよく知りませんでした。 鮮やかに切り取られた自然と広大な邸宅の懐で展開する一家の日常を、眠気

        途切れたLINE

          もっとビターなレッスン

          これはもう記者失格か。 昔書いた記事を読み直して失望しました。AIの将来を展望する内容で、公開されたのは2022年10月。そう、「ChatGPT」が登場する1カ月前です。にもかかわらず、その後の爆発的なAIブームを全く予見できていなかったのです。 過去の仕事を掘り返したのは、別の記事を書くためでした。やはりAIの今後を整理する狙いの原稿だったので、前回のトーンを確認しようと思い立ったわけです。 振り返ると当時もAIは注目の的であり、ものすごい勢いで進歩を続け、いずれは人

          もっとビターなレッスン

          壮大な7銘柄って…

          Magnificent Seven。日本語で言えば『荒野の七人』。血湧き肉躍る往年の西部劇映画である。『大脱走』のジョン・スタージェス監督、我が憧れのスティーブ・マックイーン、剃り上げた頭が眩しいユル・ブリンナー、「うーん、マンダム」チャールズ・ブロンソン……。スタッフもキャストも錚々たる顔ぶれだ。ストーリーはすっかり忘れてしまったが、『日曜洋画劇場』か何かで見た若かりし自分は、興奮し通しだったに違いない。何せ『七人の侍』のリメイクなんだから。 だから「壮大な7銘柄」と言わ

          壮大な7銘柄って…

          AIに絶対できないこと

          AIって過大評価されていないか。こちらの本を読んでいてそう感じました。 まだ生成A Iやら大規模言語モデル(LLM)が大きな話題を呼ぶ前の発行ですから、今よりずっとAIの能力が限られていたころの意見です。「ひょっとしたら10年以内にも」といった声さえある今日この頃と違い、汎用AIは多分まだ数十年できないだろうとも書かれています。 それでも、来るべきAIは恐ろしいものだと感じさせるに十分な表現が随所に現れます。第1章の見出しをいくつか拾ってみると、「人類より優れた超絶知能に

          AIに絶対できないこと

          現代思想への片思い(下)

          承前 「また重箱の隅を突いてら」と呆れないでほしい。好きなんだから、真剣である。些細ではなく大事な点だとも思っている。 気になる「あばた」をあらためて書けば、一読して「何で?」と首を捻る選択が僕の目を引くことである。 なぜ永井均氏は読者の関心を引くべき一文目に、すぐに反証が出そうな命題を選んだのであろうか。どうして飯田隆氏は、機械が人と見紛う言葉を発し始めた事実を抜きにして、言語とは何かを語れると判断したのであろうか。 確かに養老孟司氏の目の付け所は秀逸である。そこか

          現代思想への片思い(下)

          現代思想への片思い(上)

          それなりに貢いできたのに、ちっとも胸の内が見えないから、いっそのこと片想いと呼んでしまおう。お相手は現代思想。不可解ながらもときめいた『アンチオイディプス』以来のファンである。 「ソーカル事件」を盾にバッサリ切り捨てる人もいるが、僕は未練を断ち切れず、話題の本や入門書が出るとついつい手を伸ばしてしまう。買っただけで忘れ去るケースが大半で、たまに開いてみると数ページでこちらの理解を拒まれたりするのだが。 最近ようやくわかってきたのが、どうやら相手は相当気まぐれということだ。

          現代思想への片思い(上)

          会話の哲学、会話の科学

          僕は話すのが苦手なんだ。 そう感じる回数は、昔も今も変わりません。 面と向かって自己紹介を求められると途端に体が固まる。世間話の出だしにつまづき、声が上擦り、どもり、沈黙に陥っては脂汗が滴り落ちる。まだ親しくない相手を見かけたら、声をかけるべきかどうかで迷ったあげく、目を逸らしてやり過ごす。三つ子の魂そのものに、人見知りの性が半世紀を経ても抜けません。 そこで手に取った一冊が『会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション』です。スムーズに話すためには、円滑な会

          会話の哲学、会話の科学

          意識がない相手との会話

          ホラーではありません。最近、自分がよく会話している相手には、そういえば意識がないんだったと気が付きました。そう、ChatGPT。もはや仕事での調べごとに欠かせないツールになっています。 特に重宝するのが、馴染みのない技術の記事を書くときです。知らない単語や概念があれば、まずChatGPTに聞いてみます。昔ならば、ネットをいろいろ探し回っていたところです。必要な内容がどこにあるのかを見つけるまでに、相当な時間がかかりました。 さらにその前、20世紀の頃には、書店で購入した教

          意識がない相手との会話

          『ベイビーステップ』打ち切り説と、作者の力が及ばない領域

          吾輩はマンガ好きである。 noteでも『違国日記』を枕に原稿を書いたことがあるし、予定稿のリストには「ドラえもんと感情のプロトタイピング(仮)」と題する記事もある。この件も、そもそもマンガが発端だった。「嬴政の発想って、今ならプー⚪︎ンと変わらないよな」と思いつつも『キングダム』の新刊を心待ちにしているし、ずっとヤキモキしていた『BLUE GIANT EXPLORER』の最終巻がようやく出るかと思えば値段の高さに目を剥き、最近のインフレを憂えたりもしている。 だから、マガ

          『ベイビーステップ』打ち切り説と、作者の力が及ばない領域

          偽造現実

          「偽造人間(Conterfeit People)」。哲学者のダニエル・デネットが、この記事で使った言葉です。AIの進歩が生みつつある、対話するだけでは人との違いが分からない存在のことをそう呼んでいます。 同氏は偽造人間の危険性に警鐘を鳴らし、「人類史上最も危険な人工物であり、経済だけでなく人間の自由そのものを破壊する能力がある」(ChatGPT訳を修正)とまで書きました。政治・経済面でパワフルな人々・企業・政府の利用を念頭に、「(偽装人間は)我々を騙し、困惑させ、抗いがたい

          偽造現実

          例の件の話

          例の件について書きたいと思います。自分の反応や変化のスピードがあまりにも早くて驚いたからです。 最初に原作の漫画を知ったのは、1月27日土曜日の日中。その夜には全巻読み終え、翌日には2周目を完走し、さらにその次の1月29日(月)の夜に作者の訃報に接しました。一瞬で背筋が凍りつき、暗澹たる気持ちが全身に広がりました。 ところがです。ほんの1時間もしたら、故人を悼む気持ちが、あっという間に薄れていたのです。最新刊の冒頭にあったドラマ化を告知する文章や、ネット上の一連の発言を振

          例の件の話

          銀行にもナンバーポータビリティを

          声を大にして言いたい。銀行はナンバーポータビリティを導入すべきだと。念を押せば、電話番号の話ではない。口座をすぐさま他行に移せるように、番号を共通にしてほしいのである。 年末に財布を落としてしまった。何か自分の失敗ばかり書き連ねている気もするが、それはまた別の話だ。すぐさま交番に向かったものの、数時間後に届けられた先はコンビニだった。この点についても色々語りたいけれど、話がどんどん逸れるのでやめておく。 手元に戻ってきた時には、もう手遅れだった。カード類は全て止めた後で、

          銀行にもナンバーポータビリティを

          老いと成長、人生の原理

          元をただせば「するめスティック」である。テレビ番組で紹介されたのを見て、すぐに購入してしまった。子供の頃から大のイカ好き。食べ始めたら止まらない。 ところが、思い切り噛んだ左側の奥歯がズキリと痛む。虫歯の多さは昔からだが、いつもの感じとどこかが違う。水を含んでも痛くはないし、放っておけば気にならない。 歯医者に行ったら虫歯ではなかった。どうやら歯根が割れているらしい。だいぶ昔に神経を抜いて、かなり脆くなっていたところに、スルメがとどめを刺したかたちだ。 セカンドオピニオ

          老いと成長、人生の原理