途切れたLINE
そう言えば、最近どうしているのか。しばらく投稿を見ないことに気づいて検索してみた。ところが、どう探しても見つからない。どうもアカウント自体なくなっているらしい。
気に掛かってLINEを立ち上げた。案の定、友だちリストに名前がない。やり取りの履歴も綺麗さっぱり消えている。
電話番号やメールアドレスはまだある。ただしどちらも10年以上前の記録で、恐らくもうつながらない。
あるのが当然と思っていた連絡手段が、唐突に失われる。あんまりない経験で、少し動揺した。
つてを辿ればきっと連絡はつくだろう。しかしそこまでする理由がない。何年かに一度、近況を伝えるくらいだったし、これからも同じだったはずである。
数えたら、もう15年以上たつ。お互い別の家庭をもったのもすぐで、すっかり違う人生を歩んでいる。子供はいなかった。今でも恋しいペットは、亡くなってちょうど10年になる。もしどこかで顔を合わせても、昔話に花が咲くか、家族の健康を尋ねるくらいだ。
だから自分は何もしない。そのまま放っておくだけである。
そうして人は疎遠になっていく。
時々、感傷に襲われる。親しかった人の多くは、もう二度と会う機会がないだろう。彼女もそうなるのかもしれない。共に過ごした10数年の記憶も、すでにだいぶ薄れてしまった。
それでも今この瞬間、どこかで生きて暮らしている。それが世界という在り方の不思議である。ならば健やかで幸せに過ごしていて欲しい。信心深さが欠けらもなくても、祈りたくなる時はある。
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