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銀行にもナンバーポータビリティを

声を大にして言いたい。銀行はナンバーポータビリティを導入すべきだと。念を押せば、電話番号の話ではない。口座をすぐさま他行に移せるように、番号を共通にしてほしいのである。

年末に財布を落としてしまった。何か自分の失敗ばかり書き連ねている気もするが、それはまた別の話だ。すぐさま交番に向かったものの、数時間後に届けられた先はコンビニだった。この点についても色々語りたいけれど、話がどんどん逸れるのでやめておく。

手元に戻ってきた時には、もう手遅れだった。カード類は全て止めた後で、早くもクレジットカード番号が一つ発行されていたくらいだ。一度停止した番号はどんなに頼み込んでも復活できないというから、仕方なくカードの再発行や、あれこれの引き落としの移行を進めていく。

諸々の仕事の合間を縫って、二日ほどで一通り作業を終えた。年を越すかと心配していたカード類は、無事年内に到着した。

ただ一つを除いて。

もうお察しかと思うが、このカードをめぐるやり取りで、ある銀行にがっかりしたのである。さっさと別の銀行に乗り換えたかったのに、それはそれで面倒なので、もっと手軽にならないものかと、ない知恵を絞ってみたのだ。

携帯電話事業者の乗り換えやすさが各社の競争を促し、サービスの引き上げにつながるというなら、銀行だって同じはずじゃないか。だから、ナンバーポータビリティ。番号をそのまま使えるようにすればいい。

この銀行のカードが届かないことに気づいたのは1月も10日を過ぎてからだった。Web上の問い合わせ窓口に連絡してみたら、翌日にメールで返事が来て、オンラインで済ませたはずの手続きが実は間違っていたという。

以前使っていたのがクレジットカード機能付きのキャッシュカードだったのが、クレジットはもういらないので、キャッシュカードのみの再発行を申し込んだところ、「カード種類相違」で手続きできないとの答えである。どうやら、前と同じ種類のカードの再発行しか受け付けていないらしい。

「なんで別のカードは頼めないんだ」と、立腹していたのは昔の自分。もはやこの程度の理不尽でムカつくほど未熟ではない。確かに検索したら、間違いを知らせるメールが年の瀬に届いていた。見落としたのはこちらの落ち度だ。同行から毎日届く「お得なお知らせ」に紛れてしまったと口走りたいのも我慢して、再度発行を依頼する。

それでもやっぱり届かない。たまたまネットで明細を確認していたら、申し込んだ4日後にカード発行手数料の550円が引き落とされていた。それからもう2日ほど経っていたので、いつ届くのかと、再びWebを通じて問い合わせた。

ここで私は失策を犯す。うっかり手続きの手数料の高さや、カード発行の対応の遅さに苦言を呈してしまったのである。

前回は1日で帰ってきた答えが、ちっとも戻ってこなくなった。かねて自分にはクレーマー体質があるのではないかと疑い、念には念を入れて文章を練ったにもかかわらず、滲み出した怒りが先方に伝わってしまったか。最初にフリーダイヤルに掛けてカードを使えなくしてもらった際に、電話口でちょっと声を荒げてしまったかもしれない。はたまた……

もう来ないかと諦めた頃に、連絡が届いてホッとした。ちらっと目に入った文面では、お客様の意見は然るべき部署に伝える云々とある。なかなか理解のある銀行じゃないか。

ところがよく読むとこう書いてあった。「お申込から通常2〜3週間程度で(中略)郵送いたします」。はぁ?

しかもカード発行の業務は各支店に任されらているらしく、「送付状況等につきましては、直接、お取引店までお電話にてお問い合わせくださいますよう…(後略)」。えぇっ?

これで嫌になってしまった。

何でカードを発行するだけでそんなに時間がかかるのか。昔より機会が減ったとはいえ、現金しか使えない場合にはしばしば出くわす。先日も、財布をのぞいたら紙幣が一枚もなく、家人に頭を下げたばかりだ。発行に何週間もかかるようでは正直困る。

キャッシュカードを使っている銀行はここしか付き合いがないので、他行ならどうだったかはわからない。それでも、クレジットカードについては、合計3社ほどとやりとりをして、落とした翌日までに手続きは終わり、1週間もしないうちに現物が届いた。ひょっとしたら銀行ならではの事情があるのかもしれないが、それにしても動きが遅過ぎないか。しかも手数料はもう取っているのに。

数日で発行できないのであれば、せめて申し込んだ直後に、発行日の目安をメールで知らせるくらいのことはできなかったのか。あんなに毎日、スパムまがいのメールは送られてくるのに。しかも電話で問い合わせろとはどういうことか。電話が繋がらないから、Webで尋ねたのに……。

まあ、こんなところで嘆いても栓のない話である。だからこそのナンバーポータビリティである。もちろん私の口座が他行に移っても、メガと名のつく銀行に損害を与えられようはずもない。それでも自分は巨大な相手に一矢報いた気分になって、ささやかな溜飲を下げられる。そんな人が少しでも増えれば、どんなに強固な岩盤であっても、ひょっとしたら少しは動かせるかもしれない。

noteに何かをディスる記事を書くつもりはなかったが、これは提案だからいいだろう。それにしても腹が立つ。許すまじ、M銀行。

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