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#87【育爺日記Eps.15】優しくなくても介護ができるコツ ~タイガー&ドラゴンの介護論~

「介護ネタ」ばっかりが続く。正直、自分でもウンザリしている。

私がnoteを始めた本当の理由は、父の「介護時間」から離れて、自分の好きな、介護とは全く無縁の、毒にも薬にもならない、くだらない事を気軽に、延々と書いて「自分時間🩷」を満喫したかっただけなのに・・・・・・・。
(どうしてこんな事に?!)

まぁ、それはさておき・・・w


”私は、思いやりのある優しい人間ではない。”

これは母の介護事案と直面した時から、強烈に自覚していた。

ま、元々、母との関係は宜しくなく、「嫌い」だった事もあるけど、所謂、『受容性』というものが低い。

◼️受容性とは?!
物事を受け入れること。受け入れ(取り込み)やすいさまを指して「受容性が高い」「受容性に富む」などと言う。

実用日本語表現辞典より

仕事でも子育てでも、この『受容性』が勝負なので、如何なる事案についても、それなりに適切に対応してきたつもりだったが・・・。

親の介護では、この『受容性』が発動されない。

いや、何と言うか、どうしても、そういう”スイッチ”が入らない・・・。

高い受容性と技術や胆力が求められる”介護の仕事”など、”リスペクト”こそすれ、自分がヤレと言われたら、絶対に無理w

”それでも、父の介護をしなくてはならない。”

【その理由1.】
親の介護は、「扶養義務」にあたり、法的に逃れられないから。

【その理由2.】
父の世代は、「認知症=狂人」とか、「施設=狂人として監禁される=命の危険が迫る。」という、理解しがたい強い強迫観念に支配されており、「施設へ入所するぐらいならば、自分の家で腹かっさばいて死ぬ!(”孤独死”を選ぶ。)」それが、”尊厳死”だと思っているから。(因みに、当家は、”もののふ”の家系でございますw)

実際、今、父を自宅へ戻し、心疾患の常用薬を抜き、その他ビタミン剤やらなんやら抜き、介護サービスの利用も止めて、ほったらかしたら、多分、3ヶ月で、”お迎え来る”と思うわ・・・。

そいつはさすがに、人道上、道義的に問題ありありでしょ。事実上の「介護放棄」になるわけだから。

なので、例え、優しくなくとも、介護は不得手だと自覚があっても、
父の介護は、せにゃならん。その方法を探すしかない。

そしてそれは、”好戦的且つ戦略的”に仕掛けるしかない。

同時に、それは日々、24時間365日、「母の認知症介護事例」を踏まえ、「トライ&エラー」を繰り返しながら展開されている。


さてそこで、本日の表題の件に移るとしよう。(え?ここから?w)

父の在宅介護が始まった当初から、私が目をつけたのは、認知症患者の持つ、ある”特性”だ。

◼️認知症を発症すると、脳の中で、記憶力領域は衰えていくが、感情領域は精鋭化される ―――。

これは「認知症と感情」「認知症 感情は残る」というキーワードで検索すると、多くの専門医の所見や考察がhitする。

認知症だから、何を言っても、何をしても、”わからんだろう。”というのは、大きな間違いで、認知症であっても、嫌な事を言われたり、されたりすれば、「嫌だ」とか「恐い」という感情は、健常者の時よりも、より強く感じ、そういった感情は、”脳に記憶されている”。ということ。

そして、更には、「他者の感情を読み取る力が増幅されている。」ということ。しかし、それが中核症状の進行で、明確に言語化できないだけ。自分の感情を正確に他者に伝える事が出来ないだけ。

具体的な事例を上げれば、表面上はニコニコと愛想良く、介護しようと接して来る者に対して、介護者が「ち。認知症なんて、面倒クセーなー。ま、しょうがないから、介護してやんよ!💢」という、何らかの”負の感情”を持っていれば、それを敏感に察知する能力が認知症患者にはあるということ。

これ大事w

生前の母が、私の「家事介助」を泣いて嫌がったのは、これだ。

どんなに笑顔で取り繕っていても、私が嫌々、家事介助に来ていること、母の事を「嫌いだ!」と思っていた事、「なんで・・・なんでお母さん、認知症になんかなったん?」という恨めしく思う気持ちを、母は、全身で感じ取っていたんだろう・・・。

そりゃ、母の認知症も、こじれるよね・・・。
(今更言っても、どうしようもないが。)

では、どう接するのが正解だったのだろうか?

”相手に感情を覚られない様に、自分の感情を隠して介護する!!”

そんなの無理w 介護する方も、人間だものw

24時間365日、自分の感情を隠す事なんて、その方面で、よほど特殊訓練受けた者でない限り、出来やしない。(私はそんな特殊訓練を受けているわけではない。)

そこで、私は考えたよ。

父がMCI(軽度認知障害)から、認知症へ進行する事を前提としながら、

”相手がこちらの感情を敏感に察知できるという事は、こちらも正直に感情を出そうと。”

これぞ、「タイガー&ドラゴン介護論」の真骨頂!!w

<事例1.「怒」「嫌」の心象 >
私(介護者)も、父(要介護者)に言われたり、されたりしたら「嫌」な事は、「嫌」と言ってみる。「嫌だから、そういうこと言わないで。」とか、「嫌だから、そういうことしないで。」と。

変に我慢しないで、かと言って激高せずに、穏やかに、伝える。

効果:(父が)自分が言ったり、やったりした事案が否定されて「嫌」という感情が心象付けられる ➡️ 怒られたり、嫌がられる事を心象付けられる。

<事例2.「喜」「楽」の心象 >
父(要介護者)が、好ましい事をしてくれた時や、言ってくれた時は、素直に喜ぶ。「ありがとう!!めちゃくちゃ嬉しいよ!!」とか、時には、「さすがは、我が父w」と、言葉にする。

効果:(父が)褒められた!!!😍 ➡️「嬉しい!!」➡️ 成功体験 ➡️やる気up。

<事例3.「喜」「楽」の心象>
父が、楽しそうに話をする事には、「ほー。それは面白いねー。」と、父の話に耳を傾ける。でも、「つまらん話だな。それは。」という批判的意見もきっちり言ってみるw(「事案」について、ガチで意見交換をする。)

効果:対等に”議論”をする事で、脳が活性化される。➡️「楽しい!!😍」という感情が心象付けられる。(父は、私に”論破”されるのが楽しいらしいw)

<事例4.「怒られる」➡️「安心感」への心象>
父が何か失敗した時には、「あ、やっちまったなw でも大丈夫。そんな事もあるよ。怒ってないから、大丈夫だよ。」と、言葉に出す。(むぅ~として黙ってフォローしない。)

効果:「失敗」は怒らない。➡️ 「安心感」を心象付ける。

<事例5.「哀」➡️「安心感」への心象>
父に言われて、面倒くさい事は、「うわーっ!!それは面倒クサ――!!」とか、「ダリぃ~ダリぃ~。それはダリぃ。でも、順番でやるから、待ってて。」と、正直に言うw 

効果:「何だか相手を困らせる事なんだな。」という事を心象づけると同時に、「でも、待っていれば、やってくれるんだ。」という安心感を心象づける。

<事例6.「恐れ」「心配」➡️「安心感」への心象>
父が何やら心配な不穏な気配を感じたら、「どうしたん?」と、声をかけてみる。何度同じ心配事を言われても、「大丈夫だよ。これこれ、こうになっているから、安心して。」と、真摯に対応する。(これは最重要課題)

効果:「安心感」を心象付けられる格好の局面。

<事例7.「恐れ」➡️「回避」への心象>
時には、私だって、怒りの感情が爆発しそうな時もある。そういう時には、抑え込まないで、ほどほどに爆発させるw (ここは家族介護者の特権だろうw)

効果:「機嫌が悪い」➡️ お互いの一定の距離を保つ。(パーソナルスペースの確保)


相手が「要介護者」であるからと、何でも我慢して、介護者が、一方的に「受容」するのではなく、介護者の「嫌」「憂鬱」「めんどくさー。」という感情も、”上手く投げかける。” その代わり、要介護者の「喜怒哀楽」ポイントも、上手く受け止める。

お互いの喜怒哀楽を素直に重ね、相手の感情を知る事で、互いをより正しく理解する事ができる。

そうすると、お互いに、「どうするべきか?」と、やるべき事がわかる。

人間というのは、「やるべき事がわかる=自分のあり様がわかる」と、”安心する生きもの”なんだよねw

要介護者の心に「安心」という感情を、介護者の「一方的な受容力」ではなく、テクニック的に心象付けられれば、認知症特有のBPSD周辺症状と言われる、不穏な言動や問題行動は、落ち着いていく。副作用の強い向精神薬や安定剤を用いずとも。(多分w)

認知症へ発症する危険性が高まっているMCI段階においても、不穏な症状は改善されていく。(これは、父の様子で実感している。)

優しさや思いやりという「受容力」がなくとも、それを「テクニック」でカバーする。でも、「テクニック」は、決して「欺し」や「偽り」であってはならない。それは、要介護者に最も敏感に察知されてしまうからだ。

家族介護に必要なのは、闇雲な「忠誠心」ではなく、常に対等に「誠実」であること。

「誠実さ」という感情は、伝わる。例え認知症患者であっても。

人は、他者からの「誠実さ」を感じれば「安心」し「信頼」するものだ。

ただひとつ、家族介護者に求められる『受容力』があるとすれば、それは・・・、

人は、生まれ、生き、いつかは衰え、病を得て、”忘れてしまう”という事を、”許してあげる。”

”忘れてしまう”という事に、最も「痛み」や「不安」を感じているのは、認知症患者である、本人なのだから。そして、それは紛れもない”事実”なのだから。

”あなたが忘れても、私が忘れてないから、大丈夫だよ。”

とどのつまり、そう言ってあげられることだと思う。

介護とは、戦略だ!!
こうして、タイガー&ドラゴンの戦いは続く。


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