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宮崎正弘さんのメルマガ💕🐧|皇帝🐧ペンギン|note (2021/02/11〜02/20) 🐧💦

宮崎正弘さんのメルマガ💕🐧|皇帝🐧ペンギン|note
https://note.com/iloveflying0306/m/m4fc9008fda51

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月20日(土曜日)   通巻第6805号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ダンスを皆が踊っているときに抜け出すわけには行かない
  リーマン・ショックが近いことをブラザーたちは知覚していた。
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 リーマン・ブラザースが破綻する一年前にベア・スターンズが事実上倒産していた。JP・モルガンが、静かにベア・スターンズを買収したので、危機は深刻に認識されなかった。しかし、無茶苦茶な貸し出しを続けてきたサブプライムローンがいずれ大爆発を起こすだろうと警鐘を鳴らすエコノミストも大勢いた。

 リーマン・ショックをいまさら解説する必要はないが、「百年に一度」の金融危機と言われ、時のFRB議長だったベン・バーナンキは「ヘリコプター・ベン」の異名を取ったように金融緩和を強引に牽引する一方で、米国金融界の大再編が起こった。この激越なTUNAMIは日本にも深甚は悪影響を及ぼし、日本の証券、銀行が再編された。
後日、リーマン・ブラザーズの幹部が語った。
「皆がパーティに集まって、ダンスを踊っているときに抜け出すわけには行かない」と。

EVが大躍進を遂げて、自動車産業界はなにか「リーマン・ダンス」を踊っているのではないのか。EVは走行距離が短く、大型車両には不向きなうえ、スピードも出ないことは誰もが知っている。そのうえ電気消費が二倍になるが発電の手当が伴っていない。充電スタンドも決定的に不足している。

斯界では「株価をつり上げる情報操作が目的」とか「補助金を予算化するため」とかの説も出回っている。

先週、ビットコインが5万ドルを突破したが、直接の原因はテスラが15億ドルを投資したことが判明したからだ。しかしビットコインは環境社会企業統治という企業トップの重点的目標からは乖離している。
テスラ率いるイーロン・マスクは市場の特性を巧妙に掴んでの冒険主義の暴走が見られ、いずれ信長のように高転びに転ぶことにならないか。

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 ここで、次の記事を参考にかかげたい。というのも、この加藤康子氏へのインタビューはたいへん重要なことを発言しており、その重要部分を抄録する。(「未来ネット・メルマガ」、2月19日号)。

▲脱炭素政策は素材産業を日本から追い出す政策、

 (加藤康子)環境と労働に優しくすると社会コストが高くつきます。電力や労働規制、環境規制、税金などの社会コストが高い。マーケットは大きくない。そういう悪条件下で製造業が頑張り続けるのは大変です。
 今のまま工場が全部外国に出ていったら、政策を一歩間違えれば日本は本当に借金まみれの貧しい国になってしまう。いったん海外に行ったら日本に戻すのは至難の技です。現地で再投資をしたほうが効率がよい場合が多いからです。
カーボンニュートラル(脱炭素)政策は素材産業を日本から追い出す政策、絶対に避けなくてはいけない。
 今の日本政府が地球環境を救いたいなら、まずすべきは中国の製造業を分散させることであって、日本じゃない。CO2の排出は、中国とインドが主な問題ですから。
 製造業にとって社会インフラ面のコストは人と土地と電力と水です。このうち日本で競争力があるのは水だけです。あとはいろんな規制があって日本で生産するのは諸外国に比べてものすごくコストがかかる。
だから企業は、固定資産税をタダにしますよ、電力を安くしますよ、と誘致政策をしいた街に行くわけです。利益は電力や水などの総合的なコストを引いた後のものだから。

 ▲製造業は心臓の部分を輸入に頼った瞬間から没落が始まる

 (加藤康子)これはEV(電気自動車)と共通ですが、製造業は心臓の部分、船なら主機、車ならエンジン、これを海外からの輸入に頼った瞬間に、その産業は没落が始まります。
 日本は今まで優れたエンジンを20年、30年、40年かけてイノベーションを起こしてきましたし、今や世界に冠たる自動車製造大国をつくってきましたが、それがモーターと電池になると別のビジネスモデルに変えられてしまう。
そもそも100%EVにするということ自体はありえません。
電池の産業廃棄物をご存知ですか? 全然、環境にエコじゃない。なのにそれをエコと言い切って進めること自体が、ある意味すごいと思う。ペテンですよ、本当に。
 電池の廃棄物の毒性はすごいですから。イタイイタイ病みたいな公害をまた引き起こすつもりなのかと。
有害物質がものすごく出る。電池は基本的に有害だと思わなきゃいけないのです。だって有害物質に依存した物なのだから。
 リチウムイオン電池をつくるために、コバルト、ニッケル、リチウムなどの資源が必要ですが、コンゴのコバルトは資源もあと数十年といわれています。レアメタルは経済安保を考えると中国に依存するのはとても危険です。

 ▲EV政策は重工業を弱体化させ日本の経済を丸裸にする謀かも

「(加藤康子) 「環境」が金融商品化して今の騒ぎを作っていることが大問題です。
いかに産業を強くするかという産業政策をしていたのだけど、今はいかにお金を流通させるか、投機をいかに呼び込むかという政策をやっていますね。それに乗ると国民が最後はワーッと、それこそレミング現象みたいなこと(集団で自殺)になる可能性があるわけです。
 日本の自動車産業はこのままEV推進政策に取り込まれると危険です。
カーボンプライシングでEVへの補助金を捻出しようと考えているのでしょうが、税金の無駄遣いでしょう。日本が強かった内燃機関から、中国や韓国が強い電池産業に自動車産業の産業構造を切り替えるという話ですから。
 EV推進政策は重工業を弱体化させて日本の経済をストリップアウトし、国際競争力のある日本の自動車産業を弱体化させます。
  カーボンニュートラルは、結局日本の素材産業を中国に追い出してしまう話ですよ。日本で鋼板が作れなくなります。国の予算をかけて、何兆円産業を日本から追い出す。そんなことして本当にいいのか!と誰も大きな声を上げないのが、本当に大問題。

(加藤康子(かとう こうこ)プロフィール:産業遺産情報センター長。慶応大学文学部卒。米ハーバード大学ケネディスクール(公共政策大学院)で都市経済学修士課程(MCRP)修了。一般財団法人「産業遺産国民会議」専務理事。2015年7月から19年7月まで内閣官房参与を務め、「明治日本の産業革命遺産」(長崎など8県)の世界文化遺産登録に尽力した。著書に『産業遺産「地域と市民の歴史」への旅』(日本経済新聞出版)他。
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★『明治日本から令和へ』加藤康子(zakzak by 夕刊フジ)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210202/dom2102020001-n1.html 
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2200回】           
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港82)
 
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 一方、寧陽会館からの書簡では、30個の骨箱に収めて託送した105柱の遺骨を「転交香港台山商会、俾得運入寧城義荘」、つまり香港に住む台山県出身商人で組織した台山商会に移した上で、寧陽会館が故郷に造成した「先友」のための共同墓地の寧城義荘に埋葬するよう依頼している。
この書簡の日付は特定できそうにないが、1918年から1925年の間と見られる。

 以上の2つの書簡から、肇慶総会館にせよ寧陽会館にせよ、当時すでに香港で活動する支部なりの関連組織を持ち、サンフランシスコ=香港=故郷を結んだ運棺ネットワークが機能していたことが読み取れる。
このネットワークが棺や骨箱だけではなく、じつはヒト・モノ・カネを運んでいた。その中にアブナイモノが含まれていたとしても不思議ではない。

では、託送された棺なり骨箱を引き取る遺族が現れない場合はどう処理するのか。そこまで心配することもないとは思うが、ここまで調べた以上は、その先を知りたくなるのが人情、いや「業」というものだろう。

 1927年2月28日付けの東華三院から出された金山寧陽餘慶堂宛の書簡は、1年前にアメリカの定期船で託送されてきた「先友骸骨九十七箱」は5月22日に東華義荘に安着し保管しているが、引き取りに現われない遺族がまだ多数いる。
今回、遺骨を収めている布袋が劣化し破れてしまったことから遺骨が散乱してしまい、どれが誰の遺骨か判明しない。遺族が引き取ることを望んでも渡せない──と綴った後、次のように小言を添えた。

 「竊かに思うに此の先友は身を異邦に喪う。貴堂列翁の骸骨を?拾するを経て付返す。理さに宜しく運び故里に帰し、俾みて首邱を正すべし。今、竟に此れらの骨殖は零乱するに因り、認め領ける能わず。諸々の情理を揆れば、心に於いて殊に不安有り。別埠の付来する骨殖を査らかにするに、具毎に白の鉄箱を用いて貯好め、外面に加えるに木箱を用い、先友の姓名、籍貫を木箱の外面に書写し(以下、略)」。

 つまり願い通りに故郷の土に還してやりたいと苦労して収集した遺骨なのに、ぞんざいに扱うから処理に難儀をするんですよ。袋は腐り破れ骨が交じり合ってし
まい、どれが誰のものやら判らない。人情において忍びないではありませんか。「別埠」──サンフランシスコ以外の都市を指すのだろう──にある華僑組織から送られるてくる遺骨は白の鉄箱に収められ、さらにそれを木箱で覆い、箱の表面には死者の名前と還るべき故郷の地名まで書かれていますよ。だから今後は布袋なんぞに放り込まないで、「別埠」のように手厚く丁寧に処理してくださいよ。イイカゲンにしてくださいよ。今後は梱包をシッカリ頼みます、ということだろう。

 北米であれ中南米であれ、各地の華僑組織と東華三院との間でやりとりされた書簡をみる限り、「入土為安」までの一連の作業は、以上に示したサンフランシスコからの場合と同じような処理がなされている。

 最後に面白い例を1つ挙げておく。それは横浜中華会館理事長孔雲生からの書簡で、日付は「中華民国拾六年十月二十七日」というから1927年10月27日になる。

 その文面によれば(a)横浜中華会館前董事・譚玉階の棺を今年の冬季に香港宛に託送するので東華義荘で保管を願いたい。(b)子息の譚理平が神戸から香港に向かうので蝦苟艇を雇い、棺を故郷の高明県に運搬し葬ってもらいたい。(c)費用につき返信願いたい──と求めたが、東華医院からの返事がない。譚理平からは「東華医院からの返事はどうなっているんだ」と何回も言って来るが、曖昧な返事しかできない。そうこうしているうちに棺を船積みする日が近づく。はたして当方の希望は叶うのか。
返信次第では今回の措置は中止せざるをえないかもしれない。そこで「専候玉回」と返信を求めるのであった。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号「この『デジタル通貨』はフェイスブックが『リブロ』を提唱し、主要国の反対で流れたが、あたらしく『ディエム』の発行計画に改めた。BISの調査報告では、日米欧の中央銀行は導入に慎重だが、新興国のカンボジアは『バコン』を発行した」(引用止め)

定義がカオス化しているので書きます。
通貨とは法定通用力を持つ貨幣のことです。電子マネーは3種類あります。前払い、即時払い、後払い。それぞれ、paypay他、デビットカード、クレジットカードです。最初のは各フィンテック企業がやっていますが、規模はあくまでも微々たるもの。ずば抜けて多いのはクレジットカードです。したがって便利であって副作用はありません。
 五万ドル越えたビットコイン他はブロックチェーンの暗号資産です。定義上、通貨の範疇には入りません。ビットコインと基軸通貨ドルの為替市場などありません。
 デジタル通貨とはシナのような全体主義国家や、カンボジア、パナマのような小国でのみ可能です。
マイナンバーにこれほど抵抗感がある個人情報保護に厳しい通常の国家では不可能です。オーエルの言ったように『1984年』的な全体主義国家に変容しない限りは。
なぜなら、デジタル通貨とは人民全員が中銀に口座保有することを意味するからです。現在、日本では銀行以外は日銀口座を持てません。なお、フィンテックは日銀口座を持っていません。
人民全員が中銀口座を持てば、政府中銀は人民が何に金を使ったか、すべてわかることになります。そこでは量子コンピューターが使われる。
既に日本財務省は官庁用語「調査する」で「デジタル通貨はやらない」と断言済みです。
一方、グーグルなどは国家を超越した権力へ成長しましたが、国家を越えた暗号資産をさらに強力なパワーとなるために、やりたくて仕方ないようです。
シナではスマホでデジタル通貨を扱えない高齢者向けに、カードを発行するようです。10年後の世界が大変化しているのは間違いない。
   (Z生、逗子)


(宮崎正弘)複雑怪奇な金融状況地図ですが、明快に定義しなおしていただき、有り難う御座います。

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(読者の声2)貴誌連載中の樋泉克夫先生のコラムは現在、華僑として外国に死んだ中国人が死んだら故郷に帰りたいと、棺を香港経由で運びこむ話ですが、似た話を聞いています。
 嘗て日本の統治により治安が確立した満洲には、多くの漢民族がやって来ました。地の利から山東省が多かったようです。苦力も多かった。
 ハルビンの中国人街はフ─ジャデンと言いましたが、そこには大観園という「三不官」(政府、警察、軍も手を出せない、アンタッチャブル地帯)の一帯がありました。時々、その大観園からは、素っ裸の干からびた阿片患者の死体が路傍に放り出される。ここは売春宿でもあり、阿片窟でもあるのです。「魔窟」と呼ばれていました。
 死体はしょうがないから、ハルビン市のゴミ収集車がやってきて、共同墓地(万人抗)に身元不明者として埋葬されます。専売制度で阿片患者漸減政策を取っていた満洲国政府は怖気づいていました。
何でこういうことが起きるのか、理由がわからない。
そこで調査に入ったのが中国語も達者な佐藤慎一郎先生でした。孫文の革命運動で亡くなった山田良政の甥ですから、蒋介石の国民政府も知っている人物。戦後、拓殖大学の名物教授として著名な先生です。
先生が調べると、死体は抛り棄てられるだけではない。干からびた遺体の腹を開け、そこに阿片を詰め、死人の故郷である山東省に棺に入れて送っていたということが判明しました。
漢民族の願いである故郷に土になりたい思いは、そのようなあくどい阿片密輸にも利用されていたわけです。私はこの「魔窟」大観園の跡地を見に行ったことがあります。今でも荒涼としていましたね。
(田中秀雄)


(宮崎正弘のコメント)佐藤慎一郎先生は中国史の研究家でもあって拓殖大学海外事情研究所におられましたが、田中角栄の日中国交回復は拙速として、中国側の文献や文書の解釈を鮮明に展開され、田中外交を批判していたことを思い出しました。

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(読者の声3)三島由紀夫研究会事務局から二月と三月の「公開講座」のお知らせです。
2月は井上隆史先生が「21世紀の三島由紀夫」を語る
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憂国忌の発起人一人。白百合女子大学教授の井上隆史先生による公開講座「21世紀の三島由紀夫」が開催されます。
              記
日時   2月26日(金)18時開演(17時半開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   井上隆史先生(いのうえ たかし、文芸評論家、白百合女子大教授)
演題   「21世紀の三島由紀夫」
講師略歴 昭和38年生。横浜市出身。東京大学文学部国分科卒。主な著書に『「もう一つの日本」を求めて 三島由紀夫『豊饒の海』を読み直す』(現代書館)、『暴流の人 三島由紀夫』(平凡社)など多数。
参加費  おひとり2千円(ただし会員と学生は1000円)。
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3月公開講座は三浦小太郎氏が講演

日時   3月26日(金)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   三浦小太郎氏
演題   未定
講師略歴 昭和35年生。評論家、アジア自由民主連帯協議会事務局長
     東京都生れ。獨協医科大中退。保守派の論客として諸方面で寄稿、発言。
著書   「ドストエフスキーの戦争論『作家の日記』を読む」
参加費  おひとり2千円(ただし会員と学生は1000円)。
     (三島由紀夫研究会)


(読者の声4)隠し文学館「花ざかりの森」でよみがえる三島由紀夫展があります。
憂国忌発起人でもある杉田欣次氏が主催する隠し文学館花ざかりの森(富山市)において「三島由紀夫の読書と創作の変遷 展」が、以下の通り富山市で開催されますのでご紹介します。
          記
開館日時  令和3年2月27日(土)~3月21日(日)
開館時間  午前10時から午後5時
入館料   一般5百円、学生3百円
休館日   毎週月曜日
場所    富山県富山市向新庄町2丁目4番65号
TEL   文学館  076-413-6636 
      杉田氏宅 076-451-7770
携帯   090-8090-2686
Eメール  sugita-hanazakari@samba.ocn.ne.jp
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月19日(金曜日)   通巻第6804号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ アフターコロナの経済地図が見えてきた
  EV、AI、IC、DX、ROBOTICSと横文字が並んだ。
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コロナ禍が終わると、次の投資テーマがかなり明確に浮上している。話題の中心はテスラ、日本電算、ファイザー、住友鉱山あたりだろうか。

一、 地球温暖化、「2050 脱炭素」を主要国が目指すとしているからには、EV 空気清浄装置、リサイクルなどの関連事業。とくに「EVは今後五十年続くビジネスになる」(永守重信「日本電産」会長)。
また「水素ステーション」の建設も日本政府は前向きに対応し、2030年までスタンド80万台、水素ステーション900ケ所を目標とする。
 EVはエアコンの付かない小型廉価版が50万円を切った。高給EVはテスラが400万円以上と二極分化も激しいが、中国の「国策」による強化推進であるため、上海汽車、BYD、広州汽車、長城汽車、吉利、NIO、奇瑞、理想汽車などが一斉にEV生産に乗り出した。さらにはアップルもEVに乗り出す。

二、 DX(デジタル・トランスフォーメーション)とくれば、AI、半導体、半導体設計・製造装置、有機ELなど新素材。 
 中国は日米欧から盗み出した技術で、飛躍的に生産を伸ばしたが、ほかの先進国と異なるのは、すべてが軍事技術に直結していることだ。

三、サプライチェーン構造転換は設備投資を増強し、自動化が進むため、ロボットはまだまだ飛躍するだろうし、運送の人手不足はドローンの改良が必要になる。
トランプ前政権は高関税、ファーウェイ、テンセントなど中国企業の排除、規制強化、ヴィザ条件の締め付け、中国企業のウォール街からの締め出しなどで劇的な改編を見せてきたが、バイデン新政権は、これらの政策を緩和して行く方向にある。

四、ワクチンは利益率が悪いので開発メーカーの株価は上昇休憩となったが、医薬品開発が重要産業であることに変わりはない。

五、金価格が天井をつけたあとも高値圏で安定している。金備蓄を、日本を除く主要国は増やしているが、民間では日本でも投資用に金が買われている。
一方で、ビットコインに代表される暗号通貨の躍進と、デジタル人民元が代弁する既存貨幣価値との関係がどうなるかで、変動関数が複雑化するだろう。
この「デジタル通貨」はフェイスブックが「リブロ」を提唱し、主要国の反対で流れたが、あたらしく「ディエム」の発行計画に改めた。
BISの調査報告では、日米欧の中央銀行は導入に慎重だが、新興国のカンボジアは「バコン」を発行した。実験段階にあるのが中国とスウェーデン(eクローネ)。研究が進んでいる段階にあるのが40ヶ国に及んでいる。中国は北京冬季五輪での使用を想定し、実験を繰り返している。


 ▲コロナが終わらないと長期的展望は見通せないのだが。。。

 長期的予測は、未来学が大きく後退し、経済学的社会学による観察に注目が集まってきた。
 とくにウォルター・シャイデル(スタンフォード大学教授)の書いた『暴力と不平等の人類史───戦争・革命・崩壊・疫病』(東洋経済新報社)が話題となっている。「平等」は「戦争」「革命」「崩壊」「疫病」の四つのファクターによる破壊の後にやってくるとする歴史法則的な仮説である。

 「戦争」は歴史を変え、『平等』という社会をもたらした。第二次大戦後の日本は若者ら250万人が戦死し、都市は焼かれ、曠野となった。GHQの農地改革と財閥解体で、富裕層が落剥した。戦争は軍需産業の栄枯盛衰、軍事技術を民生に転換して、戦後日本は経済成長を遂げた。
 
「革命」は暴力を伴い、政敵を虐殺し、社会を無謀に残酷に変える。スターリンは数千万を粛清した。毛沢東の「大躍進」と『文革』で、6000万人以上が死亡した。貧富の階級が交替した。

 「国家の崩壊」は、アテネ、スパルタが戦争で疲弊したあと、ローマ帝国が台頭し、やがて崩壊した。支配層が消滅し、搾取構造は終わり、生活が向上した次期があった。

「疫病」はペロポネソス戦争から繰り返されてきたし、カミュが書いた『ペスト』が象徴するように、世界的規模で数千万が死亡した。 
 こんどのコロナは全世界で数百万人が死亡する。社会が大きく変わり、投資対象が代わることに間違いはないだろう。

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2199回】             
 ==英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港81)

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 書簡に登場する永生源号とは長生店、つまり葬儀屋のこと。やはり運棺作業には長生店は必要不可欠なのである。一連の作業の流れを追ってみると、棺や骨箱とはいえ品物である以上、それなりの手続きを経なければならないことが分かる。

 先ず送り出し先の華僑組織が輸出入にかかわる書類を整え、棺や骨箱を海運会社に運送を依頼する一方、船舶名を香港側に連絡し必要な金額を送金する。当該船舶は香港に入港し沖合いに停泊する。東華三院から委託された長生店は小型船舶で出向き、洋上で棺や骨箱を受け取った後に東華義荘に運び込む。

その日から、東華義荘での一時保管がはじまるわけだが、こうみてくると東華義荘は「死者のホテル」でもあり、同時に保税倉庫のような役割も担っていたことに思える。

 次に東華三院は新聞広告などで棺や骨箱の到着を告知する。遺族や関係者の申し出を待って、棺や遺骨は専属契約を結んでいる小型漁船を改造した「蝦苟艇」と呼ばれる長生店所有の専用船、つまり「棺運びの船」に積み込まれ、広東省各地の指定された地点に運ばれ「入土為安」することとなる。

 もちろん費用一切は遺族負担が原則だろう。だが、これまでも見てきたように多くは死者の所属していた華僑組織が負担したとも考えられる。時に香港の有力商人が用立てた場合もあったようだ。最終的に殖民地当局に輸出税を支払い、一切の手続きが完了する。正しく輸出入業務である。  
 
長生店が最も繁盛していたのは20世紀の30年代らしい。ということは、この時期、香港経由で多くの人々が広東各地から海外に流出して行ったとも考えられる。

 ここで話を元に戻すが、「黄鳳華霊柩一具」もサンフランシスコから太平洋を越え香港に到着し、東華義荘で暫しの逗留の後、蝦苟艇で故郷の肇慶四会に帰郷し、望みのままに「入土為安」したことだろう。

サンフランシスコから香港経由で故郷までの輸送費や諸雑費、さらには親族への埋葬費用などは、やはり梁啓超が指摘しているように致公総堂への会員の寄付でまかなわれていたに違いない。まさに至れり尽くせりの手配だが、そこまでしても「入土為安」したい、そこまでしても「入土為安」させてやりたいという心情・・・尊いとは思うが、どうにも理解し難い。とはいえ、やはり見事なまでの相互扶助システムであることに注目しておく必要がある。

 以上は1つの棺を輸送した例だが、次に多数の遺骨の宅配例として、三藩市肇慶総会館(SUEHING BENEVOLENT ASSOCIATION)と金山大埠寧陽会館(NINGYONG BENEVOLENT ASSOCIATION)が東華三院との間でやり取りした書簡で見ておきたい。なお三藩市も金山も共にサンフランシスコを指し、肇慶総会館は広東省出身者の、寧陽会館は香港に近接する広東省寧陽県出身者の組織した同郷会館である。

 肇慶総会館からの書簡に記された「本堂此次●運先友、一切工作業経済完竣・・・〔中略〕先友壹佰壹拾件分装弐十壹箱・・・〔中略〕懇請派員前往該船起運、並乞分別妥為発落。除飭駐港弊善堂知照外・・・」の文面から、肇慶総会館はアメリカ各地に設けられた同郷人の埋葬地を訪ね歩き、墓地から掘り起して収集した110柱の遺骨を20個の骨箱に収め、香港への輸送を託す。
その一方で東華義荘に職員を派遣し、遺骨を受け取り故郷に葬ることを依頼していることが判る。

「駐港弊善堂」ということは、サンフランシスコの肇慶総会館は傘下の慈善組織である善堂を香港に置いていた。はて、棺の中身は遺体だけだった・・・のだろうか。
    ○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎  

  ●アンディ・チャンのアメリカ通信  ●アンディ・チャンのアメリカ通信
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民主主義の根本に違反した大罪
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二度目のトランプ弾劾は53対47で不成立に終わったが、民主党のトランプ追放計画はこれで終わったのではない。次にどんな手を打ってくるかわからないが、共和党のマイノリティリーダー、マッコーネル議員が「トランプは道義上の罪を追求されるべきだ」と述べたように、民主党だけでなく共和党内部にも裏切り者がいる。
トランプを政界から追放するDeep Stateの企みはあと何年も続くだろう。

 2016年にトランプが当選して以来、民主党は1日としてトランプを罪に陥れる陰謀を止めたことがなかった。
ロシアゲート、ウクライナゲート、第一回弾劾案、第二回弾劾案などに国家の三権を乱用し、でっち上げのために何人ものトランプの部下を無実の罪に陥れ、メディアを総動員してトランプ攻撃とメディアのトランプ情報封鎖、その上にフェイスブック、ツイッターなどの大企業家もトランプ降ろしに加わって資金提供、ジョージ・ソロスはAntifaとMLBなどに資金を提供して彼らの暴動、暴力行使のおかげで米国各都市で略奪や放火が起きた。

 去年11月の違法選挙でトランプが政権を降りると共和党の裏切り者がトランプ降ろしに加わったので共和党が分裂を起こしかけている。
裏切り者たちは明らかな親中派やDSの資金提供を受けたものなどで彼らが反トランプを始めた。トランプ追放劇はDeep Stateの企んだ集団リンチに他ならない。
 彼らは5年も続けてトランプを政界から追放しようと企んでいた。それが今回の違法選挙で初めて成功した、けれどもトランプやリンウッド、パウエル弁護士、共和党側の選挙違法の追及は終わっていない。

 従ってDeep Stateもトランプ降ろしを止めることができない。選挙は終わったから次は共和党を分裂させてトランプの影響力をなくすつもりだ。これに対抗してトランプ側はリンウッド弁護士たちの数ある選挙違法の告訴を追及する
結局は司法の正義に頼るしかないのだ。
 最新ニュースによると最高裁は今週金曜日の2月19日に選挙違法の告訴案、およそ80件以上を審査すると発表した。去年11月の選挙には違法行為の証拠や証人、ビデオなどが山ほどあったにも拘らず、最高裁はトランプ陣営の提訴を審査せず却下したのだった。

トランプ側の提出した告訴案は数十件とも数百件とも言われているが、最高裁は19日にこれら数ある案件を審査して、どれを受理し、どれを却下するかを決めると言う。
但し案件が受理されても直ちに審査に入るのではなく、順番待ちの日にちを決定するだけ、だから数十件のうちで最高裁が受理した案に判決を下すまで何年もかかる。

 国民が期待しているのは選挙に違法があったと判決を下してバイデンの当選無効を宣言することだが、果たして最高裁が正しい判決をするかどうかもわからない。調査によると国民の7割以上は選挙に違法があったと信じている。
残りの「トランプヘイト」国民は違法の証拠がないと主張している。
 民主党側は「選挙に違法の証拠がなかった」と主張しているが、これは間違いである。違法の証拠がなかったのではなく、地方法院、連邦法院、最高裁などが提出された数々の告訴を取り上げなかったのである。
つまり「アメリカの司法が告訴を取り上げなかった」こと自体がDeep Stateの大規模な違法操作の証拠である。ドミニオン計票機が投票数字をサーバーで国外に送信し、およそ20ヵ国で投票数を変更した証拠が報告されている。大手メディアが一切を報道しないのも違法の証拠である。

 選挙が公正で公平であることは民主主義の根本である。今回の選挙では実に多くの問題州で多くの違法行為が検挙された。行政が勝手に選挙法を変更した。
郵便投票で多くの違法が検挙された。郵便票が中国で印刷された証拠も検挙された。Dominion計票機が各地の投票を外国に送信し、票数を変更した。司法は告訴を取り上げなかった。メディアはバイデンに不利な情報を封鎖した。

これは「計画的な民主主義の根本に違反する大罪」、しかも20国ほどが違法計票に関与した国際犯罪である。
 アメリカのメディア、フェイスブック、ツイッターもトランプ陣営の発表を封鎖した。
明らかな言論弾圧である。それにもかかわらず、国民の7割以上、中国、台湾、日本など外国のブログ発表では証拠を挙げて選挙違法を糾弾している。
アメリカ、日本、台湾、在米中国人の数々のユーチューブはみんなトランプ支持でバイデンとDeep Stateを批判し、トランプが政権を取り戻すことに期待している。
 どうして外国の新聞メディアやテレビはアメリカの違法選挙を報道しないのか。これは民主主義の根本に違反した国際犯罪である。
アメリカのメディアがDeep Stateに買収されても、諸外国のメディアは正義ため、世界の民主主義のためアメリカの違法選挙を糾弾すべきである。     
                 (アンディ・チャン氏は在米評論家)
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)2月の講演会は延期となりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
とびっきりの講演会(横浜)は、コロナ緊急事態宣言の為、2月24日の衆議院議員・元国務大臣 村上誠一郎先生と衆議院議員・元農林水産省副大臣 篠原孝先生、両講演会は延期とさせて戴きます。
 問い合わせ先TEL045-263-0055
http://aristoteles314.blog.fc2.com
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月18日(木曜日)    通巻第6803号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~香港は混沌、混乱。廃墟寸前の巷? 景気はドン底の様相
  ジミー・ライ保釈却下、アント上場延期、免税天国はシャッター通りに
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 香港の最高裁にあたる終審法院は2月9日、香港国家安全維持法違反で起訴された香港民主化運動のイコン、黎智英(ジミー・ライ)の保釈申請を却下した。
保釈を認めた高等法院(高裁)の決定は間違いだったと結論付けた。

バイデンは習近平との電話会談で、ウイグルのジェノサイドならびに香港の弾圧に言及したが、中国は内政問題としており、またWHOの武漢視察についても機密書類もラボの視察も拒否した。
「原因は特定できなかった」というWHOの報告には冷笑がおきた。

香港でもっとも人気のある新聞『蘋果日報(アップルデイリー)』の創業者の黎智英(ジミー・ライ)は、習近平政権ばかりか歴代中国共産党を厳しく批判してきた。「李鵬(元首相)のIQは亀の卵」と痛快な言辞を吐いたこともあり、2019年の訪米時には、ペンス副大統領とポンペオ国務長官が面会に応じたほどの大物である。

習は、この人物を眼の上のたんこぶとして徹底的に弾圧することを決め、香港政庁に逮捕を命じた。最初は詐欺容疑の別件逮捕、そして「外国勢力と結託して国家安全保障を脅かした」と国安法を持ち出して訴追した。
この起訴は昨師走(2020年12月)11日だったが、同月いったん保釈されて、また再収監された。香港警察が再逮捕したのだ。

 昨年11月に予定されていたアリババの金融子会社「アント」の香港と上海株式市場へのIPO(新規株式公開)は上場予定日の三日前に突如見送られた。その後、アリババの馬雲(ジャック・マー)は公の場には現れず、姿を消したままとなって、謎を深めている。
 
 習近平が「アント」の上場を見送らせたのは、アントがすでに中国国有銀行を脅かす存在であるばかりか、政府が進めるデジタル人民元の普及に障害となるおそれがあり、経済の支配力を失いかねない不安からだった、と多くが分析した。


 ▲アント上場延期の背後にある闇が浮かんだ

 ウォールストリートジャーナルは2月17日、「アント上場延期の本当の理由は別にある。株式購入予定の多くが、じつは中国共産党幹部であり(家族名義やその他)、しかもタックスヘブン経由で「外国ファンド」を装っていた実態が判明したと報道した。

そのうえ投資予定者の名簿も確保した模様で、誰々がアント株を購入しようとしていたかが判明したという。
じつは江沢民派、あるいは反習近平派が殆どであったため、「習近平は激怒して延期を決定した」と米国経済紙が報じた。

 もともとアントの筆頭株主は江沢民の息子であり、また香港の金融、不動産。とくに証券ビジネスの利権は江沢民派が握っていた。

 さて、その香港での異変が末端ビジネスに及んできた。
 そもそも香港の経済は不動産、金融、そして観光の三代産業で成り立ってきたのであり、國際金融都市としての機能は、資金洗浄やドル調達の機会であり、むしろ中国共産党がさんざん活用してきたのだ。
 その香港の不動産、住宅投資は続くか商業地や一等地のビルは空室が目立っている。

 観光も、日本同様にインバウンド、ホテル、レストランは最悪に近いが、世界のブランド品通りと言われたチムサーチョイ東地区で(ブランドショップが犇めきあって、中国からの旅行者がめちゃめちゃに買い物をしていた)、売り上げ48%減、多くが店を閉め、シャッター通りとなった。

従業員は解雇され、在庫を半額セールで売りさばいても香港人は見向きもしないから売れないという悲惨は風景が展開されている(サウスチャイナモーニングポスト、2月16日)。

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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~博打人生、多くの夢が消えて
  トランプ・カジノ&ホテル(アトランティック・シティ)解体爆破
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 トランプ・カジノ&ホテル(アトランティック・シティ)が解体された。
 2021年2月17日、全米から百台以上のカメラが集まって特設スタンドで待機した。アトランティック・シティの市民らは、広場にあつまっていた。
なぜなら2014年まで、トランプ(当時「不動産王」と言われていたっけ)が所有していたカジノであり、その不動産王が2016年にアメリカ大統領となったのだから、たとえ当該ホテルが破産後のなれの果てであったとしても、絶好のマスコミ種だ。

 解体方式は計算式に基づいてのダイナマイト仕掛け、アメリカ特有の爆破によるもので、巨大カジノビルは一分ほどで綺麗に「始末」され。残骸が散らばって、カジノの夢は終わった。
 
 同日、「保守のイコン」と言われたラッシュ・リンボー(ラジオトークショーの司会者)が癌で急逝した。享年70歳。

トランプ前大統領が沈黙を破り、リンボーの死を悼んだ。
 リンボーは2016年からトランプ支援のコメントを発表し、2020年の選挙でも保守の主張を訴え続けて、トランプ選挙を支援した。トランプも数回出演し、或る番組では2時間のトークショーとなった。全米の保守層にとっては、人気が高い番組だったという。2020年には「自由勲章」を授与された。

 トランプを支援していたマードックのFOXテレビは、選挙終盤で混乱し、保守系の司会者を急遽降板させるなど、保守系のメディアも混戦を極めた。
マードックは、ところで、史上最高値と言われる豪邸(160億円)を購入したことで、別の話題をよんだ。
トランプ前大統領は1月20日にフロリダに去ってから、公共の場に現れず、一切のコメントを避けてきたが、リンボー追悼番組に久しぶりに登場し、「ラッシュ・リンボー氏は『伝説の司会者だった』と追悼のコメントを披露した。

 さて筆者が、NYからグレイハウンダのバスに乗ってアトランティック・シティへ言ったのは五年前である。
街は想像していたより淋しい光景が広がり、目抜き通りの通行人と言えばホームレスか、犬の散歩の老夫婦とか。バスターミナルの商店街は半分が閉店していた。若い人がほとんどいない街という印象をうけた。2016年4月の話である。

 通行人に「トランプのカジノホテルは何処ですか?」と聞いても、「知らない」と言われたのは衝撃だった。じつは、この時点で既にトランプのカジノホテルは閉鎖していた。会社更生法を申請していたのだ。

 ようやく探し当てたトランプ・カジノ&リゾートはけばけばしいネオンの残滓、手入れされていない前庭、後方の高層ビルは幽霊屋敷。ラスベガスの繁栄と比べると、新興カジノ都市を狙っていたアトランティック・シティのカジノビジネスは砂漠の蜃気楼に終わっていた。

撮影を終えて、ランチを取ろうとレストランを探したが、結局、バスターミナルのマックしかなかった。食べ始めて珈琲を飲んだところにNY行きのバスがきた。 
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌2月12日号に台湾の中華思想の持ち主で、元政治家の趙少康が次の国民党主席選挙にでるという記事がありました。ほかのメディアは殆ど報じていませんでした。
 ようやく昨日(2月17日)の産経新聞が矢板台湾特派員の記事で、このことが台湾政界で大きな事件となっている旨の分析がありました。貴誌はいつも情報が速いので,有り難いです。
   (FH生、さいたま市)

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(読者の声2)ちょっと遅れましたが『正論』発売日に三月号を買って、貴論の『鬼滅の刃にみるナショナリズムの復権』、じつに感動的に読みました。こういうアングルでの文化評論は珍しいし、貴重です。
 とくに主人公がイヤリングをしており、その図案が帝国海軍旗に酷似していること、ヤマトタケルの髪型「みずら」に言及されて、古代の戦士の髪型だったなど、歴史に詳しくないと、そういうアングルで考えませんからね。
 「鬼」が中国共産党とコロナではないかとする比喩も膝を打ちました。
 改めて再読して思ったのですが、貴論で紹介された「金時神社」とか「鬼ゲ城」とか、スサノオ荒ぶる魂とか、巷に蔓延る通俗の議論ではなく、総攬的な著作を考えられては如何かと思いました。
 こういう角度からの神話論、多くの保守陣営は待ち望んでいるのではないでしょうか。もちろん先般だされた貴著『こう読み直せ、日本の歴史』(ワック)は愛読しております。
   (DH生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)来月早々に告知予定ですが、当該分野の拙著、三月下旬に上梓されます。
具体的には3月第一週にお知らせします。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月17日(水曜日)   通巻第6802号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ビッドコイン、5万ドルを突破。テスラの15億ドル投資が瞬発の契機に
 デジタル通貨がドル、ユーロ、スイスフラン、日本円のパラダイムを超えるのか
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 2月16日、暗号通貨の代表格「ビットコイン」が瞬間的に5万ドルを超えて、全世界の関係者が吃驚した。
この突発的大暴騰は、2月8日にテスラが15億ドルのビットコイン投資を発表し、また支払い手段としても受け入れると発表したことによる。

 一時、ビットコインの価格が50598ドルにまで急騰する場面もあったが、同日市場の終値は48146ドルだった。
年初来、じつに70%もの上昇ぶりだった。

 暗号通貨市場は大荒れになっており、主因は主要国の放漫というべき財政支出と低金利からデジタル通貨への期待が高まったからだ。
一方で、既存の主要通貨である米ドル、ユーロ、スイスフラン、日本円が、いずれ大暴落に晒されるのではないかという不安心理が織り混ざった展開となった。

他方、この暗号通貨(日本のメディア「仮想通貨」と書いているが、欧米は「暗号通貨」である)をめぐる詐欺、そしてサイバー攻撃による暗号通貨強奪事件も頻発している。
犯人は「ビーグルボーイズ」(北朝鮮のハッカー集団)だ。国連報告書も、「交換事業者へハッカー攻撃を仕掛け3億ドルを奪った」と銘記しているという。

嘗て英国の病院などのコンピュータシステムを襲い、身代金がわりに支払いをビットコインで要求したのが「ワナクライ」と呼ばれ、中国遼寧省丹東を拠点をした北朝鮮のハッカー部隊が犯人だった。

今回のビーグルボーイズの手口は「チェーン・ホッピング」(次から次へとルートを隠蔽しつつ、最後には信任の厚いビットコインと引き替える)と呼ばれる。

具体的には北朝鮮のハッカー部隊が盗んだ通貨をほかの仮想通貨にすぐに交換し、追跡を困難にさせていたと国連報告者も分析している。

最後に割引価格で、中国の取引業者で換金していると国連報告はしている。つまり「プロトントークン」などを盗み、「イーサリアム」や「ビットコイン」と交換していた。そうした暗号通貨を資金洗浄し、割引で引き取るという闇市場が中国に存在することも注目しておくべきだろう。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)竹中平蔵という存在の耐えられぬ軽さ。「森会長はイイ人、でも不倫は悪いこと」。薄っぺらすぎる主張に主婦層からも批判の声
https://www.mag2.com/p/news/486699?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000001_tue&utm_campaign=mag_9999_0216&trflg=1
 有益なコラムでした。
   (信濃人)

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(読者の声2)福島第一原子力発電所の事故を描いた「Fukushima 50(フクシマ・フィフティ)」が、本編ノーカットにて3月12日21時より日本テレビ系「金曜ロードSHOW」で地上波初放送されます。
門田隆将著「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を「沈まぬ太陽」の若松節朗が実写化した作品です。
高い放射線量のもと勇敢に収束作業にあたり、世界中のメディアから「Fukushima 50」とたたえられた名もなき作業員たちの姿が描かれた作品です。
  (SE生)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月16日(火曜日)   通巻第6801号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~コソボがイスラエルのエルサレムに大使館を開設する
  中東から南欧にかけての地政学、地殻変動の予兆か?
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 イスラエルがイスラム国家のコソボと国交を開いたのは、2020年8月4日だった。それまで12年間、イスラエルはコソボを独立国としては認めていなかった。急転直下、コソボはイスラエル大使館をエルサレムに開設する。日本のメディアが報じたのは僅か数行。殆どの新聞は無視した。
 ところが、このニュース、重要な意味を持つのである。

 2020年、中東の政治に地殻変動が起こり、UAE、カタールなどがイスラエルと国交を結んだ。トランプ政権がイスラエルに梃子入れした結果である。
 バイデンとなって、イランとの核合意を復活すると言い出したので、イスラエルと米国の蜜月はまもなく終幕することになる可能性がある。ネタニヤフ首相はバイデンとは馬が合わないのだ。

 トランプ前大統領は米国大使館をテルアビブからエルサレムへ移転した。アラブ諸国の反応を注視していたが、激烈な反対も報復措置もなかった。
しかしながら主要国家の多くは、米国にならってエルサレムへの大使館移転をなさなかった。その状況下、いきなりエルサレムにコソボが大使館を開設するというのは異例と言って良く、イスラエル外交の勝利ともとれるだろう。

 バイデンはエルサレムへの大使館移転を覆さなかった。
 そこでエルサレムの米国大使館は大増設工事を開始し、2026年の完成を目指して突貫工事、700人の建設労働者が10階建てのメインビルを含む複合施設の建設に励んでいる。
敷地面積は5万平方メートル。場所はヘブロン通りの住宅地の高台。

 さてイスラム国家は、これまでイスラエルの国家の生存を認めて来なかった。コソボはイスラム教徒の国となっており、旧宗主国セルビアは、東ローマ政教系のセルビア正教。筆者がユーゴスラビア時代に取材した折、教会の一つに入って、土産にペンダントを買おうとしたら、「貴方は何教徒か?」「仏教徒です」「異教徒には売れない」と言われた。

 ましてコソボを独立国として認めていないのが中国、ロシア、スペイン、キプロス、ギリシア、ルーマニア、南ア、インドネシア。もちろん嘗ての宗主国セルビア、ブルガリアなど80ヶ国前後は認めていない。


 ▲コソボは何故、独立できたのか?

 2008年の独立時点で欧米主要国とともに日本はコソボ独立を承認した。
 この時点でじつは台湾もコソボ独立を承認した。この頃の台湾メディアはコソボ独立こそ台湾独立のモデルになりうると連日大きく報道していた。

 しかしながら、独立国とは言っても、コソボは軍隊もなければ、独立国の体をなしていないのである。欧米の地政学的な身勝手な論理が独立を支援したのだ。
 失業率30%、ひとり当たりのGDPは僅かに4400ドル内外。それでいてコソボの通貨がユーロ、つまりはEUの保護国である。若者の多くは外国へ出稼ぎにでた。

 コソボの人口は減ったり増えたり、戦闘があれば数十万の難民がすぐに発生する。面積が岐阜県くらいしかなく、人口は180万人、(岐阜県は200万人)。コソボの人口構成と言えば、或る日、気がつけばセルビア人が出て行ったため、殆どがアルバニア人となっていた。これこそ「静かなる侵略」の典型だろう。

 アルバニア人はオスマントルコ帝国の時にいち早くイスラム教徒に改宗した。
セルビア正教を頑なに護るセルビア人が、ユーゴスラビア連邦時代は政治の主導権をもっていたので、コソボは自治州だった。いまもセルビアは「コソボ・メトヒア自治州」と呼んでいる。

 チトーが死ぬと、それまで潜在化していた民族対立、宗教対立のマグマが大噴火し、殺戮、強姦、民族浄化、強盗、暗殺等々。何でもござれ、セルビアはボスニアやクロアチアとも戦闘を続けていたため、コソボにエネルギーを割けず、アルバニア系の武装集団が乗っ取ろうとしていた。

 ところがEUはセルビアを敵視し、ベオクラードなどへ空爆を拡大したため、コソボから30万近いセルビア人が逃げだした。
クリントン時代の米国も、空爆に参加した。そしてベオグラードにあった「中国大使館」(隣は日本大使館だ)を「誤爆」(クリントン政権の言い訳)したのだった。(セルビアとなって以後、中国大使館は旧市内に移転)

 この西側の空爆介入がなければセルビアが負けることはなかった。詮無きことを言っても意味がないので、それは置く。
セルビアは外交が下手だったのだ。ところがボスニアやクロアチアはいち早く米国に世論工作隊を派遣し、ロビィストと契約し、広告代理店を駆使し、セルビアをまんまと「悪人」に仕立て上げた。米国は敵と味方を間違える天才だから、このときも誤断した。


 ▲農地も住宅も空き地、空屋が目立つ

 コソボへ行ったことがある。あちこちに農地が空いており、空き家が目立った。この国は農業国家である。
 セルビア系が逃げ出したからだ。セルビアに限らず、あの空爆時代、欧米はユーゴに同情的だったから、米国への移民が急増していた。この頃、NYでタクシーに乗って、運転手が道を知らない。きくと「三日前、ユーゴから移民できたんだ」と驚くほどたどたどしい英語で答えた。

 コソボにはセルビア正教会の四つの修道院を「コソボ中世建造物群」として「世界遺産」としたが、いずれも修道院(デヂャー、プイズレン、グラチャニツァ、ペーチ各修道院)である。ここにだけセルビア人の修道女がいる。中世の宗教画は荘厳華麗、緑の公園のなかにある修道院を見たときは、悠然とした環境に優雅さを感じたものだったが。

 イスラム系のアルバニア人は教会を破壊しかねないので、EU軍隊が駐留している。筆者が見学したときは、イタリア兵が機関銃で武装して護っていた。
 
 首都のプリシュティナは、人口が60万人に膨れあがり、外国の出稼ぎ組みからの仕送りもあって綺麗な街づくりが進展した。
マザーテレサ・カテドラルがあり、彼女の銅像も立っているが、傑作なのはクリントン大統領の銅像が目抜き通りにあること! そう、彼の誤爆があってこそ、独立が出来たんだから。 

 日本はさっきも見たようにコソボ独立と同時に承認したが、その後、13年間、ウィーンの日本大使館が業務を代行した。ようやく首都のプリシュティナに大使館代理事務所を開設したのは2020年1月、コソボ在住の日本人は七名しかいない。
 
 悪名高かったのは独立を武装闘争で戦ったハシム・サキ前大統領だ。
 彼が解放戦争時代の武装セクトをまとめた指導者だったために虐殺、強姦、暗殺、誘拐、民族浄化の煽動者だった疑いがあるとし、2020年11月5日にハーグの国際裁判所は有罪を認めた。
サキは直ちに大統領を辞め、収監された。

ミロセビッチ、カラジッチというセルビアの嘗ての民族闘争の英雄とされた政治指導者が国際裁判所で有罪判決を受けたように、ようやくにして喧嘩両成敗となった。 

 このコソボがイスラエルのエルサレムに大使館を開設するという意味は、中東から南欧にかけての地政学に地殻変動がおこる予兆かも知れない。
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 政権中枢に近いアメリカの人脈と内部情報に通じているからこそ語れる
  バイデンのアメリカの「危険がいっぱい」な状況

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日高義樹『バイデン大混乱──日本の戦略は』(かや書房)
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 著者である日高氏の強みはアメリカに於ける太い人脈。それもワシントンの裏事情に詳しい人からの内部情報を得る立場にいることだろう。
 政権中枢に近いアメリカ人脈と内部情報を通してバイデンのアメリカの「危険がいっぱい」すぎる状況を本書ではぐいぐいと抉り出している。
日本のジャーナリストには珍しく日高氏は軍事方面に明るいことである。なにしろアメリカの戦艦、飛行機に何度も乗り込んだ経験から、国防の現場の軍事感覚も鋭い。すなわち国防に関しての指摘は適切であり、日本人が理解するべき事柄を多く含んでいる。
 過去五十年に亘って日高氏はアメリカ政治を見つけてきただけに『何の戦略もないバイデンは危ない存在であり、世界をおかしくさせる』と見通すのだ。
 そのうえ日本の管首相も問題である。
 首相たるや、「國際戦略と外交についてまったく疎く、これまで日本の安全を助けてきたアメリカの新大統領が、同様に、外交、軍事戦略について利害がなく、関心も薄い。この危機的な状況のなかで、いかにして日本の安全を図ることが」可能なのか。本書の随所で考え、提言している
 たとえば、こういう提言がある。
 「日本の管首相がバイデンの政治的立場を助けるために出来るのは、日本国内の中国寄りの政治勢力を切ることである。つまり二階俊博幹事長など中国寄りの政治家達を更迭引退させて、アメリカ寄りの姿勢をはっきりさせることである」(21p)
ズバリ一刀両断。
 安倍首相がトランプを巻き込んでつくりあげた日米軍事同盟が、バイデンでおかしくなりつつあり、新政権は「アメリカのことを考えるだけでよいという戦略のもとでアメリカの安全がたもたれるわけはないという状況を、バイデンは理解できない」。
この欠陥だらけのバイデン政権幹部と言えば、オバマのお友達ばかり、とりわけ危険なのはスーザン・ライスらだが、日高氏は新国防長官オースティン退役大将に大いなる問題があるという。
 「かれはアメリカの中東作戦の失敗の責任者であった」。
当時、トランプの命令に逆らって「中東のアメリカ軍引き上げを遅らせたのがアメリカ中央軍の幹部であることだ。このいわば頭目とも言えるオースティン大将をあたらしい国防長官にしたのでは、中東戦争の整理が進むはずがない」(36p)。
 「とりわけオースティン国防長官はオバマ大統領が二年で終わらせると豪語したアフガニスタン戦争で失敗を繰り返した」(198p)。
 経済についてはNYとカリフォルニアから、所得税のないテキサスなどへ人口移動がおきていることに注目し、住宅市場の激変はいずれ問題を引き起こし、現在のところ、ワクチンとEV効果で上昇を続けるウォール街の株価が暴落する危険性を警告している。ただし、中国のハッカー攻撃による市場崩落の危険性が高いとも指摘している。
 結論的に「豊かで金持ちであるアメリカが世界のことなどまったく関わりがないと主張し、自分たちの利益のためだけに動くと(バイデンは)言っているのである。そしてジョー・バイデンを選んだアメリカの人々はそういった、自分たちのことだけに関心」を持つ層である。
ということは、日本はもはや、「同盟国としてアメリカの庇護を受けることが出来ない。自らの手で護る以外に、安全を維持する方法はない」(225p)。 
こういう岐路に日本は立たされることになった。
コロナ禍は、もとより劣化していた日本同様に、アメリカにも政治の貧困という災禍を随伴してきた。ほどなく深刻な情勢を迎える。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)三島由紀夫研究会から「公開講座」のお知らせです。読売文学賞(評論部門)を受賞した『暴流(ぼる)の人・三島由紀夫』の著者でもあり白百合女子大学教授の井上隆史先生をお迎えします。

とき   2月26日 午後六時
ところ  アルカディア市ヶ谷(私学会館)
https://www.jalan.net/yad306257/access/?screenId=UWW3101&yadNo=306257&distCd=01&stayYear=&stayMonth=&stayDay=&dateUndecided=1&roomCount=1&roomCrack=000000
講師   井上隆史先生
演題   「暴流(ぼる)の人、三島由紀夫」(仮題)
(いのうえたかし氏プロフィル:1963年横浜市生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院博士課程中退。現在、白百合女子大学教授、山中湖文学の森 三島由紀夫文学館研究員。著書に『三島由紀夫 虚無の光と闇』(試論社)、『豊饒なる仮面 三島由紀夫』(新典社)、『決定版 三島由紀夫全集 第42巻 年譜・書誌』(共著、新潮社)などがある。

参加費   資料代として2000円(三島研究会会員は千円)
特記    マスク着用をお願いします。どなたでも予約なく御参加いただけます。
       (三島由紀夫研究会事務局)

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(読者の声2)来る2月25日、未来ネット(旧「林原チャンネル」)で「宮崎正弘の生インタビュー」。一時間番組があります。25日午後四時から。ゲストはアジアジャーナリストの近藤大介氏です。ご期待ください。
https://www.youtube.com/channel/UCrgpzZ0lkQ1vAnowJU5iThQ


(未来ネット)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月15日(月曜日)弐   通巻第6800号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「アメリカン・ドリーム」は、いまや「ナイトメア」に
  バイデンはカリフォルニア独立に拍車をかけた、とキングリッチ、久々の咆哮
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 「キャッチ&リリース」というのは、不法移民を逮捕しても、すぐに釈放。バイデンは不法移民を防ぐ壁の建設を取りやめ、トランプ時代の規制を事実上、緩和した。不法移民は国境を越えて、カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサスに、イタチごっこを繰り返しながら入り込む。左派は人権の観点から移民には賛成している。

 就中、カリフォルニア州へはメキシコからの不法移民が引きも切らず、トンネルを掘っての移送ルーともあって、チカノばかりか、中国人が大挙潜り込んでくる。
「このまま行けば、カリフォルニアはアメリカ人とは無縁の人々が暮らす『独立国家』になってしまう」と大声を上げたのはニュート・キングリッチ元下院議長だ。
「バイデンは移民政策を緩和したが、カリフォルニアをアメリカから分断するつもりなのか」。

 ペンタゴンに「バイデン政権誕生以後」の顕著な動きがある。
 バイデンは軍事戦略の見直しをチームを編成して検討を開始した。指揮を執るのは過去の軍事作戦をすべて失敗させたのに、しかも退役後七年という規則を無視して国防長官に就任したオースティンだ。

 ペンダゴンが主要敵と認識しているのは無論、中国だが、いまの米軍では単独で直截な対決は出来ないと踏んでいる。トランプ時代からの合意は、インド太平洋への軍事力シフトだが、オースティン国防長官は「全世界の米軍のプレゼンスを見直し、インド太平洋へのシフトを円滑化するために『同盟国』との協議を本格化させる」とした。
 日本、韓国、フィリピン、豪、ニュージーランドと米国は安保条約が存在するが、台湾とは台湾関係法しかなく、またASEANでもマレーシア、ベトナム、シンガポールとは条約の締結には至っていない。
 
インドとは軍事演習を繰り返しているものの、やはり条約化しているわけでもなく、こうした情勢下、英国とフランスが南シナ海へ空母を送り込み、またドイツが近くフリゲート艦を派遣する。

 バイデンは議会承認が不要な範囲のなかで、姑息に静かに、しかい百八十度の政策転換を、次から次へと大統領命令を発令している。
中国との通商面での交渉は、全面対決から中国有利の取引へ移行するだろう。ウォール街の動きを見ても、米国ファンドとの中国株投資は続き、また中国企業のウォール街上場も継続している。いまやどこにもトランプ政策の残り香しかないではないか。

 バイデンとなってからの露骨な変化は、トランプを支援したオラクルへの寒風である。
 TIKTOKは米国の子会社をオラクルへ売却することで合意が成立していた。バイデンは背後に手を回して、このディールを白紙に戻した。TIKTOKの言い分は「トランプは去った。ディール合意は、もはや存在理由がない」。
 シリコンバレーはGAFAの天下、その経営トップの九割近くが民主党支持。例外がオラクルのCEOエリソンだった。
 
 ところが他方で、GAFAを独禁法違反だと提訴しているのは、どちらかといえば民主党なのである。バイデン政権、奇妙な船出である。

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2198回】           
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港80)

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 では棺はどのような手続きと順路で故郷に「宅配」されるのか。オタク趣味が過ぎるかとは思うが、その順路を追ってみたいと思う。

そこで取り上げたいのが、北米で最も早い時期に組織化された代表的な相互扶助団体として知られるサンフランシスコの美洲金山致公総堂(CHEE KUNG TONG SUPREME CHINESE FREE MASON OF THE WORLD)から東華義荘の上部組織である東華三院宛に送られた書簡である。

 致公総堂とは、17世紀半ばの明から清への王朝交代期に清朝への抵抗運動を展開した明の遺臣・史可法の幕僚である洪英を始祖とする反清団体が源流とされる。名前の由来は一致団結を意味する「致力為公」といわれ、19世紀半ばに興った太平天国が滅亡した1864年以降、中国南部から多くが海外に新たな生活空間を求めて移動したことに伴って、その活動拠点を海外に移していた。

 華僑とは喰いはぐれた労働者(華工)が生きる道を求めて裸一貫で異土に渡る「現象」だが、その結果、彼らの生き方をも海外に伝播させてしまうことを忘れるべきではない。
1863年前後のサンフランシスコでのアメリカ洪門致公堂組織化を機に、アメリカ各地に分堂(=支部)が結成され、以後、在米華僑の相互扶助・慈善活動を続けてきた。

 洪門致公堂は19世紀末から20世紀初頭にかけ孫文の革命運動に協力し、1902年にはサンフランシスコで『大同日報』を発行する一方、1925年に華僑のための政党として中国致公党を結党している。

 中華人民共和国の建国を定めた1949年9月の全国人民政治協商会議第1回全体会議には、中国国民党革命委員会、中国民主同盟、中国民主建国会などと共に8政党からなる民主諸党派の一派として参加した。
だが、建国後は独裁政権下であればこそ独自の政治活動ができるわけもなく、主に帰僑(帰国華僑)や僑眷(華僑の親族)の支援に当たっていた。

 在外中国系(華僑や華人)を「欧米帝国主義勢力の手先」「堕落した文化の担い手」「中国人民の敵」と蛇蝎のように罵っていた文革中は活動停止状態を余儀なくされていたが、?小平が掲げた開放政策と共に息を吹き返し、現在は「中国統一・台湾の祖国復帰」を活動の柱に掲げる。国外に目を転ずると、ハワイなどの分堂では旧来型の互助・慈善活動が続けられていると伝えられる。

 そこで「(民国)十二年」、つまり1923年12月21日の日付のある書簡を見ておくと、
──致公総堂会員の黄鳳華博士なる人物が死亡したので、その遺骸を12月29日にサンフランシスコから出航する太平洋公司所属の「林肯市総統輪船(プレジデント・リンカーン号)」に委託し、「運回祖国帰葬黄土、以正首丘(祖国に運び返し、埋葬して黄土に戻し、望郷の念を遂げさせたい)」。
ついては、当該船舶が香港に到着した際には棺を受け取り、併せて「伊家属(その遺族)」と連絡を取り、「搬運博士霊?回原籍安葬(博士の棺を運搬し故郷に戻し葬る)」ことを願いたい。

 博士の原籍は肇慶四会で、弟の黄京は広州市南濠街某番地に居住している。500香港ドルを同封するので、博士の親属である黄京先生に葬儀費用とすべく渡してもらいたい──

 この書簡に対し、医院側は翌年6月1日付けで美洲金山致公総堂に対し、概略次のような返信を送っている。
 ──昨年12月に「貴堂」がプレジデント・リンカーン号で託送された「黄鳳華霊柩一具、並葬費港銀五百大元」は確かに受領した。
「黄鳳華霊柩」は「本港」の永生源号の手で故郷に送り葬ると共に500元は黄京に渡しました。ここに領収書を送付し報告致します──

 東華義荘を仲立ちに、じつに事務的・機能的に棺は「宅配」されていたわけだ。

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)トランプ弾劾は失敗しましたが、一体全体、何のための弾劾裁判だったのか。最初から無理筋でしょ。
やっぱり極左のトランプの再帰凍結の陰謀だったのでは?
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)民主党の戦術としては三つに分裂している党内を、これでまとめ、バイデンのイメージを高めることです。得をしたのはバイデンでしょう。極左は、バイデンを途中で降ろし、ハリス副大統領を昇格させようとしているわけで、この野望が当面、遠のいた。
 さらに民主党の狙いは、トランプは再帰できないように永久に「悪」に印象を与えたことで、それが弾劾裁判の演出です。彼らはトランプを追い詰めて独立政党を結成し、共和党に鮮明な亀裂を与えることに、むしろ期待しているのです。
 さらに弾劾問題は、共和党に分裂状態をうみました。
上院で共和党議員の七名が裏切ったわけですから、今後の共和党は深刻な党内主導権争いが、激化することになる。
 次の関心事は2024年大統領選、共和党の候補者選びで、はやくも駆け引きが始まっています
 第一はトランプを熱狂的に支持する人々がいて、最大の勢力です。この熱風のようなトランプ人気が維持でき、そのうえで2020の中間選挙で、共和党が上下両院で多数派を形成できれば、トランプ再選の芽は断然、濃くなります。
 第二はペンスです。ペンスはインディアナの自宅で2024年キャンペーンの策を練りますが、2月早々にヘリティジ財団客員顧問に就任しました。保守本流最大最強のシンクタンクですから、この意味は全米の保守を糾合できる組織を掴んだということですね。
 もちろん、トランプが出てくれば、ペンスは副大統領としての再度役割を担う可能性もあります。
 第三はウォール街と穏健派は誰を推すか。おそらくマルコ・ルビオでしょうね。2016年にウォール街が推薦したケーシックは「過去の人」になりました。
 第四に強行保守派はテッド・クルーズをまた担ぎそうですが、ペンスがヘリティジ財団でポストを得たとなると、クルーズの出番はないでしょう。
 第五がダークホウス。小誌で前にも指摘しておりますが、ニッキー・ヘイリー前国連大使(ノウスカロライナ元知事)ですね。
 彼女はトランプ陣営にいながら状況を見極め、土壇場でトランプ弾劾支持に廻りました。トランプ支持派は猛烈な怒りをヘイリーにぶつけていますが、共和党内の穏健派、ウォール街が支持に傾く機会を彼女自ら演出したのであり、この線で党内反主流派をまとめ、2024年を狙うという、まさに「タイトロープ」に乗り出しました。
 しかし、現時点での予測は、時間の経過とともに変色、窯変していきますから、政治の世界は一寸先が闇。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月15日(月曜日)   通巻第6799号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国企業は輸出に頼りすぎ、ソ連とだんだん似てきた
先進諸国の経済の後追いが終り、トップとなると、改革をする文化がない。
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 次世代自動車がEV(電気自動車)になるというのは一種信仰に近い未来図だが、テスラは中国に大工場を建てて、いまや年間50万台の販売を記録し、もっとも冷淡だったGMが全車種を2030年までにEVとすると宣言したことにより、従来の計画が、よりリアリスティックになってきた。

 中国主導で世界の産業が変貌するという未来図は本当なのか?
 EVへ託した自動車業界、関連部品、半導体業界は、それが正夢なのか悪夢なのかの判定も出来ないままに突き進んでいる。EVは部品数を減らすメリットがあるといい、また先走って100万円台の廉価版も登場した。
 だが、誰も言わないではないか。充電設備の不足、継続走行距離の短さというデメリットはさんざん指摘されてきたが、電力が二倍になるという裏側の恐怖に関して。

 エマニエル・トッドは『日経ビジネス』(2021年1月25日号)のインタビューに答える中で、国家観や宗教的団結が弛緩しグローバリズムが全盛をむかえたと分析しながらも、あきらかにグローバリズムが行きすぎており、社会が崩れ始めている。もう少し協力し合う保護主義が必要ではないかとした。

 つまり夢や理想が欠かせないのに、グローバリズムもEU統合も社会主義も『夢』だったのだが、すべてが崩れた。

 現在の夢とはエコロジー方面にあって、「地球に優しい経済は温暖化のような恐怖が裏に隠れている。裏を返せば悪夢ではないのか」と問題を提議した。
 ただしエマニエル・トッドは、中国へ例外として次のように発言している箇所に注目した。
 「保護主義の恩恵を最も受ける国は中国です。中国は輸出に偏って成長を遂げている。しかし国内の需要が下がり、経済的に停滞している国だということがだんだん見えてきました。中国企業は輸出に頼りすぎて停滞している(中略)。中国はソ連と似たようなところがあり、全体主義的な傾向を持ち西洋や先進諸国の経済の後追いをしています。後追いが終わって一番になったときに、刷新とか改革をするような文化がない。そうすると結局そこで崩壊してしまうと言える」。
 自壊作用を同時進行させている中国が主導するEVって怖ろしくないか。

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 トランプ弾劾、上院投票で賛成した共和党上院議員七名
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Susan Collins (Maine) 共和党内左派、ロックフェラー・リパブリカン。LGBT賛成、現在五期目のベテランだが、党内の異端。オバマ時代の二回、裏切り投票。ローマカソリック信徒。
Lisa Murkowski (Alaska) 反日家として知られた州知事の娘で、引退時に指名された幸運。選挙はいつも辛勝で、ローマカソリック信徒だが、共和党でつねにスイング投票をする。
Mitt Romney (Utah) 。オバマ二期目に共和党大統領候補。トランプを見下し性癖が強いモルモン教徒。すべての動機はトランプ憎し、にある。
Ben Sasse (Neb.) 二期目も圧勝。リベラル思想の教授、学長など経験。トランプには最初から反感を持ちつづけ、共和党の調和には非協力的。
 以上四人は弾劾賛成にまわることが予想されていたが、土壇場で下記三名が裏切った。

Richard Burr (N.C.)下院議員上がり、上院三期目。トランプ陣営から突如転向組へ。コミーFBI長官の馘首に反対。最初の弾劾裁判ではトランプ側に立った。上院情報委員会委員長の要職にあった。
Bill Cassidy (La.) 医者あがりで、現在二期目。ヂュカキス選挙を手伝ったりの経験があり、政治的鉄則は発見しにくい。
Patrick J. Toomey (Pa.) 二期目。気象変動に疑問。京都議定書に反対。LGBTに反対。実業家でデリバティブ取引の専門。市場開放の推進者。ペンシルベニア選挙区事情からか、来年の参戦狙いのため突如転向したのか。 
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号の投稿欄にあった「鬼滅の刃」の感想(KU生、杉並)ですが、指摘を受けて、老生も書店に行き、『正論』三月号を買い求めました。宮崎さんの「『鬼滅の刃』にみるナショナリズムの復権」を読むためです。
 鬼退治といえば、桃太郎、金太郎が日本の原典という切り口も、じっさいに風景描写もあって引き込まれました。
 なるほど、鬼退治に焦点を合わせた活劇のなかに神話が隠し味となって、このブームはまさしく日本の伝統回帰につながるという宮崎さんの、誰も思いつかなかった視点、目から鱗が落ちる思いでした。
   (FH生、福岡)

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(読者の声2)「故新井将敬23回忌」のこと。
 1998年2月19日に自裁した新井の葬儀は本日と同じく池上本門寺にて、2月24日しめやかに行われた。僕は当時会社を昼間抜け出し葬儀に駆けつけた。
 当時渡辺美智雄に取り入った新井がその後、党を割って、その後、自民党に戻ろうとした時ミッチーの逆鱗にふれたが、そこで優しく新井を遇したのが亀井静香だ!
葬儀のときの思い出を亀井氏は語った。弔辞で私は祈りながら歌を捧げてやったんだけれども。『敷島の 大和心を 人問わば 朝日に匂う 山桜花』(本居宣長が詠んだ和歌)ってありますね。
 彼はまさに日本人になって、日本人としての生き様を求めたんでね。皆さん方ご承知のように、日本の侍は主君から辱めを受けた場合、その主君に抵抗するというんじゃなくて、自ら命を絶つということでね、主君に抗議したんだね。
日本の侍の処し方というのは。彼もそうした辱めを受けて、それに対して司法に対して抵抗していくという日本の侍の作法に則って自ら命を絶つ道を選んだ。私は弔辞の中でその話をしたわけです。
 (その2)
ウイルスもあり少人数精鋭の23回忌だった。日蓮宗の池上本門寺。故新井将敬氏をいまでも尊敬する気持ちをもった現役や元代議士たち参議院議員たち、生臭い利害など何もない故人の思い出を大切に来てくれる連中は本当に尊い。
誰が来たか? いまウイルス騒ぎもあり、外出が自粛されている中で、名前をあげると迷惑がかかるので控えさしてもらう。足元も心配な亀井静香氏だが、ショートスピーチのはずがなんと延々20分。しばらく声がでない、沈黙。
そしてボソボソと当時の経緯をはなされる。雄弁でもない綺麗事でもない真心あふれるスピーチの感動力はすごい。ぼくの目からはとどめなく涙がやまない。亀井氏の感性の素晴らしさ。訥々と語るなかの思いやりや愛。なんとも言えない人間の暖かさ人情にしびれた。
因みに彼とは東大経済学部、根岸ゼミで同期でした。
  (奥山篤信)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和三年(2021)2月14日(日曜日)
通巻第6798号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~バイデン、不法移民にも寛大な措置へ舵取り
  メキシコ国境に2万5000人が列を作り始めた
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 バイデン大統領は就任以来、つぎつぎとトランプ時代の政策を変更する大統領命令に署名しているが、不法移民の大量流入を防御するためだったメキシコとの国境における「壁」の建設もやめる。
 具体的にはトランプが実施した国防予算を転用してのメキシコ国境の壁建設だったが、「納税者のカネをこのような方向には遣わない」とするもの。

 すでにメキシコ国境には2・5万人のメキシコ人が国境検問所に待機し始め、大統領令が有効となる2月19日を前に列を作り始めている。
 またテキサス州では、国境警備隊が、トランプ時代とは異なって不法移民を発見しても逮捕せず、その場で送り返している。
そのイタチごっこに疲れ、警備が緩むとどっと不法移民はテキサス州へ流れ込む。これはオバマ時代の繰り返された現象である。

 このままではニューメキシコ州からアリゾナ、カリフフォルニア州にかけて、またまた移民の摘発にまわせる警備隊不足に陥るだろう。

 アメリカにはすでに1100万人の不法移民がいるが、このうち800万人が就労している。安い賃金のため、不景気になるとまっさきに不法移民の批判の矛先が行くが、景気がよいときは不法移民を安く雇えるので、じつは歓迎なのである。

しかし慎重論、反対論も渦巻くのがアメリカで、「治安が悪化するばかりか、移民コミュニティの安全も脅かされるだろう。コロナが蔓延しているときに国境の警備を弛緩させるとは狂っている」とする意見も多い。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)発売中の『正論』今月号で貴論「『鬼滅の刃』にみるナショナリズムの復権」を拝読し、おくればせながら映画「鬼滅の刃」を鑑賞しました。
 映画の主役の煉獄杏寿郎と竈門炭治郎の生きざまに胸を打たれ隣席の大学生3人組の2人はしきりにメガネを上げ、目がしらをハンカチで押さえていました。映画館には「人は死者のために生きる」ないし「人は死者とともに生きる」ということの素晴らしさを実感して感動することに飢えた若者の男女の観客が目につきました。
 彼らは、GHQ憲法(日本国憲法のこと)と戦後教育により人権の大切さ、個人の尊厳の重要さをねじ込まれ、家族のつながりや国家の存在が希薄になるように仕向けられ、コロナ禍でもある現況の中で孤立し閉塞感を抱いているように見受けられます。
 大学で、社会に出て「自己実現」「生きたいように生きる」ことを模索し追求するよう仕向けられ、「お金」と「命」以上の尊い価値を見出し得ないときに「鬼滅の刃」に出会ったのでしょう。

 「鬼滅の刃」の超ビッグヒットは、保守の物書きが、「権威」になり得ていない保守思想陣営へのこれら学生や一般庶民からの警鐘ないし叱咤激励にも感じます。
戦後70余年、とりわけ平成以降、皇室を筆頭に伝統ある「権威」は弱められ、同時に殆ど多くの「権威層」が左翼リベラル思想の持主の側に移行しています。
東京大学を頂点とする学界の「権威」、文化勲章、数多の文学賞・芸術分野の賞という国家や出版文化芸術活動団体等が付与する「権威付け」から保守思想の持主は外され続けています。

よって学生が、学業期間に接する学界、芸術界、スポーツ界等における「権威層」(教授・指導者)の保守思想の持主は、ほぼ絶滅状態です。
ときは今、コロナ禍のオリンピック開会正式決定直前のタイミングで、内外ほぼ全メディアによる集団リンチの猛攻がありました。
一旦擁護したIOCも裏切り、スポーツ界では保守思想の持主の重鎮といわれている森喜朗氏が東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長のポストを追われました。政官財学のいずれの「権威層」からも森氏を擁護する声がないことから本音で意見交換をしない大人の世界の居心地の悪さを学生は見て感じ取っています。

 これからの日本国を支える学生のために「鬼滅の刃」の下に流れる日本人本来の生き方や思想の伝承教育と同時に、平成時代に完成した「鬼」( 左翼リベラル思想の持主)の再生産システムに退散いただくことが必須です。
保守陣営はこれに代わる保守思想持主の再生産システムを構築し保守における「権威層」の再興のために、これら「鬼」の戦略の全貌を掴み英知を絞り弱点をみつけ戦略的・戦闘的な取り組みが求められます。
そのような切迫した時代にいることを学生を通じて感じます。
 映画館から出て、渋谷の若い男女が往来する雑踏の中で「日本はなくなって、その代はりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の・・・」とつぶやいている三島さんの声が冬晴れの天上から聴こえたような気がしました。
   (杉並 KU生)


(宮崎正弘のコメント)「鬼はコロナと中国共産党だ」と拙論では書きましたが、そうですね。似非インテリと権威の虚妄に道を間違える現下日本のシステムも、鬼といえば、鬼ですね。

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(読者の声2)尖鋭な左翼と思われていたカラマ・ハリス副大統領は、トランプの弾劾裁判の委員長を、上院議長でありながら辞退した。副大統領になったので、全体を見る姿勢ができたのだろう。
 どうせ、トランプを弾劾することができないことが分かっているからでもあろう。
 レーガン大統領は、空港業界の指示を受けて当選したが、大統領になると、彼らを押さえた。それゆえにか、暗殺未遂事件が起きた。
 4年という絶対的な任期を保証されているから、最初は嫌われる政策をどんどんやるのであろう。
カラマ・ハリスも、どうせバイデンは4年もたないと分かっているから、将来を見すえているのだろう。宮崎先生が、バイデンが政権をとればアメリカは滅びると警告を発しているので、新政権は今後、慎重な政権運営をする姿が垣間見えます。
  (斎藤周吾)

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(読者の声3)日本文化チャンネル桜からお知らせです。
 明日(15日、月曜)。午前1030からの「フロントJAPAN」はホスト=鈴木くに子、前田有一両氏に、ゲスト宮崎正弘さんを迎えての番組です。生番組となります。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月13日(土曜日)弐   通巻第6797号 
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 バイデン、中国の軍直結企業への投資禁止をこっそり延長した
  米国ファンドの中国株投資は1兆2000億ドルに膨張しているゾ!
**************************************ウォール街から中国企業の上場を排除するのがトランプ前政権の基本的な方向だった。
最初からいかさま臭かったラッキン珈琲など数社は、売り上げの不正申告、情報の虚偽などにより上場が廃止された。
ところが2020年、中国企業はウォール街に上場しつづけ、190億ドルを調達していた。一方で、中国の有名企業のドル建て社債が連続的にデフォルトしている状況なのに、このような裏腹の実情は何故発生するのか。

 トランプ前大統領は、2020年11月に、中国軍直営もしくは関係の深い中国企業(チャイナ・ユ二コム、同テレコム、同モバイル等)をペンタゴンのブラックリストを基準に、投資を禁止する大統領命令を出した。
 またTIKTOKの米国法人を売却せよ、とした。TIKTOKは米国のロビィストを駆使して、売却先として名乗りを上げたオラクルなどと交渉を延期しつつ、時間を稼いだ。お陰で、バイデン政権は、この売却話を元に戻した。

 さらに驚くべし。バイデン大統領は、姑息にも米国ファンドの中国軍系企業への投資禁止を、2021年5月27日まで先送りするという大統領命令に署名したのだ。
ウォール街が、トランプを見限り、民主党に秋波を送り続け、献金を続けてきた結果とも言えるだろう。

 2021年2月5日、鳴り物入りだった「快手(クアイショー)」が香港証券市場に上場し、54億ドル(予測は63億ドル)をかき集めたが、投資した機関投資家のなかに、ブラックロック、フィデリティなど米国の巨大投資信託運用ファンドがあった。

 TIKTOKは中国バイトダンス系であり、時価総額147兆円、ソフトバンクも株主である。このTIKTOKに対抗した新興の動画配信アプリの「快手」が、54億ドルを香港上場で稼ぎ集めた。株主がテンセント。時価総額は167兆円。
 こういうチャンスを活用する米国の機関投資家は、資本主義の強欲な論理に沿って投資するのだ。

このことが象徴するように米国機関投資家の中国株投資は、禁止ムードの政治的動きとは乖離して膨張しているのである。2020年末で、米国の中国株投資は、じつに1兆1000億ドルに達しているという(英紙フィナンシャルタイムズ、2月4日)。公式統計では2500億ドル程度だが、実際はタックスヘブンのケイマン諸島を経由して行われるからだ。


 ▲巨費を投じて開発したハイテクも、中国のスパイが盗み出した

 金融ばかりではない。
 ハイテク技術が中国へ流出する事態は西側に共通するが、米国は防諜のインテリジェンスが強靱なネットワークを誇り、中国人スパイ多数を逮捕・起訴し、各地のスパイセンターだった「孔子学院」を閉鎖し、さらにヒューストンの中国領事館を閉鎖した。それでもシリコンバレーや大学教授、研究員らが中国の「千人計画」に騙され、夥しい頭脳が中国へ流れた。

 日本はスパイ防止法がないので、人間の良心、それまで所属した企業への忠誠心に頼るしかない。電池、化学、半導体などで多くの日本人が厚遇条件に惹かれて中国へ渡った。高給で、しかも研究費は使い放題となると、自らの売国的行為に反省の色がまるでないのも、日本人エンジニアに共通する。
国家安全保障という概念が思考範囲から消えているからだ。

 半導体輸出禁止を前に台湾のTSMC、ペガトロン(スマホ生産第二位)、メディアテック(半導体大手)などは大量の半導体を中国のファーウェイ、小米、オッポなどに供給した。

そのうえで、規制が強まると、中国工場の部門売却を始めたのだ。
 ペガトロンは子会社を中国企業に売却、ウィストロン(スマホ第三位)は、出資してきた工場を中国のラックスシェアに売却、キャッチャーという部品会社も右へ倣え。

 台湾はTSMCから3000人のエンジニアが中国SMICへ移籍した。次世代半導体開発のエンジニアが多く含まれている。台湾のビジネスマンはじつに80万人が中国にあって、日々、開発に余念がなく、かれらにとっても中国軍が台湾侵略を辞せずと公言しているにも拘わらず、国家安全保障感覚は乏しく、目先のカネが目的である。

 韓国も例外ではなかった。
 日本勢がいまや束になっても叶わない巨人と化けたサムソンは、売り上げの38%がスマホ、28%が半導体、18%が家電、そして12%がディスプレーである。時価総額は世界第十二位。これはパナソニック、SONY、三菱電機、日立、東芝などを合計したそれおりも多いのだ。

韓国国家情報院が摘発したハイテク流失は123件、大半が中国へ流れていた事実が判明している。(2014年から2019年まで五年間だけの統計で中国へ渡った技術は80件に及ぶ)。

韓国にはスパイ防止法があり、最近も「有機ELパネル」(液晶にかわる次世代)の技術を中国に売り渡そうとしていたサムソンの研究員らが逮捕された。
 SMICには62人の韓国人が在籍しており、中国の大手「京東方科技集団」には120人の韓国人が在籍していることも判明している。
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2197回】        
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港79)

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 ここで「死体のホテル」であり、「棺の宅配ビジネス」のトランジット・センターでもあった東華義荘について、もう少し突っ込んで考えてみたい。
それというのも、東華義荘という「摩訶不思議な空間」に日本人にとって理解不能に近い中国文化──中国人の《生き方》《生きる形》《生きる姿》──の一端を垣間見ることが出来るだろうからだ。
 
 幕末の僧・釈月性の志を書き留めた「男児立志出郷関、学若無成不復還、埋骨何期墳墓地、人間到処有青山」からは、世の中は何処であっても青山(墳墓の地)であるという決意が浮かび上がってくるが、どうやら中国人にとっては「人間到処有青山」ではないらしい。
彼らは飽くまでに故郷にこだわる。やはり故郷の土に戻りたいのだろう。以下は主に『東華三院档案資料彙編系列之三 東華義荘与寰球慈善網絡 档案文献資料的印証与啓示』(葉漢明編著 三聯書店(香港) 2009年)を参照した。

 清末から民国初期にかけて歴史家、政治運動家、政論家、政治家として華々しい動きを見せる一方、近代中国を代表するジャーナリストでもあった梁啓超が著した『新大陸遊記』は、当時の中国人にとっての憧れの国であったアメリカに対する文明批評を展開している。その中でアメリカ西海岸に生きる華僑が遺骨を故郷に運んで埋葬することを、「愚」と決め付けている。

 「(華僑団体が)甚だ奇妙な点は、その目的が極めて単純であり、異郷に客死した者の骨を運搬することだけということだ。葬祭の礼というものは、元来がわが国
では宗教的習慣から殊に重んじられている。異土に命を落としながらも首丘(ふるさと)を仰望することはまた愛国の情といえよう。だが愚が過ぎる。骨を故郷に送り帰すために、時には数百金を必要とする。だから、この種の団体は日頃から多くの蓄えを持つ。少ない場合は数万金。多い場合は番禺の昌後堂のように30数万金を抱えている。その資金の多くは華僑が帰郷する際に会館が徴収する出口料(手続き料金)でまかなわれることになる。それだけの資金があれば学校はいうにおよばず、大学だって開校できるではないか」。

 梁啓超にいくら「愚」と嘲笑され罵倒されようが、「首丘」に葬られ、故郷の土になることを望むのだから致し方がない。

 このような事情を背景に生まれたのが東華義荘だった。じつは東華義荘の前身は1875年に香港島西環の牛房付近に建設された牛房義荘で、本来は香港で死んだ者が「入土為安」するための棺の一時保管場所だった。だが、海外で死んだ者の「入土為安」を果たすため棺や遺骨が運ばれ、ここで国内航路に積み替える必要から一時保管をする必要が生じてきた。
そこで牛房義荘が兼用されるようになったわけだ。

 1842年の南京条約によって英国の植民地になった結果、貿易、海運、情報、文化などの面で中国と世界を結ぶこととなった香港は、「四海為家」を果たし「入土為安」を実現させる中継点でもあった、ということになる。香港を経て海外へ、香港を経て故郷に、である。

ところで牛房義荘設立以前の1855年5月、早くもアメリカ西海岸から香港に棺が運ばれている。
アメリカ貨物船のサニー・サウス号が200袋のジャガイモと共に「九十四箱死去的中国人」を載せていた。正確なところは不明だが、おそらく棺が94個。その中には1848年にアメリカ西海岸で起こったゴールド・ラッシュに引き寄せられるようにしてアメリカに渡った労働者の亡骸が収められていただろう。

 そのような労働者もまた、各地で相互扶助団体を組織する。そのうちの1つで1853年にサンフランシスコで組織された美国陽和会館の規定には、「労働が出来なくなった傷病者と肉親のいない困窮者は、会館が帰国資金を援助する」「死亡した困窮者には、会館が棺を用意する」と記されている。
その棺は船積みされ、やがて東華義荘にたどり着く。

(宮崎正弘のコメント)「首丘」。この言葉で思い出したのです。西郷隆盛が西南戦争の敗色濃くなり、延岡から可愛岳を越えて、けものみちを辿りながらも、なぜ城山に帰ること、故郷で死ぬことをあれだけ望んだのか。平泉澄は、西?論を書いて、その題名が「首丘の人」でしたね。

    
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(読者の声1)宮崎さんの『こう読み直せ! 日本の歴史』(ワック)を少しづつ読んでいます。あまりにも歴史のパースペクティブが広いので、ほかの本で語源とか、事件の由来とかも調べたりに時間が取られ(それも楽しみなのですが)、なかなか読書が進みませんでした。
さて在所は近江神社に近く、天智天皇と明智光秀の項目は、特段の興味で拝読。なにしろ貴著は目から鱗が落ちることばかりですが、蘇我馬子の墓が石舞台であり、この巨石信仰、その運搬はイースター島のモアイとの類推で語られ、世界史との比較にもなり新鮮でした。
われわれの世代では「大化の改新」と習った中大兄皇子による蘇我入鹿暗殺を、近年は「乙巳の変」と呼び変えていることも初めて知りました。
 ところで飛鳥にはその暗殺され、悪人扱いされた蘇我入鹿の墓があるそうですが、貴書では触れておられないので、質問です。なぜ悪人の墓があるのでしょうか?
   (YJ生、滋賀県)


(宮崎正弘のコメント)悪人と決めつけたのは『日本書紀』です。『古事記』はその前、推古天皇で終わっていますので、評価無しですね。
 基本的には蘇我宗家は衰退しても、石川に改名した蘇我氏は平安時代にも生き残り、権力中枢に居続けました。
 蘇我入鹿の墓と言われる石塚は、甘樫丘を望む平地にぽつんと建っています。後世の蘇我系一門が建立したものと推察されます。
じつは本居宣長がこの墓地を明和九年(1772)に訪問し、旅日記を残しているのです。いわく。

「此の寺(安居院)のあたりの田のあぜに、入鹿が塚とて、五輪なる石、なからはうづもれてたてり、されとさばかりふるき物とはみえず」(『管笠日記』)

 つまり新しい塚で、はるか後世に追悼が行われた記念だろうと推定できます。
また蘇我氏が渡来人だとする怪しい俗説を否定して、葛城集団の上層部が独立したものとした倉本一宏『蘇我氏ーー古代豪族の興亡』(中公新書)に拠りますと、
 「蘇我氏は、文字を読み書きする技術、鉄の生産技術、大規模灌漑水路工事の技術、乾田、須惠器、錦、馬の飼育の技術など大陸の新しい文化と技術を伝えた渡来人の集団を支配下に置いて組織し、倭王権の実務を管掌することによって、政治を主導することになった」ということのようですね。

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(読者の声2)最近、軍用機の動きを見るのが面白い。米軍の大型輸送機がインドのバンガロール近郊の基地に展開していましたが理由が判明。インドで2年に一度おこなわれる軍事展示会「Aero India (アエロ・インディア)2021」参加のためだったようです。同展示会にはB-1Bランサー爆撃機も参加、米軍爆撃機がインドに着陸したのはインド独立以来はじめてとのこと。
https://flyteam.jp/news/article/130943

 インド周辺では今週になり英軍の大型輸送機がバングラデシュのダッカに、またインドネシア南方をオーストラリア方面に向かっていました。沖縄からは米軍のE-8早期警戒管制機がバシー海峡を抜けるや中国沿岸を南下、海南島手前で折返す動き。アメリカ本土ではU-2偵察機が高度6万フィートでカリフォルニア州上空を旋回。
 アメリカでは軍部がバイデン政権と対立しているとの見方もありバイデン大統領に不都合な動画がアップされても全く消されていない。一つは1月22日のホワイトハウス公式動画にハンターバイデン氏が司法取引に応じた音声が混入?というもの。動画の1時間15分過ぎからいきなり始まるバイデン氏の演説中1:16:37から急に別人の音声が混入します。
https://enbako.com/biden_arrest/
 もう一つはバイデン大統領が就任後はじめて選挙区に戻ったときのこと、空港に到着したクルマが大統領警護車のシボレー、しかも薄汚れている。つぎに搭乗機が大統領専用機ではない疑惑。
大統領専用機は通常B-747(VCー25)で登録番号は82-8000、92-9000(尾翼には下5桁)、大統領機の予備機や副大統領機としてはB-757(VC-32)でトランプ大統領来日時の予備機もペンス副大統領来日時もどちらも4機あるVC-32のうちの99-0004という番号でした。
バイデンの選挙区の空港はエアラインの就航もないローカル空港でB-757(C-32)という小型機なのは仕方がない。
ところがバイデンが乗ったのは09-0017と単なる空軍機だった。
しかもエアフォースワンのコールサインもなかったらしい。
お笑いなのがバイデンの前方タラップには赤絨毯もなく途中で足を滑らせているのに後方タラップにはしっかり赤絨毯。フェイクプレジデントを見世物にしているようにしか思えませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=jBLsTSHvdaE&feature=youtu.be
   (PB生、千葉)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月13日(土曜日) 通巻第6796号 <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~えっ、国民党が「ジミー・ライにノーベル平和賞を!」と呼びかけ
  暴れん坊の趙少康、国民党主席に挑戦がてら唐突に提案
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 香港民主化運動のイコン、黎智英(ジミー・ライ=リンゴ日報の創刊者)は香港警察に拘束されたままの状態が続いている。日本を除く西側世界からは釈放の要求が出ている。
真っ正面から習近平の独裁と暴力政治に言論の戦いを挑み、共産党を敵に廻しての獅子奮迅ぶりは、多くの人々を勇気づけた。

 バイデン大統領は、2月11日にようやく習近平と電話会談を行い、南シナ海、香港、そしてウィグル問題に「強い懸念」を表明した。具体的にジミーの名を出さなかったが、香港の民主政治の破壊を憂慮したことを示唆した。
ポンペオ前国務長官がウィグルにおける少数民族弾圧を「ジェノサイド」と非難し、ブリンケン新国務長官も、この路線を継続するとしている。

 さて台湾のことである。
 趙少康という前立法委員がいる。国民党にあって馬英九らとも一時徒党を組んだが、中華思想の持ち主のため、党を割って「新党」を結成し、中華統一を鮮明にしなくなった国民党を飛び出したこともあった。
台北選挙区から立法委員に立候補したときは空前の24万票をあつめ、一期務めたが、94年の台北市長選挙で陳水篇に敗れ、その後は「政治コメンティター」として、ラジオ、テレビで活躍していた。

 70歳になって、何かに目ざめたのか、突如、次期国民党主席に立候補を表明し、国民党首脳を慌てさせた。国民党は2020年1月の総統選挙で大敗を喫し、呉敦義主席は引責辞任し、改革派の江啓臣と代わったばかりだった。対立候補は国民党守旧派のサラブレット赫龍武だった。江 68% vs 赫 32%だった。守旧派の惨敗だった。

 しかも江執行部は中台合意を重視せず、台湾として国連復帰を求めるとする独立色を滲ませた路線に転換した。
 守旧派の二世が中心だった「新党」は消えてなくなり、嘗て国民党秘書長だった有力者の宋楚諭が率いた「親民党」も議席を失い、かわって台湾政界には若者たちの「時代力量」などが勢力を増やしてきた。
こうした時代の変化は国民党の存在理由も変化に追い込んだ。


 ▲中華思想を鼓吹してきた政治家が?

 趙少康はパフォーマンスとして政治演出を狙ったのだろう。
 次期国民党主席に立候補すると言いだしつつ、ノーベル平和賞にジミー・ライと、香港民主党創設者の李柱銘は受賞資格が十分にあり、また中国の平和に対する誠意をしめす意味でも、この二人にノーベル賞を付与する運動を始めるなどとした。

 趙少康は台湾言論界にあっても、目立つだけで孤立しており、その彼が先にノーベル賞に民主活動家をなど言い始めたことは、一見して中国共産党への挑戦ともうけとられるのだが、背後に何か企みがあってのこと、本心からの訴えとは考えにくいのも、過去の言動から判断できる。

     
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)本マガジン読者には上野千鶴子女史の論を嫌悪する方が多いように思われます。既に述べましたように、小生も雑誌などでその発言などを散見するだけで、これまで上野女史の著作を購入して、系統的に読んだことはありません。
 しかし現在、雑誌『小説幻冬』で、鈴木涼美という1983年生まれの若手作家との往復書簡として連載されている「限界からはじまる」という論を、きわめて興味深く読んでいますし、「読者の声」でコピー表示されている、新聞のインタビュー記事における移民政策論も、同意できる論だと思います。 
 このインタビュー記事は、「平等に貧しくなろう」と題されていますが、その結論を導く前提として述べられている、移民政策は「客観的には無理、主観的にはやめたほうがいいと思っています。・・・・主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大きすぎる。・・・日本人は多文化共生に耐えられないでしょう」という主張には、小生はまったく同感です。
 最終部で述べられている「国のかたち」論には、小生は賛成できませんが、(移民政策をとるぐらいなら)「日本は、人口減少と衰退を引き受けるべきです」という主張には同意します。
 前にも述べたと思いますが、欧州の先進例を検討すれば、日本人、日本社会が、多文化、
多民族社会に適合して、共生社会を形成していこうなどというのは、まったくの思い違いだと小生は考えています。
 無原則的な移民導入によって、日本社会が大きな混乱に巻き込まれるぐらいなら、まだしも「人口減少と衰退を引き受ける」方が、「次善の策」だと考えます。
 ところで前掲「限界からはじまる」という論には、男女の関係などについて、大いに共感できる論が述べられています。

 女性が、さらに社会的地位を向上させ、その結果、経済的自立、社会的自立を達成してくれば、これまで、権利主張において、男性に対して常に攻撃側に立ち、被害者側となりがちであった女性(女性の顔は請求書、ということばがあります)も、攻守対等(?)となってくるべきでしょう。
 私などは、「職場の女性、女房の友人、友人の女房」とは、深い関係になってはならない、という戒律(?)にしばられてきました。
 後二者はともかく、「職場の女性」など、もうタブーではあり得なくなってきているのでしょう。 個人的事情ながら(笑)、小心な小生など、この戒律を守って、「野暮天」だの、「あなたはおリコウさんですもんね」などと揶揄されたことがあります。
 つまらない人生を送ってきた自分など、こんな「戒律」などなしに、フリーに行動できる(?)ように変化してきた社会を、うらやましく思っております。

 上野女史は、男性とのデート費用を自分が持つ場合もあり、「飲ませて、食わせて、抱かせる・・・・自分はいったい何をしているんだろう、と思ったこともあります。相手には既婚者もいましたから、自立した女を相手にすると、いまどきの男はコストをかけずに愛人を持てるんだね、と皮肉な思いを味わったこともあります」と述べています。
 清貧老人である私など、「自立した女性」が増えて、一方的、不当に「責任」などを追及されずにすむ「いまどきの男性」を、心からうらやましくなります(笑)。    (椿本祐弘)

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(読者の声2)森発言を奇貨としてのジェンダー攻勢の行きつく先は、女性天皇擁立です。世論工作には十分警戒しなければなりません。
  (中年Z)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月12日(金曜日)   通巻第6795号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~司法省、グーグルを独禁法違反として提訴に踏み切った。序幕戦だった。
   FTC(連邦取引委員会)がフェイスブックを独禁法違反で提訴した
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 GAFA(グーグル、アップル、ファイスブック、アマゾン)がいつしか「国家」を超える「権力」となっていた。
メディアが「第四権力」などと呼ばれたが、それ以上の強靱なパワーを持つのである。
 とくにトランプ前大統領のツィッター口座を永久凍結したことは中国などの全体主義国家で常用される言論統制であり、アメリカが言論の自由の国ではなかったことをいみじくも物語ることとなった。

さすがに反トランプの急先鋒だったメルケル独首相も、このツィッター社のやり方を猛烈に批判した。しかし日本ではメディアの洗脳と偏向報道が依然として力を持ち、この事件が何を意味するのか、よくわかっていない。
オルテガが言ったように大衆とは「ものを考えない人々である」。

 GAFAの時価総額はアメリカ全体のGDPの四分の一に迫り、まさに「この世をば わが世とぞ思ふ望月の 欠けたることも なしと思へば」(藤原道長)の増長慢。何をも怖れぬ傲岸不遜のごとし。
 アメリカの左翼メディアの偏向も凄いが、その真似をしている日本のメディアも何時しか権力と化けて、大臣やら五輪委員長の頸を飛ばすのだ。正論が通らないのは日米共通、メディアに於ける極左リベラリズムの跳梁跋扈はGAFAの傲岸さと同じである。GAFAのトップは親中、反トランプのグローバリズムに汚染されている。
 
そのアメリカには独占禁止法という伝家の宝刀がある。
 2020年7月29日、米連邦議会下院はGAFAのトップを呼びつけて公聴会を開催し、「市場の競争を著しく歪めている」と非難が続出した。
そして10月20日、司法省はまずグーグルを独禁法違反として提訴に踏み切った。序幕戦だった。
 12月9日にはFTC(連邦取引委員会)がフェイスブックを独禁法違反で提訴した。
 こうした司法省の動きがあるにも拘わらず、ツィッター社はトランプの個人アカウントを永久凍結し、アマゾンのもSNSの「パーラー」というトランプ支持者の運用と停止、またアップルもパーラーの配信を停止する。あたかもGAFA共謀の自由の言論排除の動きが高まったうえ、独禁法提訴もなんのその、グーグルは端末メーカー「フィットビット」を買収した。


 ▲中国って独占権力国家なのに、独禁法があったのだ

 この動きを慎重に観察していたのが、中国である。そうか、独禁法って手があったな。
 2020年10月24日、中国ではアリババの馬雲がシンポジウムで中国の金融政策を批判したところ、同年11月3日、突如、アリババ傘下のアントの上場に待ったがかかり、同月24日にはアリババに対してネットセールスで不当な価格表示ありとして、800万円の罰金を課した。へぇ。中国にも独禁法があったんだ。

 2021年2月4日、アントが金融持ち株会社への転換を計画中と報じられた。当局と事実上合意していると言われ、新持ち株会社はスマートフォン決済のアリペイ、与信業務、保険販売などの部門を収める。つまり金融事業が切り離される模様である。

 独禁法とは無縁と思われたてたインテルにも寒風が吹きつけた。別の理由である。
 インテルが半導体出荷をやめたために中国のZTEは倒産寸前にまで追い込まれたのはつい昨日の出来事。

 世界一を誇り、最先端半導体工場をイスラエルのも増設して、勢いをましたインテルとされたが、どうやら台湾のTSMCの技術に抜かれたらしいのだ。
 決定打はアップル、グーグル、マイクロソフトが、インテルの半導体使用を中止し、英国アーム社設計のものに代替し、内製化を図ったため、窮地に追い込まれたのだ。おごれる平家も久しからず、夏の夜の夢のあと、海に沈んだ。

 こうした企業の栄枯盛衰は古今東西繰り返されてきた歴史の鉄則でもあり、明日のGAFAには独禁法を廻る裁判が進行する。すでにGAFAは保守派と敵に廻したことにより最高裁判所の結審は敗訴濃厚だから、最悪の事態にそなえるべきだと勧告したいところである。

 アマゾンは自覚したようだ。
 CEOのジェフ・ベゾスが退任することとなり、「アマゾン王国」の崩壊に予防策を打ち出したともとれないか。

 アマゾンは下請け苛めや不当契約内容。そのうえ社員から突き上げが凄まじくなって労使が対立、そのうえに独禁法裁判である。
アマゾンが出版流通に殴り込んで、書店を潰すという残酷な副作用を伴ったが、キンドル(電子書籍)の開始は2007年のことであり、瞬く間に世界市場を席巻し、あげくに2013年には老舗名門の「ワシントンポスト」を買収してトランプ批判を倍加させていた。

ベゾスは、その名前からもキューバ難民の子だが、猛烈な労働を従業員にも強いたため、労組が結成されたくらいだった。新CEOは同社でクラウド事業を立ち上げたアンディ・ジャシー(53歳、ハーバードMBA)が就く。
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 ■アンディ・チャンのアメリカ通信   ■アンディ・チャンのアメリカ通信
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違法選挙陰謀の暴露記事
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 去年11月の選挙でDeep Stateがトランプを落選させるため数年も前から大企業家と労組、メディアなどが合作して企んだ大陰謀を詳しく書いた記事が大きな波紋を広げている。
 2月4日にTIMEマガジンのMolly Ball記者が発表した「The Secret History Of The Shadow Campaign That Saved 2020 Election」という題の、選挙は初めから終わりまで不正陰謀だったと言う2万字余の記事である。
 記事は2月4日に発表されたが、TIME誌は2月15日号に掲載されるとしている。TIMEは左翼と言われているしMolly Boll記者もトランプ支持ではないはずだが左翼の選挙陰謀をかなり詳しく報道している。記事の内容はかなりショッキングで読んだあといくつも疑問が湧いてくる。既に幾つもの評論がユーチューブに発表されている。
 まず記事の概要を述べる。
 トランプは前々からDSが彼の抗議を縮小して報道させた、しかも大企業家は前々からDSと一緒にトランプ降ろしを企んでいたと主張していた。結果としてこれはみんな事実だった。
Deep Stateは選挙の前からトランプが陰謀を企んでいたと逆宣伝し、トランプの選挙運動を妨害し、大企業家と労組が一緒にな
り、選挙が公平で不正行為がなかったとしてトランプ側の抗議を不問に付した。

この選挙でトランプ戦略を立てたのがAFLCIO(米国最大の労組)の参謀、マイク・ポドルザー(MIkePodhorzer)である。彼は去年三月ごろから「トランプは選挙で負ける、そしてインチキ選挙を行い、落選しても負けを認めず、国民を扇動し、動乱がおきる」と述べてこのに対抗する戦略を立て、2020年3月に「2020年選挙の脅威(Threats to the 2020 election)」を発表した。
 これに先立つ2019年11月にはフェイスブックのズッカーバーグがたくさんの民間運動リーダーを招聘して会議をひらいた。この会議にはツイッターのボスやバイデンの参謀Vanita Guptaも参加していた。この会議のあとバッカーバーグは選挙陰謀のために3億ドルの資金を提供した。半年あとになってポドルザーが仲間を集め、Zoomを使って何回も何回も会議を開いた。おかげで以下のような結果があった:
(1)問題州では選挙法を勝手に変更した。
(2)民衆に投票に行かないで郵便投票をするように勧めた。
(3)ハンター・バイデンのスキャンダルニュースを封鎖し、N.Y.Postはバイデン記事を除去した。
(4)トランプの陰謀説を否定し、信じさせない宣伝をばら撒いた。
(5)トランプが選挙の結果を覆せない強大なメディア圧力を加えた。

彼らの謀略で選挙の結果は以下のようなことが起きた:
(1)計票の結果がまだ出ていない11月7日にバイデンは既に勝利宣言をし、閣僚の名をあげた。
(2)トランプ陣営の違法抗議を全て否定し、メディアは反論をシャットアウトした。
(3)州長や選挙事務所は不正の抗議について調査を行わなかった。
(4)司法、法廷はトランプ側の提訴を取り上げなかった。
(5)企業家と労組の合作が成功し、トランプの落選は「アメリカ民主主義の成功」と凱歌をあげた。
 これらの結果につきMolly Ballは「以上の結果は全て逆だった」と述べている。しかも彼女は「影の陰謀がだんだん明らかになりつつある」とも書いている。Media Research Centerの評論には「メディアが正当な報道をしなかったのが選挙の結果を左右した。今回の選挙は(DSが)バイデンを当選させるための選挙だった」とあったとも書いた。
 
 以上が記事の概要だがこの記事が出たあとさまざまな疑問と評論が出た。いくつかを書いてみる。
(1)第一の疑問はBoll記者はどっち側の味方なのかということだ。TIME雑誌は左寄りだと言われているし、彼女が右寄りでトランプに同情したとも思えない。総体的にこの記事は中立の立場で陰謀の首謀ポドルザーが述べた陰謀の経過を報道している。しかしBoll記者が彼らのことをCabal(陰謀グループ)と呼んでいる点から見ると彼女はトランプの味方と言える。TIMEは正直に書いた記事を掲載しただけだ。
(2)次の疑問は首謀者のポドルザーがどうして平気で陰謀の事実を語ったとかいうことだ。何人かの
評論では、トランプを落選させた功名争いとか、賞金獲得のため、またはCabalの内部闘争などと憶測している。功名争いの一端としてポドルザーが戦略を立て、Zoom 会議を開いた功績がある。しかしその一年前にバッカーバーグは仲間を呼集めてトランプ降ろし会議を開き、3億ドルの資金を提供した。誰の功績が大きいか。
(3)Boll記者が選挙陰謀の詳細を書き残した功績は大きい。Deep Stateがお膳立てをしてトランプは負ける、インチキ選挙をする、負けを認めず、ホワイトハウスから退出しないなどと宣伝し、彼らの計画通りになった経過を書いたのである。
(4)最も驚くべきことはCabal(陰謀グループ)の首謀者が陰謀の経過を堂々と述べていることだ。つまりCabalの連中が陰謀を明らかにしても、今更トランプは逆転勝ちはありえない。だから違法を自慢しても処罰されないと威張っているのだ。
(5)アメリカの国民全体が見聞きした選挙は、開票の途中までトランプがバイデンをリードしていた。もしも選挙不正がなかったらトランプが当選していたのだ。しかも中国、ドイツ、イタリアなどが選挙に関わっていた証拠、インチキ選挙の証拠証人は山ほどあったのに全てが不問に付されたのである。
 アメリカはこんなDeep State の独裁を裁くことができないのか?

                (アンディ・チャン氏は在米評論家)

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)上野千鶴子ですが、弱者の味方をきどりながら、自分は外車を乗り回す「赤い貴族」だとの批判があるようです。
https://twitter.com/tk_takamura/status/1351027126162612228
https://www.mag2.com/p/money/1009753
   (HT生、大田区)


(宮崎正弘のコメント)似非インテリのやることって、共通してますねぇ。羽仁五郎は宏大なお屋敷で暮らしてました。小田実も豪邸でした。

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(読者の声2)2月11日付通巻第6794号「読者の声」によると、宮崎氏は「上野女史に関しては一冊も読んだことがないので(もちろん、テレビは見ませんので)、何も存じあげません」ということですが、小生も、雑誌などでその発言などを散見するだけで、これまで、上野女史の著作を購入して読んだことはありません。
 しかし現在、雑誌『小説幻冬』で、鈴木涼美という1983年生まれの若手作家との往復書簡として連載されている「限界からはじまる」という論をきわめて興味深く読んでいます。
 いろいろと含蓄のある考えが開陳されているのですが、1948年生まれの上野女史の論を、最近号から、一部だけ下記に紹介しておきます・
(引用始め)
「加齢にしたがって、わたしは身体のままならなさを感じるようになりました。そして『観念に身体を従属させる』ことは、身体に対する虐待にほかならない、
と思うようになりました。 観念に身体を従わせる極限は、自殺です。 自殺ほど、自己身体に対する虐待はありません。・・・・・・・・他人とはままならない
ものですが、それ以前に自分の身体というままならない他者とつきあわなくてはなりません。加齢とは、誰もが中途障害者になるようなものです。そして年齢をかさねるにつれて、わたしは精神も身体も、こわれものだと感じるようになりました。乱暴に扱えば、心もカラダも壊れます。こわれものはこわれものらしく扱わなければなりません。思えば、どんな無茶をしても自分も相手も壊れない、と思っていた頃は、どれほど傲慢だったことでしょう。・・・・・・・・
 こわれものはこわれものとして扱う。
 自分にも、他人にも、それが必要だとわかるようになるまで時間がかかりました。愚かなことでした。」
(引用終わり)

私はこの「肉体論」など、三島由紀夫さんのケースにかなり適合的だと思いました。
また、「加齢とは、誰もが中途障害者になるようなものです」というのは、上野女史より2歳ばかり年長の自分が思い知らされ、味わいつつある実感です。
   (椿本祐弘)

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(読者の声3)僕はドライな合理主義者・自由主義者だがすくなくとも日本人の魂である<惻隠の情>だけはあるぜ! 卑劣な森バッシング ああ森さんのお節介ともいえる気持ちを思うと可哀想で可哀想で・・日本人はなんと卑劣な人種に変化してしまったのか?
・・・・・・・・・・
 森さんがいたからこそ五輪に日本がえらばれた。森さんなくして五輪なし!五輪にかける森さんの一生懸命な姿 あの安倍がマリオの漫画のごとくでてきたリオの五輪終幕式の演出 あれは森さんのアイデアだった。
 そんな森さんを頭から否定してリンチでたたきまくる 日本の和の精神美しい自然を愛する心 それは『惻隠の心(情)』ではなかったのか? つまり森さんの
純粋な五輪への思いその森さんの心情を深く理解することであり、親が子を思う心と同じで、相手の立場に立って、ものごとを感じとるという感覚上の自然の性格の発露は今や日本はまったくなくお隣の二カ国と同様の荒んだ何一つ思いやりのない心になってしまったのか、何か僕はこのリンチ事件を見てもはや日本人の優しさ日本人の和の精神 言葉尻を捉えどうのこうの 最低の世の中になってしまったなとみている。もう悲しさだけだ。
 テレビで辞めるが遅すぎるなどと騒いでいる様子。もう僕は嫌だ。そんな感情論センチメンタルな観点からももう嫌だという思いだ。ガンを克服され一生懸命最後のお勤めに一生懸命に痛々しい姿だ!
 その森さんに対して一方的に言葉狩して叩きのめして、哀れな老人が忸怩たる思いで悩んでいるのを、サディストのようにあなたがた日本人はご満足なんでしょうか?
僕が古いんでしょうか?
ぼくはそんな日本ならもう日本人を辞めたい!
ロベスピエールのごとく純粋主義には驚嘆するが、ゴミのような衆愚紅衛兵のような人間にだけとは与することはできないのだ!
 (奥山篤信)


♪「雲に聳える高千穂の。。。」、本日は皇紀2681年紀元節です。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021) 2月11日(紀元節、木曜日)  通巻第6794号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~イスラエル、テロリストを援護するバイデンへ急激な不信感増大
  革命防衛隊が新たに340隻の攻撃ボートにドローンを搭載
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 バイデン政権はイエーメンの反政府武装集団でイランの支援を受けた「フーシ」をテロリスト・リストから外した。フーシは歓迎声明を発表した。
サウジアラビアは激怒、イスラエルは「やっぱりか」と失望と疑念が混ざったバイデン政権への不信感を拡げる。

フーシはスンニ派からの蔑称で、かれら自身は「アンサール・アッラー」(神の支持者)と呼称し、スローガンは「アメリカに死を、イスラエルに死を、ユダヤ教徒に呪いを、そしてイララムの勝利を」。中東の政治地図ではスンニ派とも敵対している。

フーシをイランが背後で支援したと米国が認定したのは、サウジ攻撃に遣われたミサイルがイランのミサイルの部品だったからで、当時、ニッキー・ヘイリー米国連大使は、証拠を提示して国連に制裁を訴えた。

さてイスラエル国防省諜報部門は「ナタンズ核施設はウラン濃縮施設であり、その責任者のファクリダデ博士は殺害された(おそらくモサッド)が、おそらく二年以内に核武装するだろう」と予測する報告書を作成した(『エルサレム・ポスト』、2月9日)。
 イランの脅威は増大しており、バイデンが進めるイランとの核合意復帰などもってのほかだとするのである。

 イランの革命防衛隊は沿岸警備隊的役割を持つボート部隊をもつが、最近、340隻を増強し、ロケット・ランチャーに加えて一部がドローンを搭載していることが判明した。

 革命防衛隊はすでに北朝鮮の魚雷搭載の簡易型潜水艦のTAEDONG(B)、ならびに中国から「チャイナ・キャット」C14(ミサイル装備の小型船)を導入している。これらは高速でペルシア湾を遊弋している。
 中東はまたまた地域戦争の発火点になりそうだ。
     ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎     

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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@   【知道中国 2196回】           
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港78)

   ▽
 香港で活動する東華三院は、香港だけではなく世界中の華僑・華人社会における最大・最強の慈善団体と言っていいだろう。前身とされる広福義祠は、香港島がイギリスの殖民地になって10年ほどが過ぎた1851年に建てられ、頼るべき縁者のない老人や重篤な病に苦しむ者が死を待つために身を寄せるようになった。当時の香港人口は3万3千人ほど。

 当然のように衛生・環境問題が発生する。そこで1872年、殖民地政庁が主導して中国人のための病院──「広東華人」に因んで「東華病院」と命名──が建設されたのである。

 1931年に油麻地の広華医院の管理を引き受け、さらに香港島東部の東華東院を統一して管理するようになったことから東華三院と呼ぶようになった。

 1999年末の時点で、香港各地に173か所の医療・教育・社会福祉などの慈善サービス拠点を持っていた。主たる経費は政府から提供されているが、民間からの寄付も少なくない。世界各地のチャイナタウンで活動する慈善団体ネットワークの頂点に位置づけられる。

1971年の半ばからだったと記憶するが、広華医院の近くに1年ほど下宿したことがある。
 旺角の古本屋に近かったこともあり、広華医院の敷地を近道に利用したものだ。敷地の奥まった辺りに斎場があり、その横の裏門を出ると葬儀屋さんがズラッと並んでいた。正門から裏門へ、そして葬儀屋へ。生から死への動線の「合理的な配置」に感嘆するばかり。

 時に見ず知らずの人の葬儀に参列させてもらったことも何回か。失礼とは思いながらも、興味が先に立ってしまうから致し方ない。かくて香港における葬儀の式次第、野辺の送り方、遺族の立ち居振る舞い、参列者の所作、斎場の設えなどを観察させてもらった。

 東華三院は香港や海外で亡くなった人を故郷に葬る事業も行ったが、棺は東華三院が経営する東華義荘を経由し、「棺運びの船」で故郷に送られる。

 なぜ、そうまでして故郷に戻ろうとするのか。中国人は「入土為安」、故郷の土となってこそ安堵できる。子孫も?栄するという故郷への思いが強い。

 かつて中国でも「運棺」「運柩」というビジネス──いわば棺の宅急便──が盛んに行われていたが、それだけ中国人が新たな生活の拠点を求めて故郷を離れ、未知の地に移動を繰り返していたのである。

 東華義荘の記録を見ると、東華義荘に到着する棺はヨーロッパではノルウェー、イギリス、オランダ、フランス、アフリカでは東海岸のザンジバル、東南アジア
ではミャンマー(ヤンゴン)、タイ(バンコク)、マレーシア(クアラルンプール)、シンガポール、ヴェトナム(ハノイ、ハイフォン、ホーチミン)、インド
ネシア(ジャカルタ)、ボルネオ、中国(唐山、青島、天津、山東、浙江、上海、厦門)、東北アジアでは日本(長崎、神戸、横浜)、韓国(仁川)、南太平洋では
フィジー、サモア、タヒチ、大洋州ではオーストラリア(ケアンズ、タウンズヴィル、ロックハンプ、メリーバラ、ブリスベン、シドニー、メルボルン、ヴィク
トリア、ロンセストン、タスマニア)、ニュージーランド(ウエリントン、オークランド)、アメリカ大陸ではカナダ(モントリオール、エドモントン、ヴァン
クーヴァ─、ヴィクトリア、ニューウエストミンスター)、アメリカ(シアトル、ポートランド、サンフランシスコ、ホノルル、ニューイングランド、シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ボルティモア、ピッツバーグ、フィラデルフィア、ニューオルリーンズ)、中南米ではメキシコ、グアテマラ、ベリーズ、コスタリカ、ペルー、キューバ、トリニダードトバゴなどで船積みされる。


 香港到着後、東華義荘に一定期間留め置かれ、やがて「棺運びの船」に積み替えられ広東省の沿海部のみならず内陸部、さらには海南島の地方都市に輸送された。

いわば香港が国際航路のターミナルとなったことで、東華義荘は世界各地に移り住んだ広東や海南島出身者の棺が故郷に戻る際の一時保管所の役割を果たしていた。
東華義荘は運棺ネットワークのハブであり、「死者のホテル」でもあったわけだ。
    ○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎   

 ▲加瀬英明のこらむ ▲加瀬英明のコラム
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菅新内閣発足で再び遠のいた憲法改正
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 菅義偉新内閣が発足した時に、私は安倍内閣の路線を継承するというので、歓迎した。だが、ほどなくして不安を懐くようになった。
 菅首相が11月12日に、バイデン大統領当選者と電話会談を行った。会談は15分間、バイデン氏が「アメリカが日米安保条約第五条のもとで、尖閣諸島を守る」と言明したということだった。
 日本の大手新聞・テレビは、こぞってバイデン氏が尖閣諸島を守ると発言したと報じた。
 ところが、バイデン氏の政権移行事務所は
「The President-elect underscored his deep commitment to the defense of Japan and U.S. commitments under Article V and he expressed his strong desire to strengthen the U.S.-Japan alliance even further in new areas.」
とだけ発表して、「尖閣諸島」という言葉は、どこにも見当たらない。
 短い発表文だが、「大統領当選者は第五条のもとで日本を防衛する固い誓約を守り、日米同盟をさらに強化することを願っている」とでも、訳せよう。
 朝日新聞をはじめとする新聞は、いっせいに「バイデン氏、尖閣は『安保条約5条の適用対象』と明言」(朝日)と報道した。
 15分といえば、菅首相は英語、バイデン氏は日本語を話せないから、通訳が7分半をついやし、2人が同じ時間発言したとして、3分間あまりずつとなる。2人が六分話しただけで、「会談」と呼べるのか。電話会談が15分間にわたったというのも、疑わしい。
 バイデン大統領当選者が「尖閣」といわなかったのは明らかだ。それなのに政府、大手新聞・テレビも、訂正していない。
 新聞・テレビにとって、大きな誤報ではないか。国民を騙したことになる。
 安倍首相が引退する直前に、敵の基地を攻撃する能力を持つべきだ、という考えを表明した。
 ところが、12月に菅首相は公明党が難色を示したのを受け入れて、敵基地攻撃能力を持つことを否定した。中国、北朝鮮の核ミサイルが日本全土を射程に収めている。
迎撃ミサイルだけでは、撃ちもらすだろう。日本は中国、北朝鮮と対等ではないのか。
 私は1950年代にアメリカに留学して、ニューヨークのコロンビア大学に通ったが、ヒュー・ボートンという教授がいた。教授は戦前、国務省の若い省員だった。私はボートン教授から、日本国憲法の成立の経緯をきいた。
 コーデル・ハル国務長官が日米開戦の六ヵ月前に、日本と戦って屈服させた後に、日本をどのように処理するか、研究するチームを極秘裏に作った。若い省員だった教授は極秘を誓った上で、その一員となった。
 ルーズベルト政権は日本が真珠湾を攻撃する半年以上も前のことだったが、日本と戦って屈服させることを、すでに決定していた。対日戦争が始まると、この研究チームに陸海軍からメンバーが加わり(まだ空軍がなかった)、日本が降伏する前に第一次対日講和条約案がまとめられた。
 その内容は、第一次世界大戦でドイツが敗れた後に強いられたベルサイユ条約よりも、はるかに過酷なものだった。日本は軍備を一切持ってはならない、軍需産業も禁じる、民間の航空機さえ、1機も持ってはいけない、原子力、核の研究を永久に禁じるという内容だった。
 対日占領が始まると、アメリカは占領軍総司令官のマッカーサー元帥に、それを下敷きにした政策を取るよう指示した。現行の日本国憲法は、ハル国務長官の研究チームが作った第一次講和条約案に近いものとなった。
 当時、アメリカは日本を徹底的に弱体化し、不能な国家とするために、憲法を強要した。
 いい加減に、目を覚ましてほしい。
            (かせひであき氏は外交評論家)
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)森発言について連日、昼のTVショーをにぎわせている。
 言うまでもなく森氏には、釈明会見も含めて、「悪気はなかった」のだろうが、糾弾側に言わせれば、その「悪気がない」という自然生来的、無意識的な「認識」こそが歴史的で根深い「差別」の問題点だと主張するだろう。
 しかし他の差別問題と異なるのは、他の差別は通例、多数者が少数者を阻外抑圧するものであるのに対して、男女については、数からすれば、女性の方が多いということであろう(私が見る限り、この差異については、日本では、あまり議論されていないのではないかと思うが、昔読んだ米国の憲法書では指摘されていた)。
 よく日本の国会議員などの公選職の女性比率が国際的に低位だと言われるが、少なくとも被選挙権・選挙権に平等(すなわち機会についての平等)が保障されている限り、あくまでそれは「結果についての不平等」に過ぎないだろう。
 「女性が多い理事会は時間がかかる」という点についても、たしかに「性」によってカテゴライズした議論は適正ではないとしても、「部外者」が参加する会合で、部外者が十分な予習、根回しもなくして発言するなら、不当に会議が長引くことは当然の現象だろう。
 それは経済効率性からして大きな問題ともなろう。
今はやりの外部取締役にも女性が歓迎されているようにも見えるが、実態としては、取締役会(理事会)からは、外部監査役なども含めた「外部者」は、空気を十分に読んだ「わきまえた態度」が期待されているのであろう。
 問題点は事前の十分な根回しによって、会議前に解決しておけばよいことである。
日本では、重要事項は会議を開催する前に「決定」されるべきで、会議は事前協議を追認する儀式だと考えられてきた、それが一面的に不当だとは私には思えない。
ただし「公開性」という問題が残るが、それは会議の席上で、事前協議の経過を詳細に報告することで補強されるべきだろう。
 少し前、医大の入学者における性差別が問題になったが、これなども選考基準として事前に告知されていなかったことは問題であろうが(公開性)、原則的には、それが「選考基準」と明示されているのならば、問題視されるべきではないのではないか。
そうでなければ「面接試験」などは意味を失うし、そもそも学力試験以外のAO入試など、絶対に認めるべきではないことになる。
 今までの高校入試など、相当程度は性別による「区別」に基づく「選考」が行われてきたはずである。聞くところによると種々の選考願書から性別の記載をなくす動きとなっているそうであるが、そうならば、事態は急変化するであろう。
こうした動きが一般化すれば、「女子中高校(女学院)」、「女子大」、「女子医大」だのは自然消滅し、全ての教育機関が「共学化」せざるを得ないのだろうか。
 いずれにしても、女性はその「実績」によって、社会全体から自然発生的に、その存在と能力を認められ、要望、期待されるように頑張ってほしいものである。
私見では、「社会」の女性起用において、経過的に多少の逆差別(アファーマティブ・アクション)、無原則(数値目標)的現象があっても、無思慮に移民を導入するよりは、弊害は少ないのではないかと思う。    (椿本祐弘)

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(読者の声2)貴志前号の記事で日米豪印の軍事演習について触れていましたが、1月18日から2月28日まで日米豪の三カ国による共同演習「コープ・ノース21 (COPE NORTH 21)」を実施中。
グアム島のアンダーセン空軍基地が拠点ですが先日は豪州のF-16戦闘機が横田に、C─17輸送機が嘉手納に来ていました。オーストラリアは以前から北朝鮮の瀬取り監視のため嘉手納基地にP-8哨戒機を派遣していました。
 アンダーセン基地をグーグルマップでみるとB-52爆撃機が5機、B─1爆撃機も4機見えます。また DuckDuckGo という検索エンジンを使うとアップルマップの画像で滑走路右端にB-52が6機、C-5輸送機とC-130輸送機が各1機、滑走路左下にはKC-135空中給油機7機とP3哨戒機2機が確認できます。
 最近米軍機が南シナ海からインドやインド洋の英国基地に飛んでいるようですが英軍機もまたしょっちゅう米国に飛んでいます。
いずれは日米豪印+英となるのでは?
おまけですが韓国空軍の空中給油機(A-330)2機が釜山の基地を飛び立ち黄海上空をぐるぐる廻っていました。この機材は竹島上空で韓国軍の戦闘機は20~30分しか自衛隊機と戦えないという理由で導入されたもの。2月22日の竹島の日を前に示威活動を強化する狙いかもしれません。   (PB生、千葉)

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(読者の声3)まったくひどいリンチ事件だ。森喜朗さん最後まで辞めるな!
 断固応援する。
 一体、言論の自由を建前とする自由主義はいまや危機だ。この森問題も根っこはおなじ。トランプ弾劾裁判 政治家の言論の自由を多数決で封じるこのリンチ事件は世界各国で嵐のような紅衛兵的リンチを世界に吹き荒れる。もう政治家は何も言えない 何もできない、なる衆愚の言葉狩の的にすぎない。こんなバカな話があるものか?
トランプが議場侵入事件を扇動した?
よく聞けよ、あのセリフ 言葉の含むユーモア 言葉の含む隠喩 言葉の含むパッション これを言葉として受け取らず勝手に表面的言葉の揚げ足をとり多数決をあてにしてリンチ事件を起こす手法だ。なにがポリティカル・コレクトか。
その概念こそが間違っているのだ。あの日本の自民党までが賛成したヘイトスピーチ法案 自由主義は抹殺された。何も言えない。

たとえば男女平等反対主義者がスピーチで男女平等反対と解釈されれば刑事罰かい?
結果、平等も機会平等も全部平等主義で絶対公理なのかい? あほらしくてやってられない。共産党は表現など如何様にも解釈して民主主義に反するテロ集団だといわれてもいいのかい? 言論の自由の尊さに思いを馳せることもなく<その言葉を取り消せ お前は反民主主義だからリンチは許される!>って、まさに紅衛兵と同じじゃないか?
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a6f5bf985b2dffb7166448f68648dd7af2e22b9          (奥山篤信)

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(読者の声4)「アエラ」が森嘉郎と上野千鶴子が金沢二水高校の同窓生だったとして対照的な二人の歩みを特集しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d281083fd81b0a835cffec2d4b949bbb391d5f8e?page=1
 確か、宮崎先生も金沢二水高校でしたね。この記事を読んでの感想など、もしあれば伺いたいと思いました。    (IH子、金沢市)


(宮崎正弘のコメント)森さんははるか先輩。上野さんは11期ですので小生が三年生のときに富山から県外入学ですね。ですからお二人とはすれ違いです。
上野女史に関しては一冊も読んだことがないので(もちろん、テレビは見ませんので)、何も存じあげません。

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