ゼロから始めるモダンカリグラフィー速習講座3:応用編
前回は、実践編としておしゃれなモダンカリグラフィーを習得する3つのステップについて書いた。
今回は応用編として、個人的に最初に知っておきたかったコツと、長いセンテンスのカリグラフィーのやり方についてまとめ、最後にフル活用した参考サイト一覧も列挙してみる。
個人的に最初に知っておきたかったコツ
「コレを最初に知っていればもっと効率良くできたのに…」と思ったコツが何個かある。
自分のように練習開始してかなり時間が経過したあとに気付いて、小さくショックを受けることのないことを祈りつつ列挙してみる。
コツ1:常にガイドラインのある紙を使う
練習や下書きのときはカリグラフィー用の斜めグリッドでも、横罫や方眼でもOK。特に初期の練習時には、文字の傾きや太さ、大きさなど、おかしい部分に気づきやすく、修正しやすくなる。
コツ2:インクのしみない紙で練習する
インクがにじんてしまうとせっかくの文字が台無しになる。特に、細線などが書きにくいだけでなく、見た目がよくないので書いていて気分も下がってしまう。うまく書けたのに、インクがにじんでしまっただけでがっかりする。
コツ3:筆ペンの力は手首や腕の上下でコントロールする
鉛筆などと違い、筆ペンは、指先で力をコントロールするより、手首や腕を使って力をコントロールすると太線・細線がうまく書ける。
感覚的には、書道と同じように、筆全体を持ち上げる感じで力を抜いてゆっくりハネをつけるように、筆ペン全体を持ち上げて線を引くとキレイに細字になる。
コツ4:アルファベットの丸部分は時計の2時から書く
aやdやoなど、丸があるアルファベットの丸部分は、時計でいう12時のてっぺんから書くよりも、時計の2時くらいの位置から書き始めるとキレイ書ける。2時から書き始めると、細線からはじめて、12時のてっぺんでちょうど太線と細線の切り替わりを書けるのでキレイに円形になる。
コツ5:文字は少し大きめに書く
特に普段文字を小さめに書く方限定だが、シャープペンシルなどで普段書いているよりも少し大きめに書く方がキレイに書ける。筆ペン自体が普段のペンより太いので、太いペンで小さい文字を書くと、文字の隙間を埋めてしまって、書き損じっぽく見えてしまう。
長い英文カリグラフィーの全体デザインのやり方
自由に躍動感あふれるモダンカリグラフィーが書けるようになって、自信もついてきていると、3単語以上の長い英単語やフレーズ、センテンスなんかにもトライしたくなってくる。そういう時のTIPSである。
センテンスのカリグラフィーなど長めの英語を書く場合、どこで改行して、どこにFlourishを入れるかでデザイン案は無限に広がる。
その時に役に立ったのが、
トレーシングペーパーを使ったデサイン案の作り方。
わかりやすくこちらの動画で解説されている。
英語で解説してくれているが、もし英語がわからなくても映像だけ見るだけでも十分やり方は分かる。
【用意するもの】
・ガイド線のある紙(横罫でも方眼紙でもOK)
・シャープペンシルもしくは鉛筆
・トレーシングペーパー
・筆ペン
■全体デザインを作る時の手順
手順1:改行位置のバリエーションを考える
シャープペンシルで改行位置の違うデザイン案をいくつか出す。
この時、文字サイズは基本的に一定で罫線に沿って書く。何個か案を出して、良さそうなもの1,2個に絞り込む。
手順2:筆ペンでまずはシンプルに書く
改行位置が決めたら、Flourish無しでシンプルに筆ペンで書いてみて、上下でぶつかりそうな部分、スカスカな部分を明確にする。
例えば、gの下とhの上の部分がくっつきすぎるなど。そういうところは書きにくいし、Flourishも入れにくい。
手順3:トレーシングペーパーを使ってレイアウトする
トレーシングペーパーをずらしながら各行(各単語)の配置を合わせる。
手順2でどこが密でどこが粗かはっきりさせたら、トレーシングペーパーに1行目を写して書き、それをずらしながら2行目の丁度いいところに持ってくる。そうして密になる部分をうまく避ける。その位置で2行目を書き、同様の要領で3行目以降もやる。
コレを繰り返すと改行のある文のシンプルなカリグラフィーが美しく書き上がる。
手順4:Flourishのデザイン案を入れる
トレーシングペーパーに美しく書き上がったシンプルなカリグラフィーを参考に、また罫線のある紙にシャープペンシルで同じように書く。そこにFlourishのくるんとした飾り線を入れたデザイン案を考える。どこにどんな飾り線を入れるかはセンスが問われるところだが、何個かシャープペンシルでデザイン案を書いて比較して、1,2個に絞る。
手順5:決まったデザイン案で清書する
何度か試し書きなどして練習したら、筆ペンで書く。このとき可能なら、下に後で消せるくらい薄いガイド線を鉛筆で引いておくか、ガイド線のある紙の上に清書用の紙を乗せて、ガイド線がうっすら透けて見える状態でやったほうが、キレイに書き上がりやすい。センテンスは曲がると悪目立ちして一瞬で終わるので要注意。
この動画を参考に自分が書いた格言カリグラフィーの例がこちら。
まとめ
ここまで3回、モダンカリグラフィー速習の基本的な部分をまとめてきた。
独学でも、それほどお金をかけなくても、これくらいなら、比較的短い期間で誰でもできるようになると思う。
実際、自分は手探りでやったので、紆余曲折して激しく迷子になりものすごく時間がかかった。そしてきちんと方向性を定めて、最初からチュートリアルサイト、教習本をうまく活用して練習していたら、もっと短時間で上達できたという結論に至った。それがこの記事をまとめた理由のひとつでもある。
カリグラフィーの世界は非常に奥深いのだが、西洋書道と訳されるようにきちんと習得するための「道」ができている。
だからこそ守破離を守り、さらに学びたい人は、色々なチュートリアルや教本、オンライン講座などが提供されているので、そういうのを活用しながら自分のスタイルを確立していくのがいいと思う。
参考サイト一覧
記事内で既出のものも含め役立つサイトのまとめ。
■モダンカリグラフィーに使える筆ペン
▽ぺんてる筆文字サインペン細字
今回ずっと使っていたペン。メッセージカードなどに書くにはこれくらいの太さがちょうどいいと思うが、色紙や大きい紙に書く場合は、中字の方がいいかもしれない。
▽トンボ鉛筆 筆ペン デュアルブラッシュペン ABT
多くの海外サイトでカラーカリグラフィーを描く人はトンボのABTを使っていた。細字と太字と上下についているのでとても便利らしい。カラーも豊富。
■読み物系:チュートリアル・解説記事
▽ Lettering Daily
最高にカリグラフィーの学び方がしっかりとまとめてあるサイト。
モダンカリグラフィーだけでなく、レタリング、昔ながらのカリグラフィーまで非常にわかりやすくチュートリアルがまとまっている。
▽ HOW TO DO BRUSH LETTERING – THE ULTIMATE BEGINNERS GUIDE
筆ペンの選び方から、筆ペンの書き味違い比較、基本線の書き方など全部がわかりやすくまとまっている。本当にタイトル通りの「ビギナー向けのアルティメットガイド」。
▽Loveleigh LoopsのYouTubeチャンネル
動画派の方は、上記のチュートリアル記事を執筆している美人双子姉妹のYouTubeの動画がおすすめ。
▽ HOW TO GET STARTED WITH CALLIGRAPHY FLOURISHING
ふわっくるんとしたFlourishing のやり方のチュートリアル。超ロジカルでわかりやすい。
▽ぺんてるの筆ペンで始めるモダンカリグラフィー
どうしても英文を読むのが嫌で日本語がいいならば、取っ掛かりはやはりこちらのぺんてるのサイトがいいだろう。
■練習シート、描き方動画
▽ Lettering Daily(全部入り)
https://www.lettering-daily.com/
▽ 細い筆ペン用基本ストローク
https://bydawnnicole.com/basic-strokes-worksheets-small-brush-pens/
▽ 太い筆ペン用基本ストローク
https://bydawnnicole.com/basic-strokes-worksheets-large-brush-pens/
▽ トンボABT基本ストロークで書くアルファベット
https://www.tombow.com/sp/abt/howto/07/
▽ Loveleigh Loopsの動画:基本ストロークと小文字アルファベット
▽ Loveleigh Loopsの動画:大文字アルファベット(練習シートダウンロード可)
https://www.youtube.com/watch?v=L2fGqCkejew
▽ フローリッシュな大文字小文字アルファベット
https://www.twoeasels.com/blog/free-flourish-practice-sheets
■その他
Pinterest、Instagramで検索してみるとレクチャー動画をアップしてくれている人がたくさん見つかるので、それを活用するのもおすすめ。
最後に、ここまで長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。
この3回の記事がちょっとでもカリグラフィーに興味を持ったり、練習する時の役に立ってくれたらすごく嬉しいです。
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