i.lab社内R&D 「Voice Mask」プロジェクト:連載13 ブラッシュアップしたアイデア
こんにちは、i.labです。
特許取得を機に活動を再開したi.lab社内の取り組み「Voice Mask」プロジェクト。連載第13回目の今日は、ユーザーインタビューを経てブラッシュアップしたアイデアの紹介になります。この記事で、連載3回目でご紹介した「螺旋状のプロセス」が一周回ったことになり、本連載の一旦の区切りとなります。
↓螺旋状のプロセスについては以下の記事をご覧ください。
インタビューの分析
前回の記事では、インタビューを分析し、上記のようにブラッシュアップしたアイデアをまとめました。今回はこれらを具体的なモノのイメージに落とし込んでいきます。
↓前回の記事はこちら
デザインに関する検討
インタビューの分析の中で、モノの形状などデザインに関する要素は以下になります。
その中でも特に「長時間装着できるフィット感」は、インタビューをした皆さんから共通して聞かれたことでした。1日に何時間もオンラインミーティングをしている状況から聞かれた声です。そこで、フィット感を重視することを第一にブラッシュアップしたデザインの検討を始めました。
最初に作ったプロトタイプ(ファーストプロト)は、ヘッドフォンのヘッドバンドを顔の前に降ろしてきたような形状でした。頭部への固定方法としては、ヘッドフォン同様の耳部分での挟み込みと、顎の部分のパーツへの引っ掛けを想定していました。しかし実際に3Dプリントでモックを作ってみると、人によって頭部の大きさが異なり、調整機構が必要なことがわかりました。またモックを作るまで気が付かなかったのですが、顎に引っ掛けると、そもそも喋りづらい、という大きな欠点がありました。一方で、頭部への固定方法はファーストプロトを検討している段階でも悩んだ点で、ちゃんとフィットするような固定方法にすればするほど、デザイン的にはゴツゴツした野暮ったいものになってしまう、このことがなかなか解決できていませんでした。そこで、次のプロトタイプ(セカンドプロト)では、そもそも頭に固定しなければ良いのではないのか、という発想からデザインを進めていきました。
デザインに先だって、「頭に固定しない顔の前にデバイスを固定する装置」のリサーチを行いました。そこで思いついたのは、ギターを弾き語りする人がハーモニカ吹く際に使っているアレです。調べてみたところ「ハーモニカーホルダー」という名称らしく、首にかけたアームから伸びた2本の柱でハーモニカを顔の前に固定できます。肩で荷重を支えるので、長時間装着しても顔の疲労や圧迫はなく、またヒンジがついているので異なる顔の大きさの人でも調整が可能です。ハーモニカホルダーの形状を参考にデザインを進めていくことにしました。
簡単にスケッチをしながら検討していきます。インタビューからの分析のうち、「フィット感」を軸に検討を始めましたが、「薄型で鞄で持ち運びやすい形状」に折り畳むことも、不使用時はネックレスのように首から下げられる「ファッション性(スマートさ)」も実現できそうな気がしてきました。寸法などはハーモニカホルダーを購入し、実測して検討しました。
ブラッシュアップしたアイデア
以上のようなプロセスでセカンドプロトのデザインを検討していきました。出来上がったデザインが以下です。
いかがでしたでしょうか?以上が13回にわたって紹介した、i.labのR&D「VoiceMask」プロジェクトの一連の流れとなります。これまでの連載は以下のマガジンにまとまっておりますので、あたらめて通して読んでいただけると幸いです。
おまけ
今回ご紹介したセカンドプロトですが、A’ Design Award & Competitionという、100カ国以上のデザイナーが参加する世界最大級のデザインアワード(イタリア)のソーシャルデザイン部門でブロンズアワードを受賞しました。
Voice Maskのページは以下です。
プレスリリースはこちら
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