『実戦・日本語の作文技術』本多勝一
はじめに:正しい作文
本作品は、女史の作文に対する意識改革を大きく手助けした。女史の母国語は日本語であるが、いまだに正しい作文とはなんであるか、よく分からない。
自分の書いた文章を読み返してみて、推敲してみるものの、推敲したからと言って正しい文章であるかは知れない。
本作は、我々日本人が普段何気なく書く文章に対して喝を入れてくれる。この本を読めば、それ以降の文章に対する意識が大きく変わるはずである。
句読点:基本にして最難関
本書では、終始句読点の打ち方にそのフォーカスを置いている。句読点を一体どこに打つことが正しいのか、二大原則を提示したうえで、数々の事例とともに学んでいく。
点の二大原則の1つ目は、長い修飾語が二つ以上あるときその境界に点をうつということである。例えば以下である。以下は、AさんとBさんに対して非常に長い修飾語がついている。このAとBの境目に点をうつことが原則である。
一日中何も仕事をしない怠慢な新入社員のAさんが、勤勉で一生懸命仕事をしている今年で勤続10年目のBさんに、タメ口をきいて社長にお叱りを食らった。
2つ目の原則は、語順が逆になった時に点をうつ、である。例えば、以下のように、通常の文章では点はうたないが、その文章内の言葉の順序が逆になった時は、点をうつ必要がある。
点不要:太郎が死んだ。
点必要:死んだ、太郎が。
本書では、これらの2大原則を色々なパターンと共に学んでいく。
おわりに:母国語でさえ四苦八苦
この本を読んでみて、いかに母国語さえ習得しきっていないか、女史は痛烈に感じた。外国語を学ぶことは非常に大事である一方で、常に母国語に対しても磨きをかけていかなければならない。
本書を読んで以降、常に文章を書く時は点の位置に気を付けるようになった。とはいえ、まだまだ習練が足りず、誤りも多い。
もしかすると、言語にはゴールなどなく、死ぬまで学び続ける必要があるのかもしれない。
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