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帰りの飛行機で 2024.05.11 in New Delhi and Hanoi

今ニューデリーのインディラ・ガンディ国際空港のヴェトジェット972便の飛行機の中にいる。周りにはインド人達と、何人か西洋人、そしてベトナム人っぽい人たちがいる。iPhoneで文章を書くことはほぼないが、他にやることもないので書いてみる。

旅の後半はなかなかきつかった。ジャイプールは日中気温が44度あって、2、3時間外に出ているともう帰りたくなった。これまで熱中症になったことがないけれど、食欲があまりなくなり、きゅうりやトマトを買って塩を振って食べていた。カレー類を食べる気が全く起きなかった。それで、観光は宮殿と美術館に絞って、それぞれに見終えるとリキシャーを呼んでホテルに直帰した。果物を絞った100%のジュースは飲めて、レモンと、Falsaという赤い小さい実のジュースはとても美味しかった。パパイヤも試したけど甘すぎた。やっぱり柑橘系がよかった。

それでそのままニューデリーへ行く日になって、ホテルの近くにバスステーションがあったのでそこから乗ることにした。インドの長距離バスは個室ベッドがついていて、揺れは激しい時があるけどカプセルホテルみたいになっていて日中の移動だったがぐっすり寝られる。ジャイプールからニューデリーまでは約5時間だけれど、昼過ぎに出て、ほとんど寝て起きたら夕方になって着いていた。ニューデリーは首都なので、流石に道路などちゃんとしている。そこから1日置いたら割と回復してほとんど普通に食事できるようになった。

今、離陸した。ほぼ定刻通りの0時10分。この後4時間でハノイに着き、ハノイで朝の成田行きの便に乗り換える。帰り際はいつもバタバタするので、無事飛行機に乗れてとりあえずほっとしている。ずっと乾いた埃っぽい場所にいたので、とりあえず洗濯したい。温泉に入りたい。あとうどんを食べたい。珍しくホームシックとまではいかないけれど、後半は特に日本食や日本のことを思い浮かべる時間があった。今の日本が最高とは全く思えないけれど、少なくとも綺麗で整っていて、普通に暮らす上での衛生環境がどの都市部でも整った国だと思う。インドは場所によっては滅茶苦茶だ。首都ニューデリーの、セントラル駅、東京でいうと東京駅のようなところの周りでさえ半ばスラムみたいになっている場所がたくさんある。道端で異臭がし、砂嵐が起き、空気は燻んでいて道を歩くと客引きと物乞いに囲まれる。そういうカオスがインドの面白さでもあるのだが、これと比べると日本はオアシスのようだと思う。と言って、ずっとそこに留まるとそれはそれで退屈なのだが、インドの異常さと日本の異常さはある意味対を成していて面白い。だから極端に嫌いになる人もいるし、極端に好きになる人もいるんだろう。今のところ自分はバランスをとってやっていきたい気持ちになっている。

今日はニューデリーの国立博物館と、現代アートを扱うVedehra Art Galleryへ行った。モダンアート美術館の方も行きたかったが、博物館がボリュームがあって行けなかった。国立博物館は日本で言うと東博のような場所で、インドやそれに関係のある周辺国や文明の物品が展示されている。最初に見たブッダギャラリーは見応えがあった。そしてヒンドゥーやジャイナなどその他宗教の彫刻。とにかく彫刻が多い。建物は真ん中が庭でボイドになっていて、くるくる回るようなプランなのだが、そのせいで自分がどこにいるのかよくわからなくなり、気づいたら何周かしてしまう。ラジャスタンの細密画の展示もあった。ちょうどウダイプルで購入したようなものの古いものもあった。こういう伝統画のアーティスト達は今でも画商に雇われ、抱えられて、生活の面倒を基本的には全面的に見てもらうらしい。現代アーティストはギャラリーに所属しながらも基本的には独立した個人であるのでその辺りがモダニズム以降異なる。それでも、伝統画のアーティスト達の腕は本当にすごい。18世紀の画家と基本的に遜色がない。ラジャスタンの細密画を知って、ギュスターヴ・モローの絵を思い出した。彼も時に小さなキャンバスや木片に細密に描く。個人的にモローはフランスのあの時代の画家の中でもとりわけ好きで、パリに泊まる時にはモローのアトリエ(今は美術館になっている)に泊まることにしていたのだけれど、その筆感がラジャスタンと繋がって興味深かった。宗教や神話的なモチーフ(ラジャスタンの場合はヒンドゥーなど)を共通して描いているのも面白い。
ギャラリーの方は、ほとんど説明がなくて作家や作品のことはよくわからなかったのだが、いい雰囲気だった。アーメダバードでシルパ・ギュプタの作品集を買った時に、その編纂がここのギャラリーだったので寄ってみようと思った。白い壁に木の床、そしてインド製と思われる品のある高級家具。建物は煉瓦積みの躯体に白いペンキを塗っていた。作品も二点いいのがあったけど、それはシンプルなペンシルドローイングと絨毯の作品、空間的なインスピレーションがある場所だなと思った。

5枚、2000文字書いたのでこの辺で終わります。おやすみなさい。

*今、トランジットで荷物を通して成田行きの便を待っている。ハノイの空港はとても綺麗で、もう東京の空港とほとんど見分けがつかない。早朝過ぎるのでまだ空港内のお店があまり開いていない。電波が入ったり消えたりを繰り返している。店が開いたらコーヒーを買って飲もうと思う。着陸した時も記事を書いていたのだけれど、電波が悪かったせいで消えてしまった。機内は寒かったけれどすぐに寝てしまい、起きたら着陸態勢に入っていた。明け方の靄がかかった薄明かりの中を静かに降り立った。起き抜けの頭で、そのぼやけた色彩を感慨なく眺めていた。

**今、成田行きの飛行機に搭乗した。携帯で書くといつまでも更新できてしまうけど、noteアプリがすぐに落ちてしまう。待合の側にあったスターバックスでカフェラテを買って久しぶりに飲んだらとても美味しい。隣にはベトナム親子の赤ちゃんが寝ている。

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