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【本の紹介】『すぐ死ぬんだから』と『相続レストラン』

「死」とか「相続」とか…
そういうことばはどちらかというと気持ちをネガティブにしがちですが、
今日ご紹介する本は真逆です。

「笑い」と「感動」の(まるで吉本新喜劇のような?)人を元気にしてくれる物語です。


『すぐ死ぬんだから(内館牧子著)』

まず書き出しで笑えます。

年を取れば、誰だって退化する。鈍くなる。緩くなる。くどくなる。愚痴になる。淋しがる。同情を引きたがる。ケチになる。(中略)
これが世の爺さん、婆さんの現実だ。

『すぐ死ぬんだから』

世の爺さん、婆さんのみなさん、いかがでしょう?

かぼちゃ婆(私)は全部あてはまります🤣

ちょっとした段差でつんのめるし、
口元が緩んでよだれが出るし、
涙腺も緩んでいるし、
何回も同じことを言うし、
ことばが出て来ないから説明が長くなるし、
あそこが痛い、ここが痛いと愚痴をこぼすし、
あちこち痛い私はかわいそうでしょ、と同情してもらいたがるし。

物語の主人公「私」は、「60歳を超えたら実年齢よりも若く見られるべき」と外見の美しさにこだわり続ける78歳のハナさんです。

ハナさんは超毒舌。
よれよれの同級生たちや、身なりにかまわない息子の嫁をこき下ろします。

そういう面白おかしい毒舌エッセイ的な小説で終わるのかなと思いきや、途中でコロッと方向転換します。
「君と結婚できてよかった」と毎日のように言っていた夫が急死。そして…。

相続のことやら、SNSのことやら、世代間格差のことやら、夫婦のことやら、現代社会の課題が盛りだくさん。

笑って泣けて、自分の場合はどうだろうかと振り返る機会も貰える物語。

『相続レストラン(城山真一著)』

主人公の冬木は元税理士で、ワケあって出所したてのウエイター。
けれどもこれもワケあって、ウエイターの仕事よりもレストランにやってくる客の相続に関する相談を受けることが彼のメインの仕事です。

このレストラン、人呼んで「相続レストラン」

ある女性が急死した父の遺産について相談にやってきます。
父は家族に内緒で連帯保証人になり、6000万円の負債が残されたとのこと。
さらに隠し子だという男も現れ…
「相続」を機に、当人たちが知らなかった人間模様が表面化していきます。
どろどろの人間模様の絡んだ相続問題を、冬木は見事に解決していくのです。

レストランに出てくる料理がまた美味しそうでよだれが出てきます。

登場人物もみんな魅力的で、
「物語の中だけでもこんな人とお知り合いになれて良かったわ~」と思えるほどです。

しかも相続の勉強にもなります。
続編も出してもらえないかしら?

面白くてためになる、しかも気持ちも良くなる物語です😊


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