見出し画像

夏の思い出9(最後の勤務校②新型コロナに翻弄される)

夏の思い出と銘打ちながら、仕事の思い出がメインになってしまっております。申し訳ありませんがあと一度だけお付き合いください。これで終わります。

前回は、「共生推進教室を担当するつもりが学年主任をすることになってしまった」お話を書きました。

今回はその続きです。

2019年の11月頃に学年主任をすることが決まると、私は、過去の資料を隈なく見て、「入試」「合格者説明会」「入学式」「予算計画」「新入生オリエンテーション」「修学旅行」等々、準備を始めます。もちろん初めての「共生推進教室」受け入れの詳細についても具体的に決めていきます。

学年の担任が決まると、新学年会でそれらの案を確認、議論していくことになります。

そうしてようやく「入試」の本番に向けて動いていた頃、「コロナパンデミック」がやってきたのでした。

これまで準備してきたものはほぼ使えません。
日々刻々と変わる情勢に合わせて、実施方法を変更したり、予定していたことを中止したり。

幸いなことに、学年の先生方は優秀で動きの速い方がそろっておりました。

新入生入学前の分散登校日に、急遽、全員にオンライン学習の説明と手続きを済ませ、生徒自身が使えるパソコンやスマホを全員が持っていることの確認も済ませ、4月初めには新入生全員とオンラインでつながることができていました。

「緊急事態宣言」が発令されると、その翌日から学年会はオンラインミーティング。

若い先生たちのおかげで、非常に素早い対応がとれたのでした。
とにかく生徒たちと繋がっておきたい、オンラインでできることはやっておきたい、と必死でした。

ようやく生徒たちが一斉に登校できるようになったのは6月でした。

そんな「コロナパンデミック」とぴったり重なった3年間を過ごした高校生たちは、不自由なことだらけでした。

けれども彼らは、自分の生き方や世の中についてじっくりと考える機会を得、人とつながりたい思いをつのらせました。
この子らの将来には大いに期待しています。


さて、コロナパンデミックの夏。

初年度は高校野球の大会をはじめ、各種大会が中止となりました。
この年に3年生だった生徒たちの悲しみは想像に余りあります。

2年目からは感染対策を行いながら各種大会が実施されるようになりました。
対策は行われていましたがどうしても感染は拡がり、大会は実施されても参加できなくなるチームは少なくありませんでした。

部活動以外にも、感染対策を行いながらの活動は様々に行われました。

私にとって思い出深いのは「探究活動」です。
高等学校では、「総合的な学習(探究)の時間」が義務化され、各校で試行錯誤しながら行われていました。

勤務校は、盛りだくさんの地域資源がありましたので、それを活用させていただかない手はないと、地域と手を結んで進めていく計画を立てていました。

2年生の1学期、生徒たちは、学校のある地域の課題について学習します。そして、「子育て」「貧困」「部落差別」「企業」「労働」など自分が興味を持った課題を選びます。
興味の近い人同士でチームを作り、チームで「探究課題」を具体化していきます。
夏休みには実際に地域に出て、インタビューをしたり仕事を手伝わせていただいたりすることになります。

生徒たちは、教師が考えていた以上に積極的に地域に出ていきました。もしかすると、コロナの経験から、「人とのつながり」の必要性を強く感じるようになっていたのかもしれません。

子ども食堂、民族学校、外国人労働者のための支援施設、ホームレスの方を支援する施設、各種企業…。
中にはどうしても市長さんに話を聞きたいというチームがいて、ダメもとでお願いしたところ、快く引き受けていただけたこともありました。

多くの生徒さんが、教室で教科の勉強をしているときよりも目を輝かせていました。「共生推進教室」の生徒さんもチームに入り、一緒に活動することができました。

夏休み後にはインタビューの報告会。
そして、最終プレゼンテーションへ。高校生の若い力を見せつけられる一日となりました。


3年間を共に過ごした彼ら全員の顔を見たのは、「卒業式」の日が初めてでした。卒業式の日に初めて、「マスクを外す」ことが基本とされたのです。

悲しいことに、街で出会っても教え子であることがわからないまますれ違う生徒がたくさんいるでしょう。

しかし彼らは、これからの社会を変えてくれるはずです。
高校生の多感な時期にコロナパンデミックを経験し、
知的障がいのある仲間との生活を普通のことと感じる感性を持ち、
多様なジェンダーの在り方について深く考えさせてくれる仲間に出会い、
聴覚障がいがありながら前向きに人とつながっていく仲間にも恵まれました。

ですから、すれ違っても気づかないぐらい良いのです。


これで「仕事」の夏の思い出は終了です。
夏の思い出とは離れてしまいましたけれど😂

さぁ、これでようやく、私も未来に向かってすすめそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?