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【本の紹介】『お探し物は図書室まで』(青山美智子 著)
卒業間近の高校は、進路が決まってホッとしている生徒やら、国公立の2次試験に向けて必死に頑張る生徒やら、いろいろな状況の生徒がいます。
ですから私の国語の時間は「学習内容選択制」にしていました。
入試が迫っている生徒は試験勉強をし、
そうでない生徒は「おすすめ本の紹介文」を書きます。
普段本を読まない生徒は、本を選ぶところから始めねばなりません。
友だちに面白かった本を聞いたり、ネットで調べたりして気になる本を選び、図書室で借りてきたり、書店で買ったり。そしてなんとか「紹介文」を書きあげます。
中にはお気に入りの本を次から次に紹介してくれる生徒もいました。
ライトノベルのおかげでしょうか、
私が思っている以上に、高校生は本を読んでいました。
今回ご紹介するのは、「先生も絶対読んでくださいね!ホントにいいから!」と念押しされた何冊かの本のうちの一冊。
2021年「本屋大賞2位」に輝いた本です。
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで町の小さな図書室を訪れます。
仕事のやりがいのなさに嫌になっている若い女性、
仕事と育児の両立につぶれそうになっている元バリバリ仕事人間の女性、
定年退職してやるべきことがなくなり、自分の居場所もなくしそうになっている男性…
図書室には何だか不愛想な司書さんが、毛糸に針をさしながら座っています。
人々はなぜか司書さんに本音を語ってしまいます。
不愛想ですが聞き上手なのです。
司書さんは、頼まれた本何冊かの他に、一冊、何の関係もありそうにない本を提案します。
その関係なさそうな本が読んだ人のものの見方を変え、その後の人生を豊かにしてくれることになります。
人々は、自分が本当に「探している物」に気がつき、
生きていくエネルギーが湧いてきます。
仕事人間だった女性の話や、定年退職した男性の話に、私は深く共感しながら読みました。
そして登場人物と同じように、私自身も癒され元気になれました。
「絶対読んでね」とすすめてくれた生徒さんに大感謝です。
(どちらが先生かわかりませんね😆)
定年退職した男性が最後につぶやくセリフがまた素敵です。
「目に映る日々を、豊かに味わっていこう。ワイドビューで。」
「これからは好きなものを大切に集めていくのだ。」
何かお探しの方は是非!
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