身欠きニシンと山椒漬け
ニシンの山椒漬け。
先日、本郷地区のニシンの山椒漬け名人の方をご紹介頂き、作り方のレクチャーを受けてきました。ニシンの山椒漬けのアレンジレシピ(唐揚げ、とても美味しかった!)や、地元の高田梅漬け、ワラビのショウガ和えもご馳走になり、本当にありがとうございます。
身欠きニシンを、私は会津に来るまで知りませんでした(勉強不足ですね)。地元は三陸産の海産物が豊富。どうしても、魚=生物、と言うイメージがありました。その為、あまり乾物コーナーに立ち寄ることもなく、会津でも過ごしていたのですが、言われて見てみるとこの時期、大量の身欠きニシンが。こんなに身近な食べ物だったとは。
ニシンの山椒漬けは、山椒と身欠きニシンを交互に重ねて敷き詰め、醤油や酢、三杯酢等で味付けをし、重しをして漬け込んだ保存食。会津の郷土料理として、古くから家庭で食べられてきました。山椒の香りとニシンの旨味に食が進みます。ごはんのお供からお酒のあてまで、ご家庭で親しまれてきました。
江戸時代、四方を山に囲まれた会津盆地では、海産物と言えばもっぱら、北前船で北海道から日本海を渡って新潟へ届けられる身欠きニシンだったそう。それを行商人が会津へ売りに来て、会津の人たちにとって身欠きニシンは貴重なタンパク源となりました。そして山椒は、防腐効果と共にニシンの独特な臭み消しとなり、ニシンの山椒漬けは会津で広く親しまれ、今では山椒の若芽の時期、5月~6月の味となっています。
本郷地区にある 宗像窯さん では、伝統的なニシン鉢を作られています。飴色が美しいニシン鉢に山椒の緑が映えます。今ではジップロック等で手軽に漬けられる方も多いと伺いましたが、「私は必ず鉢で漬けるの」とは名人談。器自体が呼吸をするので、漬け汁が良い状態に保たれ、美味しくなるのだそう。
名人のレシピは次の通り。私も自宅で、半分の量で試してみました。現在漬け込み中なので、出来上がるのが楽しみです。
〜ニシンの山椒漬けレシピ ※作りやすい分量です〜
<材料>
・身欠きニシン(ソフトではないもの) 15尾
・山椒の葉 50gくらい
・三杯酢 200cc
・黒糖 お好みで数かけ
<作り方>
・身欠きニシンを水洗いして表面の油を落とす
・洗ったニシンを干して表面を乾かす
・ニシン鉢や容器に、山椒-ニシン-山椒-ニシンの順で重ねていく
・三杯酢等お好みのタレをかけて、重しをして漬け込む
・二、三日漬け込み、味が好みになったら、重しを外して冷蔵庫で保存
※あくまでも目安なので、タレや山椒の量はお好みで。みりんや砂糖を加えたり、お酢を控えたり、アレンジは様々です。漬け込み時間も、様子をみてください。
食べ方としては、オーソドックスに漬けたニシンを切ってそのまま頂いたり、少し炙るのも美味しいとのこと。居酒屋さんなどでも炙ったものを提供している所も多いそうです。山椒の香りに、日本酒がとても進みます。また、ワインに合わせても面白いかもしれません。
今回は特別に、アレンジレシピの考案ということで、から揚げやクリームチーズと合わせたカルパッチョ風のメニューも頂きました。から揚げは衣を付けて揚げるだけで、益々お酒が進むおつまみに。クリームチーズとの組み合わせも面白く、伝統的な郷土料理の印象がまた変わりました。
会津は食文化がとても個性的で、私にとっては初めましてのお料理や食材がとても多いです。これからも、色々教えて頂き、私の料理のレパートリーを増やして行きたいと思います!
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今回作ったニシンの山椒漬けのその後です。初めてにしてはちゃんと食べられる美味しいものが漬けられました。(2021/06/23追記)