ピルゼン【黄金のビール発祥の地へ】
こんにちは。いこです。
チェコのピルゼンに来ています。
今日はピルスナー・ウルケルの醸造所見学ツアーに参加しました。
プラハから車で1時間、チェコ第4の都市ピルゼンへ。
さて、あなたはビールといえば、どんなイメージを思い描きますか?
多くの方は黄金色の、きんきんに冷やして飲む、ちょっと苦いビールを思い出すんじゃないでしょうか。
ここで、いや、私はIPAが、俺はアンバーエールがetc……っていう方が少数以上いらっしゃるでしょうが、その方はきっとピルゼンのこともよく知っておられることでしょうから、ニヤニヤしながら読み進めてください(笑)
↑たぶん「ビール」のイメージって、多くの場合はこんな感じのやつですよね。ジョッキをかちん!と合わせて大人が飲むやつですね。
こういうビールを「ピルスナービール」といいます。
今、世界のビール市場の実に80%を占める、この「黄金色のピルスナービール」ですが、実は発祥地はチェコ。
1842年にチェコのピルゼンという場所で、醸造家のヨーゼフ・グロールという人が誕生させました。
↑これがチェコで誕生したピルスナー・ウルケル。
ほんとはもっと濃い色のビールがあったり、苦味のぜんぜんないビールもあるんですが、現在日本で飲めるビールのほとんどは、黄金色のピルスナーなので、「ビールといえば黄金色をしている」というイメージが定着してるんですね。
つまり、それくらい世界中で人気になった黄金色のビアスタイルの、発祥の地がピルゼンだ、と言えば、ちょっとすごさが伝わるでしょうか🍺
↑ピルゼンの街には、ピルスナー・ウルケルのトラックが走っていました。さすが!
ピルスナー・ウルケルの醸造所に到着
それでは醸造所に到着です。ビールに興味の薄い人には理解しがたいと思いますが、飲んだくれの多くはこの門を見るだけでテンションが上がるはずです。
敷地内は非常に広くて、思ったより大工場という感じでした。
なんというのか……
勝手にもっと村の小さな醸造所みたいな、誤ったイメージを抱いていましたね(笑)
いや世界中に輸出されてるビールの工場なんですから、そんなわけないんですけど……(笑)
↑ゴミ箱すらビアグラスの形をしています。ガラスが主流になる前の、昔のビアグラスですね。
↑建物に入ると、入口に「Pilsner Urkel」の超カッコいいマークが浮かび上がっていました。これ、よく見たら丸いのはぜんぶ瓶です。
工場見学がスタート
案内人のお姉さんが、ピルゼンのビールの歴史について教えてくれます。すごく聞き取りやすい英語でしたが、理解できたのは3〜4割くらい(笑) 英語力のなさが恨めしい。
↑表情豊かに、ジョークもまじえて、一文字も噛まずに案内する、プロフェッショナルを感じる仕事ぶり。僕らは日本語ガイドのSさんに耳打ちで補足してもらいました(笑)
上の地図は昔のピルゼンです。ピルスナー・ウルケルが出来る前のピルゼンには、醸造所が乱立していました。
しかし、当時のビールの質はひどいもの。これはあかん、ということで、「自分たちもうまいビールが作りたい!!」と町中で結託。
ドイツから醸造家を招いて、本格的なビール醸造所を町に作ろうとしたのが始まりでした。
↑ピルゼンに招かれたのがドイツ人のヨーゼフ・グロール氏。この人はピルスナー・ウルケルの超重要人物。
さて、グロール氏の主導のもとで、当時主流だった黒いビールを作ろうとしたピルゼンの人々。しかし、ここで大失敗をします。
黒いビールを作るためには、モルト(麦芽)を焦がさなければならないのですが、うっかりモルトを焦がし忘れてしまったんです!(笑)
グロールさん何してんの!(笑)
そんな失敗をやらかしてしまったものですから、出来上がったビールは、なんとまったく黒くなく、「黄金色」に輝いていたのです。
「あちゃー……」となったピルゼンの人々。
「でもまあ、せっかくできたし飲んでみるか」
「あれ……?」
「これ、めっちゃうまくない……?」
「……おいおい、最高じゃないか。なんてこった!」
ということで、1842年、ここにピルスナー・ウルケルが誕生したということなんですね。
失敗からできたビールがいずれ世界を席巻するんですから面白いですよね。
↑チェコの軟水も美味しさの秘密。
↑工場ではビール造りの過程がていねいに説明されていました。
ビール造りの過程を見てみよう
ごくごく簡単に言うと、下のような感じです。
①麦芽を細かく粉砕します。
②何度も煮込んで「糖化」します。甘い麦汁が出来上がります。
↑ここで何度も煮沸して糖化を繰り返すのがピルスナー・ウルケルのすごいところらしいです。こうすることで、スッキリ飲めるのにコクのあるビールが生まれます。
③ホップを入れます。
↑ホップはビールの香りや苦みをつけるのに欠かせない植物です。ピルスナー・ウルケルの場合、「ザーツ」という種類の高級ホップを入れます。
④酵母菌を入れます。
↑酵母菌がぱくぱく糖を食べてくれます(発酵)これによってアルコールと二酸化炭素が吐き出され、美味しいビールになるというわけです。
⑤酵母にとって良い温度で貯蔵。
↑薄暗いトンネルの中。ここは9kmにもわたる洞窟で、酵母菌が最も発酵しやすい温度(5~9℃)に保たれています。ここで今も昔も貯蔵されているそうです。
↑ちょっと寒い。ピルスナーのようなビールが冷やした方が美味しいのは、酵母にとって最適の温度だからです。
⑥瓶詰めや缶詰めを行います。
↑コンベア式で、ものすごい勢いで洗浄され、ビールが詰められていきます。瓶は回収して何度も再利用するそうです。エコだ。
⑦濾過・煮沸消毒して完成!
↑長持ちするように酵母菌を殺して、透き通ったビールに仕上げます。これで完成です。
樽詰めの、貯蔵中のビールを飲ませてもらいました
工場見学の終わりごろ、そろそろ疲れて喉が渇いてきた頃に、樽から出したばかりの無濾過のビールをいただくことができました。
無濾過・無殺菌なので、酵母菌は死んでおらず、ちょっと濁っています。
これが、昇天するほどうまいんですよ!!! 醸造所の暗いトンネルを飛び交う天使が見えましたね。ほんとですよ?(笑)
長持ちさせるために、酵母菌を殺して濾過してしまうと、多少風味が落ちるみたいなんですね~。でもここでは、そういった作業をいっさい行っていない、生きた味を楽しめるというわけです。
この見学をしているとき、実は、旅行の疲れがだいぶたまってきた頃だったんですが、このたった一杯で、完全によみがえりました。
あなたもビールに興味がありましたら、ぜひピルスナー・ウルケルの工場見学に行ってみてほしいです。最高のビールを最高の環境で味わうことができます。
ちなみにビール瓶1本、約125円で売られています。水かな?(笑)
↓僕らが参加したのは以下のツアー。英語が不案内な僕らに、ガイドのSさんが、日本語で説明してくださってありがたかったです。美味しいレストランも教えてくださいました。
↑プラハから車で西へ約1時間。
p.s.
ツアーガイドのSさんは、チェコのビールに魅せられて、約20年前にプラハに移り住んだそうです。400をこえるチェコの醸造所のうち、330の醸造所に出かけて、最終的に、
「ピルスナー・ウルケルがやっぱり一番美味しい」
と戻ってきたそうです。
原点にして至高。至高にして究極。
ビギナー向けのビールが、そのままビールマニアをうならせ続けているようですね。僕らも素晴らしい体験をさせてもらいました。
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