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都知事とおんなし名前の

しりとりエッセイ#6

▲前回のしりとりエッセイ

テレビの配信サービスを
いくつか契約して何年か経つ。

複数のところと契約しているので、
観るものには困らない。

ひとつの配信サービスにつき、
何万ものコンテンツがあるのだから、
どれだけ時間があっても、
消費尽くせないだけのものが溢れている。

最近、我が家では、
昔のテレビドラマを観ることが増えた。

30〜40年も前のドラマだ。

昔の作品を観ると、
リアルタイムで観ていた時とは、
違う楽しみ方ができるのがおもしろい。

その頃と今のもっとも大きな違いは、
生活の中に携帯電話がないことだろう。

このアイテムの有無は、
ストーリーを作るうえでも、
大きな違いになるはずだ。

ケータイが登場したことによって、
物語の中で、人と人がすれ違うことが
できなくなったとも言われる。

待ち合わせの場所に人が来ない、
いくら待ってもこない。

昔のドラマでは、
こういったすれ違いの場面が
多く描かれたが、
今ならケータイひとつで解決してしまうのだ。

ケータイがないので、
会社での私用の電話をする
場面の多さも目立つ。

当時の私は子どもだったので、
知る由もないが、
私よりも10歳以上歳上の妻に聞くと、
当時は本当にこんな感じだったそうだ。

連絡しようにも、
ケータイもメールもないので、
仕事終わりに飲みに行く約束をするのに、
相手の職場に電話をかける、
という今では考えられないことが、
ごく普通にされていたという。

昔のドラマを観ると、
当時の流行が取り入れられているのも、
おもしろかったりする。

インターネットが一般的になるまで、
こういった時代の流行を取り入れるのは、
テレビの専売特許だった。

時代の流行を多く取り入れた
ドラマとしては、
『踊る大捜査線』(‘97)が、
その好例のひとつとして挙げられる。

このドラマが画期的だったのは、
それまでの刑事ドラマとは違って、
警察の内部を企業のように描いたことだ。

「警察」=「ヒーロー」ではなく、
警察も公務員であり、
しがないサラリーマンに過ぎないことを
描いてみせたのである。

こういった庶民的な作風だったからこそ、
当時の流行を取り入れても、
まったく違和感がなかったのだろう。

篠原ともえが一日警察署長
としてやってきたり、
ベテランの刑事が孫から預かった
たまごっちを取り出したりする。

主人公が所属する湾岸署は、
お台場にあり、
当時は再開発中だったため、
空き地が目立つ。

「空き地署」と呼ばれていた。

この景観は、エンディングの背景としても
印象的に取り入れられている。

なぜ、お台場が舞台だったかといえば、
放送局であるフジテレビが、
お台場に移転したばかりだったからだ。

『踊る大捜査線』はセリフにも
流行を取り入れていた。

中でも有名なセリフといえば、
「都知事と同じ名前の青島です」だろう。

これは当時の東京都知事と
主人公の名前が同じだったために、
使えたお馴染みの自己紹介だ。

青島幸男が都知事だったのは、
今ではもう昔の話なので、
自己紹介に使うには無理がある。

ところで、青島を演じる
織田裕二を見ていて、
ひとつ気づいたことがあった。

それは織田裕二の喋り方の特徴だ。

織田裕二は、
どんなセリフも「い」の口で、
喋りがちである。

「あ」でも「う」でも、
口が横に開き気味なので、
独特な発音に聞こえるのだ。

それと、さ行の発音が、
なんだか発音しにくそうに見えた。

これはリアルタイムで観ていた時には、
まったく気にも留めなかったことだ。

何度も観ているからこそ、
細かいところにも
注意が向いてしまうのだ。

(※織田裕二の演技を揶揄する
意図は一切ありません。
特徴を述べたまでのことです。)

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