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ストーリーに興味を持ったきっかけ、物語の考察に興味が持てない理由

「物語」に興味を持ったのは、
30代のはじめの頃に、
この本を読んだのがきっかけでした。

『ここらで広告コピーの
本当の話をします』
小霜和也(2014)

著者の小霜和也氏は、
博報堂出身のコピーライターで、
プレイステーションなどの
広告に携わっていた方です。

私は初代プレイステーションの
広告戦略にやられた世代なので、
この本も書店で知って、
すぐに手に取りました。

この本の中で、
「消費者は物語を買っている」
というような話があるんですね。

消費者は商品を買っているようだけど、

実際にはそれを買うことによって
得られるなんらかのストーリーに
お金を払っている
ということなんです。

別に物語のある映画とか小説に
限った話ではなく、

日用品のように小さなものでも、
車や家のような大きなものでも、

そこにあるストーリーに
共感するからこそ、
人々はそこにお金を払うんだ
という話です。

こういった話は、
すごく新しい視点
というわけでもなく、

広告業界には昔から
ある理論だと思います。

その昔、西部グループから
派生したセゾングループが
こういった手法をいち早く
取り入れて成功していました。

例えば、デパートの広告なのに、
商品の宣伝をするのではなく、

そこにある空気感や、
そして、そこで買い物をした後に
待っている新しい生活のあり方を
アピールしていたんですよね。

(「物語消費論」という言葉もあった)

西武百貨店のコピー('82年)

糸井重里氏が手掛けた
このコピーなんかが有名ですよね。

小霜和也さんが手掛けた
プレイステーションなどのコピーも
こういう手法がとられていた
という話でした。

こういう話を聴いて、

私は「物語」を知ることは、
なにかビジネスにつながる
ヒントがあるのではないか、
と思いました。

つまり、魅力的な物語の
作り方を知っていれば、

ビジネスでも、
何か、人の心を掴むようなことが
できるのではないか、
と思ったんですね。

そういう考えに至ってから、
私は物語をよく分析するように
なっていきました。

映画やドラマが好きでも、
それまでは「映像」を中心に
観ていましたが、

小説なども多く読むようになって、
物語について考えるように
なったんですね。

『物語のつくり方』
なんていう本まで読むように
なりました。

『「物語」のつくり方入門』
円山夢久(2012)

今もいろんな映画を観たり、
小説を読んだりして、
いろんなストーリーに
触れていますが、

10年以上、そういうことをやってきて、
私がたどり着いた答えは、

結局、ストーリーは
「好み」の問題でしかない、
というものでした。

やっぱり、物事を、
特に「作品」を観たり、
読んだりして、

「物語」の良し悪しに
終始しているのは、
もったいないと思います。

究極的な話をすると、
よくできた「物語」
というのは、結局はいくつかの
パターンに行きつくんです。

そういう世界に私自身は
深みを感じないというか、
違和感があります。

もちろん、よくできたストーリーは
おもしろいし、
人々の心を掴むでしょうけど、

それ以上でもそれ以下でもない、
という感じがするんです。

映画とかでも、
「物語の考察」に夢中になる人が
多いんですが、
私はそこにあまり興味がありません。

所詮、それは作った人のものであって、
受け手が答えを当てたところで
何もすごいことだとは思わないからです。

やっぱり、私は、
「正解」がない世界が
好きなのだと思います。

世の中のほとんどのことが、
突き詰めると「正解」がないから
だと思います。

前から言いたい
と思っていたことが
やっと言えました。

ストーリーの考察をして、
ドヤ顔するのは
やめましょうってことです(笑)

(そういう人、多いですよね)

それよりは、私は
その人にしか気が付けなかった
作品の魅力に気づけるほうが
何倍もすごいと思っています。

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