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音楽レビュー『Return to Forever』Chick Corea(1972)'70年代のフュージョン/ジャズを代表する一枚


最近、ECM の音源にハマっている

最近、ECM レコードの
音源にハマっています。

ECM レコード
'69年にドイツで設立された
ジャズのレーベル。
クラシックや現代音楽の作品も
リリースされている。

きっかけは
いろいろあるのですが、
一番大きかったのは、

Spotify のポッドキャスト
『STUTS JAZZ JOURNEY』の
ECM 特集を聴いたことです。

また、以前レビューで紹介した
岡田拓郎のインタビューでも
ECM の話が出ていました。

こういうきっかけもあって、
ECM の音源が聴いてみたい
と思った私が最初に聴いたのが、
こちらの作品でした。

'70年代のフュージョン/
ジャズを代表する一枚

チック・コリアは、
'60年代から活動していた
ジャズピアニストです。

'60年代の後半には、
マイルス・デイヴィスの
グループにも在籍し、

『In A Silent Way』('69)、
『Bitches Brew』('70)
といった作品にも参加しています。

なんでもチック・コリアに
エレクトリック・ピアノを
演奏するように勧めたのは、
他でもないマイルスだったそうです。

(最初は嫌がっていたらしい)

'70年にはマイルスの
グループを脱退、

'71年には、ベーシストの
スタンリー・クラーク
などとともに、

「Return to Forever」という
バンドを結成するにいたりました。

(本盤はチック・コリア名義、
 次作から Return to Forever
 名義となる)

本盤は'70年代の
ジャズ/フュージョンを代表する
アルバムの一つでもあります。

激しくも静かな音楽

①は暗いイントロから
はじまります。

うっすら聴こえるか
聴こえないかという感じの
エレピの演奏、

そして、そこにフルート、
女性の歌声らしきものが
重なっていきます。

やがて、そこにドラム、
ベースが加わり、
プログレっぽい様相を
呈していくんですね。

はじめて聴いた時は、
なんだかギョッとしてしまう
印象でしたが、

これに慣れると、
病みつきになるサウンドです。

②は①以上に静かな曲ですね。

しっとりとしたエレピに
渋いサックスが重なり、
落ち着いたサウンドを
聞かせてくれます。

③は①、②とは打って変わり、
ボサノヴァ調の明るい曲です。

この曲では女性の歌声が
入っています。

歌っているのは、
フローラ・プリムで、
彼女はブラジル出身の
ジャズ・シンガーです。

①、②から急に明るくなるのが、
またおもしろいんですよね。

明るいのですが、
決して派手ではない
サウンドです。

④になると再び、
静かな音楽に切り替わります。

演奏自体は、非常にジャズらしい、
即興的なものに感じますが、
やはり、エレピを主体にした
サウンドが異質です。

時折、ドラムやフルートが
加わり激しい演奏になりますが、
全体的に静かな印象の曲ですね。

中盤あたりから、
再びフローラのボーカルが加わり、
明るい印象も付加されています。

20分以上におよぶ
長尺の曲ですが、
変化に富んでいて
最後まで飽きさせません。


【作品情報】
リリース:1972年
アーティスト:チック・コリア
レーベル:ECM

【アーティストについて】
1941~2021。
アメリカのジャズピアニスト。
’64年に活動を開始。
'60~'70年代には
マイルス・デイヴィスの
グループでも活躍した。

【同じアーティストの作品】

『Piano Improvisations Vol. 2』(1972)
『Light as a Feather』(1972)
Return to Forever 名義
『Plays』(2020)

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