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細野晴臣 名曲ベスト10(私選)

細野晴臣の祖父はタイタニック号に乗船し、生還した方です。

こんなエピソードからもわかるように、細野さんの生家は海外の文化と深いつながりがありました。幼少期から洋画のサントラレコードに親しんでいるような環境だったんですね。

そこから少年・細野晴臣は、たくさんの海外音楽の魅力を吸収し、日本人離れした音楽性を培ったわけです。

学生時代からバンドを組み、気弱だった彼は、みんながギターをやりたがるものだから、しかたなくベースを弾くようになったと言います。

流れで手にしたベースでしたが、これも音楽家・細野晴臣を形成するうえで、重要な出来事でした。

みんなとは違うベースを弾くからこそ、音楽を聴く時にも、注目するところが違ったんですね。その後、彼が心酔したのは、アメリカのサイケデリックロックでした。

何よりも彼を惹きつけたのは、そこにあったベースラインだったのです。

’69年にプロとしてデビューし、はっぴいえんど、ティン・パン・アレー、YMOといった伝説のバンドを次々に成功させました。

一方で、ソロ活動では、トロピカル路線の楽曲に傾倒したり、テクノやアンビエントに傾倒したり、ワールドミュージックに傾倒したり、年代によって、さまざまなジャンルの音楽を手掛けることになります。

これほど幅広いジャンルの音楽に精通した音楽家は、世界中を探してみてもいないと思いますね。

私の細野さんとの出会いは、YMO だったんですが、中でも細野さんの作曲した楽曲はどれもわかりやすい楽曲ばかりで、音楽初心者だった私にとっては、これほど魅力的な教材はありませんでした。

細野さんの音楽は、結構、聴いているんですが、実は2011年に発表された『HoSoNoVa』以降のアルバムは、ちゃんと聴いたことがないんです。もちろん、これからそれらもしっかり聴くつもりです。

11月に『SAYONARA AMERICA』という細野さんのドキュメンタリー映画も公開されました。2019年にはじめて開催された細野さん初のアメリカでのソロライブのドキュメンタリーです。いつか、これを観るのも楽しみにしています。

10.Exotica Lullaby(’76)

収録アルバム:『泰安洋行』
作詞・作曲:細野晴臣
3枚目のアルバム『泰安洋行』のラストに収められた曲。まだテクノに傾倒する時代ではないが、シンセサイザーをふんだんに使っている。リズムはレゲエっぽい。ゆったりとした歌声がいい。全体的に南国の風を感じさせる音色。

9.はらいそ(’78)

収録アルバム:『はらいそ』
作詞・作曲:細野晴臣
YMO 結成直前に発表された4枚目のアルバム『はらいそ』のラストに収められた曲。南国風の音色、リズムが全面的に出ている。こちらの曲でも中盤にシンセサイザーを使用し、幻想的な波の音を表現しているかのよう。アウトロの駆け寄ってくる足音と「この次はモアベターよ!」のセリフがおちゃめ。

8.Strange Love(’84)

収録アルバム:『S・F・X』
作詞・作曲:細野晴臣
YMO 散開後にはじめて発表した7枚目のアルバムより。タイトルはスタンリー・キューブリックの映画(邦題『博士の異常な愛情』’64年公開)からとったものと思われる。電子音、サンプリングをふんだんに使った、ミステリアスな曲調。

7.Sayokoskatti(’85)

収録アルバム:『Coincidental Music』
作曲:細野晴臣
CM 提供曲を中心に収めた8枚目のアルバムより。’82に制作された資生堂『リバイタル』の CM 曲であり、資生堂専属モデルだった日本人モデルのパイオニア、山口小夜子をイメージして作られた。東洋風のメロディーとトルコ音楽風のサウンドがミックスされた不思議な楽曲。

6.Andadura(’89)

※2曲目のトラック(なぜか②のみのリンクは貼れず)
収録アルバム:『omni Sight Seeing』
作詞・作曲:細野晴臣
13枚目のアルバムに収録。この頃の細野はワールドミュージックに傾倒しており、この曲にも異国情緒が感じられるサウンドやコードがふんだんに使われている。アラブ風の曲調に楽し気な歌を交えた、細野ならではの世界観。

5.Jado(’95)

収録アルバム:『NAGA』
作曲:細野晴臣
16枚目のアルバムより。複雑に音が入り混じった東洋風の音色をシンプルな展開でまとめている。小曲でありながら、短い時間の中で起承転結がつけられているのがすごい。のちに発表されたケン・イシイによるリミックスバージョンも秀逸。

4.Esashi(’89)

収録アルバム:『omni Sight Seeing』
元ネタ:江差追分(北海道の民謡)
ワールドミュージックを意識したアルバム『omni Sight Seeing』のオープニング曲。北海道の民謡、江差追分をモチーフにしている。歌っているのはNHKの『のど自慢』に出演していた14歳の女性。たまたまテレビを観ていた細野が発見し、オファーしたという逸話がある。シンプルな構成でありながら、1分50秒という小曲でも聴きごたえのある内容になっている。

3.Pleocene(’89)

収録アルバム:『omni Sight Seeing』
作詞・作曲:細野晴臣
『omni Sight Seeing』のラストに収められた曲。原曲は’85年に公開された映画『銀河鉄道の夜』に使用した『プリオシン海岸』という曲である。途中でさまざまな楽器の音やコーラスも入るものの、基本はリズムボックス、重層的な電子音、ボーカルというシンプルな構成。クジャクの鳴き声がサンプリングされている。非常に静かな楽曲である。

2.Sherpa(’95)

収録アルバム:『NAGA』
作曲:コシミハル
バリ島のガムランを彷彿させる鐘の音色、重層的な電子音がシンプルに組み合わさった楽曲。不穏な空気を感じさせる曲調に緊張感があっていい。作曲者は、長年、細野のレコーディングに参加しているコシミハル。

1.HONEY MOON(’93)

収録アルバム:『MEDICINE COMPILATION』
作詞・作曲:細野晴臣
14枚目のアルバム『MEDICINE COMPILATION』に収録された楽曲。原曲は『トロピカル・ダンディー』(’75)に収録された曲で、アンビエント風の味付けでセルフカバーしている。音色、歌声とも心地よく、細野ならではの魅力がたっぷり感じられる。終盤では矢野顕子の歌声も挿入されている。

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